書評)調査されるという迷惑・増補版 森 万喜子さん @日本教育新聞
2024/11/27
日本教育新聞 の2024年11月18日号の第5面で紹介されました。
http://www.kyoiku-press.co.jp/archives/4377
教育現場にも、アンケートなどの迷惑調査が押し寄せるという経験を踏まえて書いていただきました。書いてくださったのは、果敢な行動力で、教育界では、「ブルドーザーマキコ」と称され、山口大学にも講演にこられたことのある、森万喜子さんでした。ありがとうございます。
以下引用です。
日本教育新聞2024年(令和6年)11月18日(月曜日) 5面
リーダーのためのメディアガイド 名著
森 万喜子 青森県教育改革有識者会議副議長(前北海道小樽市立朝里中学校校長)
相手へのリスペクトを忘れずに
今から16年前に初版が出版され、今年増補版が刊行された。文化人類学、民俗学等の研究者が現地訪問調査(フィールドワーク)に赴くときに留意すべきことが具体的なエピソードを交えて記されている。
調査に入った研究者たちの不遜な態度、文化的資料の無許可持ち出し(つまり泥棒)など、「学問」という名の下に無礼を働く学者と現地の人たちとのやりとりが記されている。
現在この本は、学術調査だけでなく地域づくり、医療・看護・福祉の現場の関係者にも活用されているらしい。
著者いわく「例えば運転免許更新講習時に見せられるビデオのように、悲惨な事故を避け、事故を起こしても絶対にひき逃げをしない運転者を育てることに徹した」本である。
私事だが学校改善や自治体の教育改革に関わり、教職員や保護者対象にアンケートを実施したこともある。
回答の中には「アンケートなどやっても何も変わらないことばかり。忙しいのに時間を取られ迷惑」という厳しいコメントもあった。
調査されても、結果が自分たちの働きやすさや財政措置、教育の質の向上に結び付かないことが過ぎて、調査不審になる気持ちも分かる。
調査は内容を吟味し、調査したからには正しく活用し、結果につなげなければならないと心に刻む。
最近は、リスキリングの必要性に気付き、働きながら大学院で学ぶ人も増えてきたので、ご自身が調査する側であったりするかもしれない。
大概は学校現場等に大学名で依頼文書が、時には調査票と返信用封筒と共に送られてきたり、回答用QRコードが記載された文書が郵送されたりする。
でも、個人のメールアドレスにかなりカジュアルなスタイルで、インタビュー依頼やメールで回答を求める問い合わせも多くなった。正直、はてと思う。
大学の先生や、ある分野の有識者の方に、中高校生から調査依頼のメールが届くこともあると聞く。
精度が低い質問を、自分で調べることも十分にせず、専門家にダイレクトにメールを送り付けるのも、現地を土足で荒ら回る態度と似ているのではないか。
総合的な学習の時間や総合的な探究の授業など生徒の探究学習をサポートする立場の先生もいらっしゃるだろう。
学びは相手へのリスペクトを欠いた時点で意味を失う。
「調査する、される」どちらの立場でも、読んでおくべき一冊と考える。(引用終わり)
文中の
リスキリギングという言葉を知りませんでした。
再び スキル(わざ) を 身に付けさせる という意味なんですね。
https://www.asahi.com/sdgs/article/14650493
森 万喜子さん紹介
元公立中学校長 教育アドバイザー
北教大卒。校長在任中、兵教大学院(学校を核とした地域づくり、学校改革や働き方改革等研究)修了。果敢な行動力で「ブルドーザーマキコ」と称され、学校改革、学校と地域、不登校生徒・保護者エンパワメント等、精力的に取り組む。著書『「子どもが主語」の学校へようこそ!』他。連載・講演など多数。
以下は、やや詳しいプロフィールです。
■職歴・経歴
北海道生まれ 北海道教育大学で美術を専攻、その後千葉県千葉市、北海道の中学校教諭を勤め、後に教頭校長を歴任。校長在任中に働きながら兵庫教育大学院教育政策リーダーコースで学び修了。
研究内容は 学校を核とした地域づくり、学校図書館の運営、読書や学び方指導 また、学校改革や働き方改革関係においてもメディアに取り上げられる。
その行動力から「ブルドーザーマキコ」と呼ばれるが、生徒やスタッフ、保護者にはいつも明るく、前向きであたたかい対応を欠かさない。
2023年11月 TEDxSapporo2023 スピーカー
■主な公職
小樽市学校図書館協議会会長(2014~2022)
公立学校退職後も 執筆や講演活動多数
2023年~青森県教育改革有識者会議副議長
文部科学省 学校DX戦略アドバイザー等
■専門分野
学校改革 学校の組織開発 教員研修
キャリア教育
学校と地域をつなぐ(コミュニティ・スクール)活動
学校図書館管理運営 児童生徒の学び方・読書指導
不登校の生徒と保護者対象のエンパワメント
■背景・活動歴など
【講演】
山口大学 北海道大学 各地教育委員会主催教職員研修 教育系出版社 熱中小学校 等 多数)
【執筆】
日本教育新聞 月刊教職研修 みんなの教育技術(Web版) 月刊日本教育 等多数
■著書
「子どもが主語の学校へようこそ!」(教育開発研究所)
「校長の挑戦」(教育開発研究所)
「学校と社会をつなぐ!」(学事出版)
https://www.sbrain.co.jp/keyperson/K-19566.htm
添付の2番めのpdfは、以下のサイトからダウンロードしました。https://advisor.mext.go.jp/wp-content/uploads/2023/06/mori-makiko-2024.pdf
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35366750U8A910C1TY5000/
の記事に載っている、記事を読んだら、なんだか好きになりそう。
「文書作りなど雑務に手間暇を掛けて『仕事をした気』になっている教員が多い。本当に必要な業務かをいつも問い直す姿勢が必要」と語気は鋭い。今学期からタイムカードを導入し、「どれだけ働いているかまず自覚を」と諭した。定時には早く帰るよう声を掛けて回り、自身が率先して職場を後にする。
以上、著者のひとり 安渓遊地でした。
mori-makiko-2024.pdf (322KB)