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ニューヨークタイムズ)2023年に行くべき52の目的地の2番目は盛岡市 の記事
2026/04/16
https://ankei.jp/yuji/?n=3168 で 2024年は山口市へ の記事を紹介したのですから、その前年の記事も紹介しておきます。
出典は、岩手県商工労働観光部です。いい仕事しておられます。https://www.pref.iwate.jp/sangyoukoyou/kankou/1059946/1061603.html
2, Morioka, Japan
A walkable gem without the crowds, just a short bullet train ride from Tokyo
Until this past October, Japan maintained some of the most stringent travel restrictions of any major country. Now, travelers are beginning to stream back to popular destinations like Tokyo, Kyoto and Osaka.
The city of Morioka, in Iwate Prefecture, however, is often passed over or outright ignored. Circumscribed by mountains, it lies a few hours north of Tokyo by Shinkansen, the Japanese high-speed rail lines. Morioka’s downtown is eminently walkable. The city is filled with Taisho-era buildings that mix Western and Eastern architectural aesthetics as well as modern hotels, a few old ryokan (traditional inns) and winding rivers. One draw is an ancient castle site turned into a park.
There’s also fantastic coffee, including one of Japan’s third-wave originators: Nagasawa Coffee, whose owner, Kazuhiro Nagasawa, is so committed to his beans that he uses a vintage German-made Probat roaster, which he personally imported and restored. Azumaya serves up all-you-can-eat wanko soba, which comes served in dozens of tiny bowls; Booknerd offers classic Japanese art books; and Johnny’s, a jazz cafe, has been open for over 40 years. An hour west by car: Lake Tazawa and dozens of world-class hot springs.
— Craig Modo
盛岡市、日本
東京から新幹線ですぐ行ける、人混みなく歩いて回れる宝石的スポット。
昨年10月まで、日本は主要国の中で最も厳しい渡航制限を継続していた。今、東京、京都、大阪といった人気観光地に旅行者が戻り始めている。
しかし、岩手県の盛岡市は、たいていは通過され、見過ごされてきた。山々に囲まれた盛岡市は、日本の高速鉄道新幹線で東京から北へ数時間。市街地は街歩きにとても適している。大正時代に建てられた西洋と東洋の建築美が融合した建造物、近代的なホテル、歴史を感じさせる旅館(伝統的な宿泊施設)、蛇行して流れる川などの素材にあふれる。城跡が公園となっているのも魅力のひとつだ。
また、日本のコーヒーのサードウェーブのひとつである「NAGASAWA COFFEE」をはじめ、素晴らしいコーヒー店もある。「NAGASAWA COFFEE」では、オーナーの長澤一浩氏が自ら輸入・修理したドイツ製のビンテージ焙煎機「プロバット」を使用するほど豆にこだわる。東家は小さなお椀に盛られたわんこそばが食べ放題。「BOOKNERD」では日本の年代物のアートブックを販売。そして40年以上の歴史を持つジャズ喫茶ジョニー。車で西に1時間も行けば、田沢湖や世界有数の温泉が多数ある。
クレイグ・モド
上記のサイトにある、NYタイムズに寄稿した続報 という記事も、いい。上下を線で囲まれただけの短い記事なのかもしれないけれど、その後に書いてあることもどこまでが記事だかわかりにくいけれど、取材のジレンマや、盛岡でパパラッチされる経験など興味深い。
以下引用。
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盛岡では世代を超えて店が受け継がれている。100年近く続く理容ヒラサワは、父子が並んでハサミを持つ。ティーハウスリーベは、児山チヨコさんと息子のリョウイチさんが経営。別の喫茶店、クラムボン(盛岡市民はよほどコーヒー好きのようだ)は、1976年に高橋正明さんが創業し、今は娘の真菜さん(39歳)が経営している。2019年に正明さんがガンで他界した後、店を継いだ。真菜さんは話す。「30年後、またいらしてください。多分、おばあちゃんになった私が奥で豆を焙煎してますよ。」
