わがこと・ひとごと)大学生のレポート書きへの助言
2025/02/07
某大学の授業で学生へのメッセージです。
文化人類学の最終レポートで取り上げるテーマとその取り扱い方について、ご助言です。
例えば、日本での貧困と格差の拡大ということをとりあげるとします。
そのとき、よく自助・共助・公助のバランスなどということがいわれます。
1)眼の前で困っている人たちへの緊急避難的な共助と、
2)長い目でみたセイフティネットの充実へむけた公助の拡大という課題があることをきちんと区別して両方の必要性を踏まえてまとめることは、客観性をもったレポートとしては必須でしょう。
ただし、わたしの授業できわめて大切なことは、あなた自身が 「自助努力が足りない」と言われたときの絶望感をどの程度わがこととして受け止められているか、です。
とくにそれが自分ではどうしようもない、出生とか、属する文化とか、宗教とか、障がいとか、病気であるような場合。
その書き手の姿勢が、単なる評論(いくらAIの助けで、きれいにそつなく仕上がっていても、合格不合格すれすれ)か、血のかよったメッセージになるかの分かれ目になると思います。
なかなか答えの見いだしがたい課題をみつけ、「わがこと」として悩んで、脳の汗を流した程度が 最大の評価である「気づき点」となります。
まとめ:「ひとごと」として書かれたレポートでは安渓遊地の授業の合格点はほぼもらえません。