#与那国島 の_#生物文化_)#八重山毎日新聞 で紹介されました #松田良孝 さんの記事です #地球研 #RIHN_#Linkage_project_RT_@tiniasobu
2023/05/25
石垣島に本社がある日刊紙『八重山毎日新聞』に丁寧な紹介記事が2023年5月25日の3面に掲載されました。ありがとうございます。
松田良孝記者とは、ソウル大学校の全京秀先生と与那国島を訪問した、2009年比川のラーメン屋まで車に乗せていただいたご縁です。八重山と台湾から世界を見る視点で、すばらしいルポをいくつも書いておられます。
松田良孝さんの紹介https://www.nippon.com/ja/authordata/matsuda-yoshitaka/
松田良孝さんのブログ 台湾沖縄透かし彫り https://taiwanokinawa.hatenablog.com/
以下は、記事の原稿です。[ ]は、安渓遊地による補足です。[小]便 は、もともとの本のとおりで、引用としては正確です。
与那国島出身の女性、和歌嵐香(わからんこ)・N子さん(1954年生)=北海道在住=が書き溜めてきた島の言葉や風習、伝承などを採録したデータベース「与那国島の生物文化データベース」がウェブ上で公開されている。N子さんは、島の高齢者から受け継いだ風習や信仰を独自のアートとして絵画に描き続けており、その一部を抜粋してN子さんが自身の思いとともにまとめた画文集「ぬ‘てぃぬかーら どぅなん いのち湧く島・与那国」も発行された。
「N」とは、編者の安渓遊地山口[県立]大学名誉教授(人類学・地域学)と[安渓貴子さん(生態学)]が調査結果を公表する際にこの女性を表すために用いてきたアルファベット。遊地氏によると、N子さんは、幼いころから、季節の変化などを感知して適切に助言する「むとぅかはまい」の役割を担ってきた。画文集では、島の宇宙観や生命観につながる部分を中心に抜粋した。
安渓氏と妻の貴子氏はN子さんと30年余りの付き合いがあり、N子さんから送られてくる作品を保管してきた。これらの作品は、同プロジェクトメンバーの渡久地健氏(地理学)が選び、鑑賞の手引きを添えて画文集に収録している。
データベースと画文集は、[科学研究費補助金や]総合地球環境学研究所のLINKAGE(リンケージ)プロジェクトの一環として作成・出版された。データベースは、N子さんが収集した約4000の与那国語を、日本語、英語、中国語で説明している。N子さんが語ったり、歌ったりする様子を収録した動画もアップし、島独自の文化や言葉を多様な手法で伝えている。
N子さんは画文集のなかで「昔々から人が植物にいかに支えられてきたかがわたしの生涯の研究テーマ」と記し、木との対話を通じて「(切っても)いいよ」と承諾を得てから使用するなどと、自然との向き合い方の一端を説明している。
クバの葉を木にしばり付けて雨水を貯める知恵や、島民が長雨に苦しんでいた時、長老の知恵で生の竹を燃やして寒さをしのいだ伝承などには、独特のタッチで描いた作品が添えられている。
文化庁によると、ユネスコ(国連教育科学文化機関)が2009年2月に行った発表では、日本国内の8言語・方言が消滅の危機にあり、このうち、八重山語(八重山方言)と与那国語(与那国方言)は「重大な危機」にある言語に分類されている。
画文集に関する問い合わせは。
(松田良孝通信員)
与那国島の生物文化データベースのQRコード
和歌嵐香・N子さんが書き溜めてきた与那国島の言葉や風習、伝承などを採録した「与那国島の生物文化データベース」
「火は、ありがたいものですが、敬いと祟りを忘れたら、すべてのいのちを飲み込んでしまいます」。N子さんが警句を発する言い回しは独特だ。「土は削られ、海もアスファルトやら何やらに埋められようとしています。(中略)島のもっている『力』を越えるようなものを入れようとしています。このままでは、島は沈む」。与那国島の行く末に不安を隠さない。
島の言葉に対するこだわりは強く、画文集の意義を「自分たちの伝承を伝えることを暴力で抑えつけられ、固有の言語さえ奪われてきた、わたしを含む、たくさんの『むぬんな』たち(物言わぬ民)への応援歌」と説明する。
画文集で語られる内容はユニークだ。肥溜めに落ちた幼いころのエピソードでは、「驚きで飛び散った魂のかけらを丹念に拾い集めるため、3人のばあちゃんたちが長い時間かけて『たまちぬちんあみち』(魂の粒集め)をしてくれた」と振り返る。さらに島の信仰に言及し、「『ふるぬかんがなち』(便所の神様)は、位の高い神様」、「『うどぅるのかんがなち』(肥溜めの神様)は、日常生活の中で一番位が高い神様だと考えられています」と、島の世界観を説明している。
さらに「人間の体から出る[小]便や大便やおならは、けっして汚いものではなく、それを循環に乗せていくことが大切で、便所は汚いところではありません」と述べ、島人の目線から、人と自然のつながりを説く。
N子さんの作品のセレクションを行った渡久地健氏は「子どものころを回想した絵はアニメ風なのに、樹木やススキの絵は濃密で存在感があり、ストイックなまでに限られた色数とすぐれた構図で、古典的な絵画が持つ確かな存在感を獲得することに成功している」と評している。
(松田良孝通信員)
「N子さんの本.jpg」
和歌嵐香・N子さんの画文集「ぬ‘てぃぬかーら どぅなん いのち湧く島・与那国」
記事の引用終わり
与那国島の生物文化データベース紹介サイト https://dunanmunui.wixsite.com/my-site
データベースそのもの http://ankei.jp/yuji/?n=2690
画文集「ぬ‘てぃぬかーら どぅなん」 がpdfで読めるページ https://airtable.com/shrmT5axgMO1GOm9W/tblpQcSed0XWMhRoV/viwN8WrWRvtxKRYEL
この記事を読んで、画文集の実物を手にとってみたい欲望が止まらない方は、国会図書館にはありますが、以下のサイトをご覧ください。 http://ankei.jp/yuji/?n=2660
安渓遊地・安渓貴子@総合地球環境学研究所 Linkage プロジェクト メンバー