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盛岡を選んだ理由の話に戻ろう。これまで僕が歩いて回った数多くの地域を思い出してみる。活気がない街、継承者がいない街。高齢化が進み、夫婦が持つ子どもの数が減り、その頼りの子どもたちもチャンスが多い都会にすぐに出て行ってしまい、まさに存亡の危機にある街の数々。でも盛岡は違っていた。
2週間前、僕は盛岡を再訪した。行かずにはいられなかった。マスコミの大騒ぎの最中、店主のみんなとインスタ経由のやりとりを通じてすっかり仲良くなっていた(街の床屋さん企画で盛岡に来たときは、早坂さん、長澤さんとちょっと会話したけど、東家の馬場さんとは話せていなかった。)。何度もメールをやり取りした。みんなわくわくしていた。一体この騒ぎはどこまで大きくなるんだろう?ポジティブで前向きな雰囲気を感じる。早くみんなの店に行って直接様子を聞きたかった(何より、みんなが迷惑していないか確かめたかった)。
日本の公共放送NHKが、なんと僕の盛岡再訪を主要ニュースで伝える。市長との懇談に招かれる。さらに県知事との懇談にも。(注記:盛岡市から旅費提供の申し出をいただいたが、固辞させてもらった。今回の滞在は専ら自腹だ。)
街中を歩くと、通りすがりの人たちが僕を認めて目を丸くする(この1か月の露出で、1千万人くらいの人が僕の顔を見たんじゃないか)。車を止めて、窓の向こうから「クレイグさん、ありがとう!」と声をかけてくれる人がいる。「あーっ、あの人ですね!」と雪道をずんずん歩きながら、興奮した声を出す人もいる。信号待ちで目が合うと、おじぎをしてくれる人もいる。NYタイムズの続報で書いたとおり、僕が「あのNYタイムズの記事を書いた人」だと気づいて、友達が食べていたチーズケーキをくれようとしたおじいさんもいる。みんなが僕と写真を撮りたがった。70代のご婦人たちのグループや、「クレイグもどき」と書かれた上着を着た男性と写真に収まった。この男性は、自分が僕に似ているとかで、僕の名前をもじってそれを着ているそうだ。自称パパラッチのとある隠居老人は、Canonのデジタル一眼レフとズームレンズを手に、僕が行く先々で出没しては写真を撮りまくった。まるで映画トゥルーマン・ショーの主人公の気分だった。
市長との懇談は、関係者限りの行事かと思っていた。甘かった。市役所に着くと会場はマスコミですし詰めだった。30人はいただろうか。僕が入場すると、皆立ち上がり拍手で迎えた。一眼レフのシャッター音が、ドラムの連打さながらに響き渡る。ああ、ちゃんとスーツを着てきて本当によかった。市長と軽く懇談し、握手をする。すると、市長は退席してしまった。僕はひとり取り残され、大勢のマスコミ対応を自力でこなす羽目になった。(聞いてないよ!!)マイクが設置され、記者が次々に手を挙げて質問を浴びせる。なぜ?どうして?なんでまた盛岡を選んだのですか?!
あなた方の街が美しいからです。
食事がとてもおいしいからです。
市民が心優しく、がんばっているからです。
自然が街に溶け込むさまに、晴れやかな気分になるからです。
何度も何度も繰り返した。
このような街を創り上げてくれたことに、感謝します。
あなた方の街を歩かせてもらえて、私は幸せ者です。
あなたがたの街に、目に入るものに、そして街中から感じるこの街の根幹を成すものに、私は癒やされます。
このような街を創り上げてくれて、そこに私を招いてくれて、ありがとうございます。
こんな感じで、4日間の非現実的な日々を盛岡で過ごした。
僕は、BOOKNERD、NAGASAWA COFFEE、東家のみんなを、開運橋のジョニーへ連れて行った。
ジョニーの店主、照井顕さんが、日本のベーシスト、鈴木勲のレコードをかける。照井さんは、1980年代、ジョニーズというレコードレーベルを運営していた。
照井さんは忙しく動き回り、あちこちの棚から箱を取り出してはオリジナル盤のレコードの数々をテーブルや僕たちの膝の上にまでどんどん放り投げてくる。馬場さん、早坂さんともに大のレコード愛好家で、どの曲も知っていた。照井さんは、世間に認めてもらったみたいに思う、と涙ぐんだ。
行くべき52か所のメンバーが一同に会する。BOOKNERDと照井さんのコラボ企画が持ち上がる。この先の可能性で、店内は熱気に包まれていた。照井さんのレコードコレクションには、もっと敬意が表されないと。皆、握手を交わしたり、抱き合ったりする。
東家の社長、馬場さんが後から教えてくれた。「あんな照井さんを初めて見たよ。」
市民ホールのような所で、ステージ上で意見交換する催しにも招待された。50人くらいの集まりで、皆ミュージシャンやシェフ、デザイナー、アーティストの人たちだった。色々なテーマについて話し合った。例えば以下のようなテーマだ。
1)国民保険制度について
2)相続税(やその他の税)の大胆な増税による富の再分配について
3)柔軟な土地利用のゾーニングについて/ニンビズムがないことで、積極的な土地利用や、生活コスト、住宅や店舗の家賃の引き下げにつながること
4)平和な暮らし全般について(犯罪率の低さ、銃所持の禁止、麻薬やドラッグ問題がないこと)~クリエイティブな活動には心の平穏が必要だからだ。
若手の起業家やアーティストがこういったことを自ら考えて話し合うのを見て、素晴らしいと思った。普段はあまり意識しないが、2023年の今この地球上に生きている人間が本来悩まなくていいようなことにまで、脳をフル回転させて色々考えねばならない人も世の中にはいる。でも日本には、国民健康保険のような当たり前の仕組みがある。盛岡の規模の街では、リスクを取ったり、自分で店を始めたりしやすく、街のコミュニティーや文化の中心の一員になる余裕ができる。こうした小規模なビジネスの有り様は、森ビルのようなデベロッパーによる東京の巨大開発と対極にある。そこには、巨大な構造物の中に似たような店ばかりが並び、小規模事業者には手が届かず、個性のかけらもない。
盛岡は、盛岡にしかない個性や趣に溢れている。
盛岡滞在の間、道行く人たちや店の経営者と話した。盛岡が選ばれてうれしいと思っているだろうか?多くの人が肯定した。正確には、多くの人が、すごくうれしいと言ってくれた。でも、恐縮してしまっている人もいた。
「本当に?盛岡でいいんですか?こんな場所が?」
本当にいいのです!
