文化人類学) 第7講 はじめての海外旅行──コンゴ民主共和国の森の村で
2024/11/15
大学でこころとからだのケアを学ぶ1年生向けの、文化人類学の今日の講義録です。「エアプ」とか昭和うまれが知らなかったことばも勉強してます。おまけ3につけた、最後の動画、笑いながら楽しく勉強になりました。気がついたら、『恋する文化人類学者』を注文していて、とどいてみたら、バリューブックス(古書店)発だったのでした。
海外編の1回目です。だんだん熱が入ってきて課題が増えてきますが、時間がかかりすぎるなどのご意見がありましたら、コメントでお寄せください。
生物学者になろうと意気込んで京都大学理学部に入学した私は、1年生の5月には、もう家で引きこもりの不登校になっていました。そんな私が、アフリカでフィールドワークしたいという夢をもって大学院に進み、理学博士論文が評価されて、文化人類学の教員になるのですから、人生はわかりません。
その夢がかなった、初めての外国は、当時ザイールと呼ばれていたコンゴ民主共和国でした。
課題0. 教科書(『調査されるという迷惑・増補版』)の第二章「される側の声」(教科書もってない人は、https://ankei.jp/yuji/?n=116)を読んで、フィールドワークで訪れた先で、もっとも気をつけるべきことはなにかを、あなたが専門職として仕事をするようになった時、人と接する際にもっとも気をつけるべきこととの関連で、書いてください。100字以上。
課題1
・動画1 まず、私のプレゼン「はじめての外国フィールドワーク」43分 を見てください。
https://youtu.be/8yJ1cNRG2FI
長期滞在することになったアフリカで村長から「養子になれ」と言われたらあなたならどうしますか? あるいは、「二人目の奥さんをもらわんか」 「第二夫人になれ」などと言われたら? 日本や中国ではそういう文化はないですから、受け入れられませんという人は、もっとシンプルに「こんなに愛し合ってるんですから、私と結婚してあなたの国に連れて帰って」でもいいです(もちろんお互いに恋愛感情を持って強く惹かれ合っているという前提です)。100字以上で、どれかひとつのさそいへのあなたなりのお返事とその理由づけを述べて下さい。
参考までに以下の永松真紀さんのホームページの「結婚」の項を読んでみられることをおすすめします。永松さんは、福岡県北九州市生まれ。ケニア唯一のプロ添乗員。東アフリカ・ケニア共和国在住。2005年4月、伝統的生活を送るマサイの第二夫人となる。(みずから「マサイ族」と言っていますが、これは日本人にツアーを売り込むための戦略的なものかもしれません。) http://masailand.com/
課題2 語学上達の秘訣は? 短い動画2つを視聴してください。
・動画 アフリカ多言語 4分(くりかえしは、発音の練習用です)
https://youtu.be/IrxbBE8JoHc
・動画 7つの言葉をあやつるコンゴ人、ジョン・カヘークワさん 4分
英語・フランス語・スワヒリ語・シ語・キニャルワンダ語・ルンディ語・レガ語
https://youtu.be/3xkJ0X2dq98
語学は、事前に準備する「もの」の中では、重要度の高いものです。あなたは、習わずに覚えた母語(母国語というのは、ルワンダやブルンジのように、国中でキニャルワンダ語かルンディ語だけが通用しているようなめずらしい国でしか通用しない言い方です)以外に、何語を自由に話せたらいいな、と思っていますか? そして、それはなぜですか。100字以上で書いてください。
課題3 暴力と向き合う
知的障がいのある人たちの福祉施設で働いた人の経験談として、入所者や通所者がいうことを聞かない時に、スタッフが殴りつけることにしている、という施設が少なくないということを、最近聞きました。近未来のあなたが、そのような施設で働くことになったことを想像してください。スタッフを困らせる入所者を殴るように上司から命じられたら、あなたはその時どうしますか。まるで新入社員への研修のように、先輩たちが見守る中での命令です。仮の例ですが、イメージとしては、廊下でも戸外でも、みんなの集まる食堂でも、どこでも寝転がってしまって動かず、無理に動かそうとするとスタッフを殴ってくるような人の場合を考えてください。時間はどんどんたっていくので、他の通所者の送迎の時間がきてあせっていると、施設長がやってきて「口でいくら言っても通じないんだから、施設の規則をやぶるような、こんなことをしてはいけない、それがここでの文化なんだ、ということを身にしみさせよう。ここでけじめをつけるために、いますぐこの入所者の頬を、拳で一発殴りなさい。それでもわからなければ、2,3発殴るのもしかたがない。必要なときに先輩のスタッフはみんなやっている。ただし、けがをさせたりあざが残ったりしないように気をつけて。これは暴力ではなくて愛のムチだ」とあなたに言ったというような場合を考えてみてください。別の例があれば、それでもかまいません。字数制限なし。
おまけ1 私がアフリカで腹が立って暴力に訴えたいと思った時の経験。「せっぱつまったときも猫なで声で――掛谷誠さんに学んだ危機管理」は参考にならないかもしれませんが、「ワニに食べられるよー」、と脅された話がでてきます。
https://ankei.jp/yuji/?n=1982
おまけ2(復習としてお楽しみください)
中学生向けの動画・1980年のアフリカ帰国報告・ジャングルで魚をとる人々 29分 をプレゼント。
https://youtu.be/NUKco4O4OuQ
課題ではありませんが、質問がある方はレポート内あるいはコメントでご自由にどうぞ。
おまけ3 きのう届いたばかりで、まだちゃんと読んでいませんが、『恋する文化人類学者』という本もあって(https://www.kadokawa.co.jp/product/322310000256/)、
内容のまとめは、以下のようになっています。
私と彼女のフィールドワークーー結婚相手は、アフリカのアイドルだった。
研究者の卵として、ストリート音楽をフィールドワークするためにアフリカに渡った著者。そこで出会ったのは音楽を生業とする一人の少女だった。未知の文化との遭遇、共感、そして結婚ーー。「他者とつながるためには、一度、自分の殻を壊す必要がある。それは痛みを伴う」。自らの経験を素材として文化人類学へと誘う体験的入門。来日した妻と、ふたつのルーツをもつ娘との日常を綴った補章「ラブロマンスのゆくえ」を収録。
この本を楽しく紹介する「エアプ」もされています。わずか50分ほどでずいぶんまなぶところがありました。授業よりいいかもー。 https://www.youtube.com/watch?v=lqFoX1pPk2I