国際文化学研究会)第4回の予告 戦争被害と「救恤」
2007/07/11
山口国際文化学研究会 第4回は
2007年7月27日(金) 19時30分から21時
山口県立大学C号館1階 つきあたり左の会議室で
井竿富雄(いざお・とみお)准教授の
戦争被害と「救恤」です。以下は、その概要です。
本報告では、日本で行われてきた、民間人の戦争被害に対する「救恤」(きゅ
うじゅつ)について考えてみたい。
国家は戦争被害に対する賠償責任を法的には負わないという考え方がある(国
家無答責、今も日本ではそういう考えの上に立っている)。しかしながら、国家
は国民に、いざとなれば「戦争に協力する、被害が出ても我慢する」ことを求め
る(戦争受忍論)。とはいえ、一方的に忍耐だけを強いることには無理が伴う。ま
た、戦前の場合は戦争被害はまず海外で受けることが多かった。大日本帝国はた
くさんの国民を海外に送り出していたからである。海外に行け、しかし祖国の戦
争でなにかがあったら自己責任、と放り出すだけの政策はさすがに取れなかった
のである。
そこで始めたのがこの「救恤」制度である。「救恤」は国家賠償ではなく、あ
くまで国家による被害者救済制度である。日露戦争以来始まったと考えられるこ
の制度は、いったいどのように機能したのか。人々はどのように対応したか。そ
れから、いまにその影響はないか。このような、矛盾や混乱も含めた制度の内実
について述べていきたい。