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書評)#奄美「幻」の #集団自決 #軍が招いた惨劇 の記憶 論説委員・三品信
2025/09/26
https://ankei.jp/yuji/?n=3090 で紹介した本の書評を紹介します。東京新聞です。
東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/437552
〈視点〉「幻」の集団自決 軍が招いた惨劇の記憶 論説委員・三品信
2025年9月22日 06時00分
恐ろしい本を読んだ。鹿児島市の南方新社が今年7月に刊行したブックレット「奄美”幻”の『集団自決』」。敗色が濃くなった第2次世界大戦の末期。鹿児島県の奄美諸島で起きたことを、当時の島民の証言を基に伝えている。
奄美諸島は、南西諸島の中でも軍事上の要衝とされてきた。その島の一つに、加計呂麻島(かけろまじま)がある。この島では米軍の上陸に備えて、島民たちが日本軍の命令で巨大な防空壕(ごう)を掘らされた。だが実は、それは「集団自決」用のもの。つまり島民は、自らの「墓穴」を造らされていた―というのだ。
本書の著者は、神奈川県の公立中学校の元教員・津田憲一さん。島内各地を訪ね歩き、高齢の住民から当時の状況を巡る貴重な証言の数々を得た。その一つを、かいつまんで紹介する。
《兵隊から部落会長に指示が来て防空壕を掘った。前から知っていた兵隊から(戦後に)直接聞いた。あれは「玉砕のための壕」、本当は集団で自決させる計画だったと。びっくりした。避難するとしか考えていなかったから。私らはだまされて、何も知らずに”死ぬ場所”を掘っていた》
奄美や沖縄で聞いた証言や、当時を知る人の史料から、津田さんは結論する。日本軍には、住民を守らず、いざというときには自死させるという方針があった、と。
結局、奄美では集団自決は起こらず「幻」となったが、沖縄では起きた。軍の強制性や関与を巡っては現在も議論が続...
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