日本国内で、こんなところは盛岡だけだろうか?盛岡に似た街はほかにもたくさんあるだろう。強固でしっかりとした社会的基盤が備わった街があり、住民が暮らしている。でも盛岡は、盛岡にしかない資質によって、根本的に際立っている。
少なくない数の若い世代がUターンしてくる。しかも自らの意思で戻ってきている。これはすごいことだ。最近の混沌とした世の中において、盛岡のような街を歩いていると実感するのだ。これを実現できている街が存在するんだ、と。
マスコミの大騒ぎもあらかた収束した。やるはずの仕事が全部遅れてしまっている。頭はまだ興奮状態にある。このニュースレターも3週遅れだ。2月には新しいプロジェクトに取りかかっているはずが、まだ手つかずだ。Kissa by Kissaの日本語版の版元を見つけなければならない。メールも大量に届き、返信が追いつかない。返信を待ってる人たちへあらかじめお詫びしたい。
NYタイムズの紙面に掲載された続報のタイトルは「盛岡―市民が活き活きと暮らせる街」。これを見て、疑問を感じる人もいるだろう。どこの市町村だって、住民が活き活きと暮らしてるんじゃないの?と。でもそれは違う。多くの市町村が、住民の生活をむしろ惨めにしている。
盛岡に観光客が殺到するんじゃないか、ということについては、僕はその心配はないと思っている。京都のようなテッパン観光地からはやや離れてるし、盛岡に行くのは少し手間がかかるように思えるし(実際はそうじゃないのだけど)、盛岡に来てみようと思う人は、好奇心旺盛で違う体験をしてみたいタイプだろうから。とはいえ、皮算用をしてみるとすごいことだ。年間にほんの3万人でも観光客が増えて、数百ドル消費したとすると、今後10年間、1億ドル以上が流れ込む算段となる。東北地方には、訪日客のうちほんのわずかしか訪れていない。訪日客の消費先を東北に持ってこれたなら、すごいインパクトとなる。
さらにすごいのは、この会員限定のプログラムSPECIAL PROJECTS(以下「SP」という。)のおかげで、今回の一件があるということだ。僕が盛岡に行ったこと自体、SPプログラムが僕のウォーク企画を支えてくれたおかげだ。過去5年間、各地を歩き回れたのもSPのおかげ。だからNYタイムズの打診を受け、盛岡を熱心に推薦することができたのも、SPの力だ。あの取材攻勢の中、何で盛岡なんか推薦しちゃったんだろ、なんてみじんも思わなかった。何度も言っているとおり、盛岡は無作為に選ばれたのではない。これまで僕が全国各地でこなしてきた膨大な量のパターンマッチングをもとに、盛岡という素晴らしい街に照準が絞られ、この機会を捉えて公にした、ということなのだ。
SP会員の皆さんの長年のサポートに心から感謝する。恐らく今回の一件は、このプログラムから出た最大のインパクトのある出来事だと思う。
また、盛岡の皆さんに感謝したい。全国からの視線が降り注ぐ中で、しなやかに事態を受け止め、僕に感謝をしてくれて(そんな必要ないのに)、親切にしてくれて(特にも馬場さんはこの大反響を乗り切るべく僕を導いてくれた)、そして何より、こんな世界に、可能性に溢れた素晴らしい街として存在してくれていることに。
ニュースレターRidgelineにも、盛岡で出会った人々を紹介しているので、ぜひそちらもご一読願う。
では皆さん、この冬を元気に乗り切っていこう。季節も変わり始めて、春は疾風怒濤のごとくやってくる。
盛岡には冬しか泊まったことがないから、今度はこの夏に行ってみたい。岩手山は、登り甲斐のある山とみた。
52 Places to Go in 2023 - The New York Times電子版(有料に誘導されるのでご注意)(https://www.nytimes.com/interactive/2023/travel/52-places-travel-2023.html)
盛岡市特設ページ(https://www.city.morioka.iwate.jp/kankou/kankou/kankouinfo/1041747/index.html)
クレイグ・モドさんニュースレターの掲載サイト(https://craigmod.com/roden/077/)
その後、18億円の増収につながったとする検証記事もあります。
https://morioka-kankou.hateblo.jp/entry/2025/01/19/084957
pdfも添付しておきます。



