地域の困りごと)古民家の期限切れ農薬の場合
2024/01/22
古民家や古い農業用倉庫には、使用期限の切れた農薬・除草剤・化学肥料などがあるものです。
あらたに移住や就農しようかという人にとっては、慣行農法をする方であっても、「じゃまなもの」でしかありませんが、処分は容易でないことがあります。
農協で販売した農薬・除草剤・プラスチック類については、山口県では各地域の農協の支所が窓口となって、有料ではあってもそれほど高くはない値段を払って、引き取るというサービスがあります。
ただし、山口県農協では、農協で販売したものに限り、引取も年に1回のみです(山口市阿東支所では2023年は12月12日でした)。通常は、1キロ110円とか160円とかですが、ヒ素剤となるとぐっとお高く、水銀剤などは「時価」らしく、価格表示がありません。
農協以外で買ったものは、買った店が窓口になるのかもしれません。
問題は、林業用の除草剤です。以下は、たらいまわしの状況です。
1 農協:ひきとれません。林業センターに聞いてください。
2 林業センター:ひきとったことがありません。メーカーに電話してみてください。
3 メーカーA:ひきとれません。(数日後に電話)
4 メーカーB:ひきとれません。(数日後に電話とメール)
5 市役所の支所:家庭ごみでないのでひきとれません。県の保健センターの電話番号をお教えします。
6 県の保険センター:産廃業者に聞いてください。特定の業者を推薦はできませんが、検索システムを県でつくっています。
7: ただいま進行中
1番目の品物
製造:日本カーリット株式会社
商品名:「リンチエース 」5kg
成分表示:スルファミン酸アンモニウム70% 無機質30% 5kg
別名:アミド硫酸アンモニウム
表示:劇毒性はなく、わずかに金属腐食性があります。
化学式:H3NO3S.H3N
https://www.nite.go.jp/chem/chrip/chrip_search/cmpInfDsp?cid=C004-810-21A&rbDp=0
Wikipediaから引用:
冷水中では徐々に、80℃以上では速やかに加水分解して、硫酸水素アンモニウムになる。
利用
Sulfamic acid スルファミン酸は人工甘味料との関連が深い。スルファミン酸とシクロヘキシルアミンの混合物に水酸化ナトリウムを反応させて得られるチクロはかつて安価な甘味料として多用されていた。現在も使われるアセスルファムカリウムもまたスルファミン酸構造を持つ人工甘味料の例である。
スルファミン酸の O-または N-置換誘導体の中には、抗生物質、HIVに対する逆転写阻害薬やプロテアーゼ阻害薬、抗ガン剤(ステロイドサルファターゼ阻害薬、炭酸脱水酵素阻害薬)、抗てんかん薬、あるいは抗肥満薬として用いられるものがある。
スルファミン酸は酸性の洗浄剤として、金属やセラミックの洗浄に用いられる。塩酸の代わりに錆落とし、湯垢落としとして用いられる。更に、尿素との親和性を利用して、尿石除去剤としても用いられている。
ほか、エステル化反応やポリマー(ウレタン樹脂、入れ歯安定剤)の固化を進める酸触媒、色素や除草剤合成の原料、亜硝酸製造、水系消火剤への添加剤としての用途が知られる。
安渓遊地の評価:主成分は、水にとけて、硫酸水素アンモニウムになるそうです。
硫酸アンモニウムは、硫安という化学肥料そのものですが、硫酸水素アンモニウムは、毒物または劇物にはあたらないとされています。→それほどの処理困難物ではなさそうです。
https://www.kishida.co.jp/product/catalog/msds/id/937/code/010-03875j.pdf
2番めの品物
製造:保土谷化学工業株式会社 袋の表示は熊本市、現在は東京都
商品名:「ホドガヤ クズノック 微粒剤」5kg
最終有効年月:54 10 (1979年10月と考えられます)
成分表示:DPA・テトラピオン除草剤(表)
2,2,3,3-テトラフルオルプロピオン酸ナトリウム 2.0%
2,2-ジクロルプロピオン酸 5.0%
鉱物質微粒等 93%
農林省登録:13256号
表示:
成分1:DPAは、 2,4-Dichlorophenoxyacetic acid (いわゆる 2,4-D、最古で現役の除草剤)ではなくて、ジクロロプロピオン酸の略でした(袋には「ジクロル」と表示されていますが、同じと思われます)。
厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」によると
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/75-99-0.html
注意喚起語 危険
危険有害性情報 皮膚刺激 重篤な眼の損傷 呼吸器への刺激のおそれ
成分2:テトラピオン フルプロパネートナトリウム塩
フッ素が入った物質で、水中では非常に分解しにくいようです。(畑の土壌中での試験では、半減期は16日ほど)
C3HF4NaO2
毒性 https://www2.env.go.jp/chemi/prtr/factsheet/factsheet/pdf/fc00676.pdf
哺乳類への毒性試験結果 https://www.env.go.jp/content/900541003.pdf
水産動植物への毒性試験結果 https://www.env.go.jp/water/sui-kaitei/kijun/rv/310tetrapion.pdf
危険有害性情報
皮膚刺激 皮膚腐食性/刺激性 強い眼刺激 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 呼吸器への刺激のおそれ
単回暴露; 気道刺激性
林業センターでは、「クズノックは大した刺激はありません」と言われましたが、こちらの方が、リンチエースよりは刺激がありそうです。