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スグレモノ紹介)動かして体の不調やなおし方を伝える骨格模型「ニンジャ・アナトミー」#Ninja_Anatomy
2025/08/05
私は京都大学大学院理学研究科動物学教室に属する自然人類学研究室で大学院の勉強をしました。研究室の仲間は、池田次郎教授のもとで人骨の研究をするグループと、万年助教授だった伊谷純一郎先生の、霊長類研究グループがあって、それでもみんなで共通のひとつのゼミに参加するのでした。私は伊谷先生の指導で、自然と人間のかかわりのフィールドワークを、西表島や熱帯アフリカでしていました。
高校生のころの愛読書に、埴原和郎著『骨を読む――ある人類学者の体験』(1965年、中公新書)があったこともあって、頭蓋骨や骨格標本に違和感はないのですが、母は骨好きの人を見るとぞっとするようでした。https://ankei.jp/yuji/?n=2691
35年間おつきあいをいただいて、2025年7月3日に亡くなられた与那国島の伝承者・和歌嵐香(わからんこ)N子さんは、島のお年寄りからならった通り、毎日「骨に衝撃をあたえる」ことで、健康を維持するという習慣を続けておられました。
また、農作業をしていると、えんえんと腰をかがめて大豆畑の除草をしたりしたあとは、なんだか背中が曲がって、すっかり年寄りらしい体型になったりするのですが、それを補うために、整体とかに行ったりせずに、こんどは草刈り機で斜面の背丈を超える草を刈るということを何時間かすると、背骨を何度もぐるぐる回転させるためか、背中の曲がりは不思議に良くなったりします。
このたび、ひょんなことから、日本で動くガイコツの開発・製造・販売がされていることをしりました。
製品名は ニンジャ・アナトミー というのだそうです。https://ninja-anatomy.jp/product/
骨を動かさなければ、筋肉や筋だけではだめだ、その骨がどう動くかが手に取るようにわかる骨格模型がほしい、ということで開発されたものです。
2分の1の模型ですが、本当の人体のように動かせるので、従来の動かない模型などと違って、「あなたはこの骨の動きが悪くなっています」「この骨がつぶれて、まわりの骨にこういう影響をおよぼしています」といったことを、専門家が患者さんに伝えるために使えるスグレモノです。「振り返るときに、首だけ回していると思っている人が多いですけれど、それだと首の骨がおれちゃいます。背骨全体が少しずつ回っていることが、一目瞭然でしょう」と開発者に言われると、たしかに、骨こそ命という世界観がじわじわと伝わってきました。
一体20万円とかするらしいので、一家に一台、玄関にオブジェとしておいておくのは、ちょっとハードルが高い。接骨院などなら、安い投資でしょう。視覚に頼らない生活をしている施術者が、鍼灸院などで患者に説明するときにも、これなら確実に伝わります。
写真は、第一号だそうですが、開発開始以来10年あまりを経て、ようやく知られ始めたというところのようです。「開発室の苦悩」のページ(https://ninja-anatomy.jp/developmentdiary/)をちらっと見るだけでも、「軟骨の素材なんか何を使うんだろう? たしかになぁ」、などと思わさせるところがあります。
以前にマツダのロータリーエンジンの開発で、回転部分から混合気がもれないようにするためのしなやかで丈夫で熱に耐えるシールの素材を探すために、水牛の角まで試したという番組を見たことを思い出しました。
「この国には、誰にも知られず輝く人々がいる。」というキャッチコピーの某番組(旧シリーズは中島みゆきさんの「地上の星」がエンディングでした)で取り上げられたりすると、注文が殺到して手に入らなくなるかもしれません。その前に注文しませう。
スグレモノ紹介者 安渓遊地(生物文化多様性研究所)



