山口県立大の付属化候補、なぜ80キロも離れた周防大島高に? (新聞報道)
2023/12/05
非公開の審議の内容がようやく報道され始めました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/05221f955b62bc191524b3d109d30e5eae4bd4fd
山口県立大の付属化候補、なぜ80キロも離れた周防大島高に?
中国新聞 12/3(日) 10:30配信
中国新聞デジタル
県立大の周防大島高の付属化に関する申請について審議した県教育委員会会議(11月24日)
山口県立大(山口市)が周防大島高(周防大島町)を付属化の候補に選定し、2026年4月の実現を目指している。申請を受けた県教委は11月24日、同高の設置者変更や付属化の時期を了承した。ただ、同高は同大から約80キロ離れ、柳井・周南地域の県立高再編の対象になるとの見方もあった。なぜ選ばれたのか。非公開で進められた検討の経緯を、関係者の取材を基に振り返る。
<画像>県立大の付属高設置を巡る検討協議会の主な動き
同大は今年3月に付属高の設置方針を公表。山口大や県教委の関係者ら委員10人の検討協議会を設け、5~9月に月1回、非公開で開いた。第1回は私立を含む県内73校の基本情報を確認。新設ではなく既存校を付属化する方針を決めた。
第2回では県立大と連携協定を結ぶ高校など約30校が示され、私立や工業・農業高を除く県立9校が残った。第3回で同大との連携や入学の実績、生徒の通学環境など八つの観点で5校に絞り込んだ。「近接性」も観点の一つだった。しかし会合後、同大の岡正朗理事長は報道陣に「ウェブなどのやり方がある」と距離は重視しない考えを明言。第4回で3校に絞った後、同大が各校長に教育活動の特色などをヒアリングした。
第5回は3校へのヒアリングを踏まえ(1)高校の教育活動と関連が見込まれる同大の学科数(2)地域課題解決に向けた取り組み―などを基に検討。周防大島高に決まった。同高は、米ハワイ州への語学研修旅行や町内施設での郷土学習が同大の全5学科と関連すると評価された。地元中学と連携した発表会など複数の取り組みも高評価だったという。他の2校は、関連が見込まれる同大の学科は各1学科だったという。
同大は決定の1週間後の9月21日、候補校として周防大島高を公表。県教委に設置者変更と、付属校としての26年4月開校の要望書を提出した。約80キロの距離について岡理事長は「新型コロナウイルス感染症が流行した時期などを経験し遠隔講義のノウハウもある。距離的な問題がないとは言えないが、かなりクリアされている」とした。
高校と大学の計7年で県の未来を担う人材育成を目指すと説明。周防大島町を含む県東部は就職や進学で県外に出る若者が多いとし「(同大がある)県央部に目を向けてもらうきっかけになり県外流出の歯止めとなる」と強調する。同大の定員に同高から進学枠も設ける方向で調整している。
一方、同高がある柳井・周南地域は生徒減少を背景に、県教委が県立高の再編を計画している。同高は本年度の定員90人に対し合格者66人と定員割れもしており、「再編統合対象になるのでは」との見方もあった。
県立大が同高の付属化について県教委に申請した当日、繁吉健志教育長は記者会見で「同高は元々再編対象ではない。県内で唯一、全国に生徒を公募している高校であることや地域バランスを踏まえた」と説明した。その判断と、県立大の付属化を巡る動きについては「因果関係はないと思っている」とした。
今後は24年度以降、県議会の議決を経て、同大が国に定款変更の認可を申請する見通し。同大によると、県立の大学が設置する付属高は現在、兵庫県立大付属高と奈良県立大付属高の2例があるという。
中国新聞社