調査されるという迷惑・増補版)宮本常一は「調査地被害」論文で誰を批判したのか?(門田岳久さんのブログ)
2024/05/03
2023年に、『宮本常一 〈抵抗〉の民俗学 地方からの叛逆』という本を、出版された門田岳久(文化人類学・民俗学)さんのブログ2024年4月23日 14:58に、『調査されるという迷惑・増補版』の紹介で始まる記事が載りました。門田さんのご了解を得てシェアさせていただきます。
画像で示した門田さんの著作は、以下で紹介されています。
https://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766429039/
今回の記事の
サイトは、https://note.com/kadotatakehisa/n/n2ffb502c06e6 です。
冒頭部分を以下に貼り付けて、内容は、pdfでも添付しておきます。
もうこんなにはやく紹介していただけたことを喜んで、コメントを書き込んだら、noteというサイトでは、「ハチSOSグループ」という名前になっていました。
このグループは、広島県竹原市の自然の宝庫「ハチの干潟」にLNG基地と発電所建設の危機がおよぶというので、作ったのでした。ただし、戦争やらなんやらで、LNGが高騰して、事業が成り立たない状態のようです。https://ankei.jp/yuji/?n=2558
以下本文のタイトルと冒頭部分です。
宮本常一は「調査地被害」論文で誰を批判したのか?
みずのわ出版から宮本常一・安渓遊地『調査されるという迷惑 増補版 フィールドに出る前に読んでおく本』が出版された。2008年刊の初版に3章分が追加されている。
調査されるという迷惑 増補版 | みずのわ出版
みずのわ出版は山口県周防大島の出版社です。地域性にとんだユニークな刊行物を出版しています。https://mizunowa.com
フィールドワークを行う学問が調査先にさまざまな不利益や迷惑、苦痛を与えることについては、近年さまざまな学会・大学で議論され、それを未然に防ぐ施策が調査倫理として制度化されている(アイヌ民族遺骨問題もその一環である)。
しかし宮本の論文はそのような制度以前に「調査地被害」を言語化した希有な文章である(初出は1972年)。改めて読んでみると宮本が当時、何/誰を批判的事例としながらこの文章を書いたのかが推測できて興味深い。
本書第1章では、調査先のコミュニティに迷惑を生じさせてしまったいくつかの例が示されている。名前はぼかしているが、当時の研究者なら誰について宮本が言っているのかすぐに分かるような書き方が多い。(以下は、門田さんのサイトを御覧ください。つながらない場合は、添付のpdfでお読みいただけます。
安渓遊地のコメント(ここでは、若干修正しています。赤坂憲雄さんは、これを宮本常一の「人たらし」と呼んでおられました。)
ハチSOSグループ
2024年4月29日 19:08
さっそくにとりあげていただき、ありがとうございます。知らないことも多くてたいへん勉強になります。
日本民族学会の研究倫理委員会の1次と2次の委員長だった祖父江孝夫さんが書き送ってくださった手紙によると、ある村で、和歌森太郎という民俗学の高名な学者がこられたので、お年寄りを集めていろいろ質問に答えたけれど、こんどは宮本常一というもっとえらい学者がくるというので、前よりも多くのお年寄りに集まってもらって、待っていたけれど、いっこう姿が見えない。村の中を捜索したところ、浜辺の小屋の中に座り込んで、漁師の網の修理を手伝いながら、話し込んでいました・・・・・・。
名乗りもせずに、だまって相手の仕事の手助けをして、気がついたらぞっこんのファンにされてしまっている。そうやっていきなり相手のふところに飛び込むのは、本書の序章でテントを張る私が経験したのとも通じる宮本流のフィールドワークの極意だったのでしょう。
よろしければ、拙ブログにリンクを貼らせていただければ幸いです。 安渓遊地
門田岳久(文化人類学・民俗学)
2024年5月2日 17:11
安渓さま、コメント感謝いたします。ぜひリンクをお貼りください。このたびの増補版、大変勉強になりました。
和歌森太郎に関する口伝は宮本ほどではないにせよ様々あり、歴史学者としてのリベラルな学問姿勢と、松本清張の小説のモデルになったような権威的なイメージとの落差がどういうふうにして形成されたのか興味を持っています。一つ一つのエピソードが、フィールドにどのように向き合うべきかを考える材料になりますね。
匿名にする意味などをめぐって、安渓遊地の蛇足を、https://ankei.jp/yuji/?n=2879 に掲載しました。