山口県農業試験場跡地)ヒ素・鉛・水銀などの土壌汚染問題 もと職員からの聞き取り2件
2024/11/13
これは、山口県農業試験場跡地を農業公園に、という活動の一環で掲載しています。
資料1の話者と写真の撮影者については個人情報保護のために公開していません。
増補3 2024年11月12日 資料1と資料2の語り手である二人のもと職員さんの話し合いの場に同席させていただきました。
1.資料1の話者の方は、B地点の焼却炉用スロープを作るときに、その下を掘って期限切れ農薬のヒ素剤を大量に埋めた職員の名前と部局、C地点の深井戸に、大量の青酸ソーダを投入した職員の名前と部局をあげて、後者については、その現場で「そういうことをしちゃあいけん」と言ったが、聞かないふりをして投入してしまった、という証言をされ、資料2の話者の方は、そのことをご存知ではなかったとのことでした。
2.お二人に確認していただいた地図上の場所を示す拡大図をあらたに掲載します。
3.B地点、スロープのコンクリートが割れて、中につめた岩が見えている状態でした。最近の写真を添付します。
4.C地点、深井戸のあった場所は、土からアスファルトに変わっていて、場所がはっきり探せない状況です。このあたり、ということで探す必要があるようです。
5.『山口県立農業試験場百年記念誌』(https://ci.nii.ac.jp/ncid/BN14814934)掲載の、昭和47年に開所して数年後の全体図を添付します。国道沿いの木がまだ茂っていないことがわかります。
増補2 2024年10月4日(はじめての記事の掲載は、9月5日でした。)
9月12日の聞き取り資料(このページに添付のpdf)を読んでくださった、もと職員の方が、実名で意見をお寄せくださいました。非常に詳しい内容で、記憶のあるもと職員への聞き取りを、県が主導して行うべきではないか、というご意見に深くうなづきました。
情報の提供に感謝もうしあげ、pdfを追加します。文中、No12は、GC(ガスクロマトグラフィー)のために、半減期が100年ほどの、放射性同位元素のニッケル63を使っていたが、これは非常に厳格に管理されていたとのことです。
県が腰をあげないなら、自主的にやるまでのことです。まずは、過去の空中写真などを見て、土壌汚染に繋がりうるどのような活動が、どの場所で行われていたかを明らかにするために、記憶をはっきりよみがえらせる手がかりが必要です。Googleearthも便利ですが、
国土地理院の無料の「地図・空中写真閲覧サービス」で「山口市大内氷上1」を検索すると
https://geolib.gsi.go.jp/map_search/results?query=%E5%B1%B1%E5%8F%A3%E5%B8%82%E5%A4%A7%E5%86%85%E6%B0%B7%E4%B8%8A%EF%BC%91
なんと、空中写真の撮影は、以下のようにひんぱんに行われていたことがわかります。この中で解像度の高いものを選ぶとよいでしょうね。
(1947,1948,1961,1963,1968,1969,1970,1973,1974,1975,1981,1983,1984,1987,1988,1992,1996,1998,2000,2001,2002,2003,2009,2010)
増補1 9月12日 もと職員からの聞き取りを追加しました。pdfです。
内容は、処分に困った期限切れ農薬を大量に地下処分したというショッキングなものです。
元の記事
以下は、2023年11月24日の 山口県の発表をマスコミが報道したものです。山口新聞にも載っていますが、無料ではほとんど読めませんので、中国新聞と読売新聞を引用します。
「(山口)県は、有害物質が検出された原因は不明としている。」
とありますが、ヒ素・鉛は、例えば、ガを殺す「ヒ酸鉛」に。水銀は、殺菌剤として、稲のいもち病の特効薬や、種籾の殺菌に用いられました。
Wikipediaには、ヒ酸水素鉛(II)として載っています。それらの多くは、人体や環境への危険性のために、失効して、使用が禁止されました。その時点での在庫は、使ってはならず、適正に処分しなければなりません。
