アフリカの旅)もっとも危険なのは? RT_@tiniasobu
2022/11/11
アフリカの旅で、命の危険があるのは何でしょう?
猛獣や毒蛇? 熱帯病? それとも?
たしかに、人も病原菌も元気な熱帯アフリカでは、病気も多いのですが、例えばA型肝炎よりは、飛行機事故の方が怖いと言われたりしました。http://ankei.jp/yuji/?n=2626
ガボンで入院中の息子の様子を見に来てくださった、在リーブルビル日本大使館の職員の方は、「なんだ、元気じゃないですか」と拍子抜けしたように言われました。ちょうど、国立公園に来ていた日本人女性が、ゾウに襲われて、内臓がはみ出すような瀕死の重症を負わされたのを見舞ったあとだったそうでした。
でも、現地の人たちとともに暮らしている限りは、猛獣や毒蛇などへの対策はされていて、それで死ぬようなことはめったにありません。そもそも、蛇に殺される人よりも、人に殺される蛇の方がはるかに多いという事実があります。
漫然と飲食をしていて、現地ではありふれた病気を持ち帰って、隔離病棟に入れられるということはありますが、それで死ぬことは、それほど多くありません。17人で東南アジアを旅して、帰国後6名の検体からチフス菌,1名からチフス菌および赤痢菌,1名からパラチフスA菌が検出されたという例もありますが(http://ankei.jp/yuji/?n=1115、リンク先も生きています)、早期に治療できれば治ります。
やはり、死亡率が高いのは交通事故でしょう。
上に述べたように、酔っぱらい運転の飛行機事故もあります。
原子令三さんは、コンゴ=ザイールで、便乗したトラックが横転して、九死に一生を得ました。http://ankei.jp/yuji/?n=17
大学院の後輩の今井一郎さんが2022年になくなったのは、マラウィのチルワ湖での船の転覆事故でした(合掌)。https://www.kwansei.ac.jp/news/detail/4702 私も、コンゴ川上流の丸木舟の旅や、タンガニイカ湖畔、ニジェール川での船旅を経験していますが、湖のようなニジェール川大三角州のあたりを航行中に、真っ暗な川に船ばたから落ちた客は、それっきり発見されませんでした。
今井さんは、大学院生のときにケニアのナイロビで灯火を消した車にひき逃げされて、あやうく死ぬところでした。
マリ共和国のメナカというところで、サハラ砂漠一人旅をしていた日本人の冒険家が、ラクダが逃げてしまって、水がなくなって死んだのも、広い意味では交通事故でした。
そんな危険なものに乗らなければいいじゃないか、と思われるでしょうが、それしかない場合は仕方がありません。
大学の同級生の山極寿一さんが、ゴリラ調査でコンゴ東部に滞在中に、妻の貴子と二人で押しかけたときに聞いた話では、ベルギー人の国立公園パトロールだったディスクリベールさんは、小型機ほど安全なものはない、と主張しておられたとのこと。なにしろ、25回以上落ちたけれど、まだ生きているからということでした。たしかに、大型機だと1回でアウトになりそう。
おまけ
貴子と二人で、コンゴ=ザイールに通っていた1978-80年ころ、森の村へは、鉱山会社のトラックに便乗させていただくのが常でした。荷台に乗ることも多かったのですが、調査許可書のおかげで、特別に助手席に乗せてもらうという便宜を図ってくれることもありました。
絶望したこともあります。トラックの助手席で貴子が「コンタクトレンズを落としちゃった!」と言うのですが、下を見たら、粉々に割れた強化ガラスのフロントグラスが足元の一面にぎっしりと散り敷いたままになっていたのです。これではとうてい探せません。
死ぬかと思ったこともあります。125CCの二人でバイクで移動中に、自転車に追突しそうになりました。前輪の上にくくりつけた荷物が、クラクションに蓋をしてしまっていたのが、原因でした。
ある日、便乗した鉱山会社のトラックの荷台に、誰も載っていないことがあって、便乗していたのは、わたしたち二人だけ、ということがありました。荷台を見たら、雷管が載せられていました。ダイナマイトに点火するための危険物です。ところがあらわれた運転手は、蒸留酒の臭いがぷんぷんして、ほとんど泥酔しているようなのです。爆発物を運ぶ恐怖に耐えるためにお酒を煽ったのでしょう。キンドゥからカイロへという100キロあまりの道を無事に到着できたのは、神様の加護があったものとしか思えません。
安渓遊地・生物文化多様性研究所