土壌汚染の原因は、農業試験場での活動によるもの以外は考えにくいところです。
ただ、普通の農作業での使用であれば、使用が禁止されてからすでに50年ほどたっていますから、高濃度の土壌汚染は理解できません。
マスコミが、県の発表を鵜呑みにして発表していることは残念なことです。詳細を知る方を探して、聞き取りをしてみたいと思います。わかったことは、このページで追加報告します。
中国新聞 2023/11/24(最終更新: 2023/11/24)
https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/389256
山口市の農業試験場跡地で有害物質検出 基準値910倍のヒ素など
山口県は24日、山口市大内氷上の県農業試験場跡地で実施している土壌調査で、一部の区画から土壌汚染対策法の基準値の910倍となるヒ素など有害物質が検出されたと明らかにした。地下水への汚染は認められず、すぐに周辺へ影響が及ぶことはないとしている。来月、有害物質の除去作業を始める。
全敷地18・7ヘクタールのうち1967年まで旧建物があった171区画(1区画100平方メートル)計約1・7ヘクタールを今年2月以降に調査した結果、3区画から基準を超えるヒ素、水銀、鉛が出た。1リットル当たりの土壌溶出量は、ヒ素が0・01ミリグラムの基準に対し9・1ミリグラム、水銀が0・0005ミリグラムの基準に対し0・0013ミリグラム、鉛が0・01ミリグラムの基準に対し0・068ミリグラムだった。
県は、有害物質が検出された原因は不明としている。12月以降に飛散防止のシートを張り、2024年度以降に研究室の跡地など残る対象区画を調べる。23年度一般会計当初予算に土壌除去工事費約3億円を計上している。3区画の工事費は約7500万円。除去作業は24年度まで続く予定。(山下美波)
読売新聞2023/11/25 09:54
https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20231124-OYTNT50186/
山口県農業試験場の跡地から基準値910倍のヒ素…水銀と鉛も検出、周辺環境に影響なし
スクラップ
山口県と山口市は24日、県農業試験場(山口市大内氷上1)の跡地で、土壌汚染対策法の基準値の最大910倍のヒ素が検出されたことを明らかにした。調査では基準値を超える水銀と鉛も検出されたが、地下水の汚染や周辺環境への影響は確認されていないという。
跡地利用を検討する協議会で報告された。県農林水産政策課によると、2~9月、敷地の一部を調査。ヒ素は、1968年に建設された建物横の地中から検出された。この場所には、基準値の最大6・8倍の鉛も含まれていた。水銀は別の場所から検出され、基準値の最大2・6倍だった。
県は同法に基づき土壌を除去するほか、敷地内の他の場所でも調査を行う。
以上、引用終わり
おまけ
県が不明としている、土壌汚染の原因をめぐる真実がわかるまでに、ひとりひとりが次のことを胸に問うてみる必要があるでしょう。
期限切れ農薬の処分は、地域の古民家を買った場合などは頭痛の種子になる問題です。https://ankei.jp/yuji/?n=2809 大量の在庫を抱えたら、公務員としてあなたならどのように対応しますか? それが半世紀後に、3億円を超える税金による困難な処分を必要とする行為だと知っていたら?
私の見たプルトニウムコンロの悪夢
https://ankei.jp/yuji/?n=957
写真は、購入した古民家から出てきた250キロにおよぶ期限切れ農薬の法律に従った適正な処分のために、私達が、たらい回しに会いながら奔走しているところの一部で、宇部市の産業廃棄物処分場へのもちこみの場面です。
山口市有機・環境保全型農業公園を造る会 代表 安渓遊地
追記 青酸ソーダによく似た名前の シアン酸ソーダは、除草剤です。
植村振作ほか『農薬毒性の事典』第』3版 2006年:284ページ。
平松氏農試跡地汚染私見.pdf (110KB)