北海道新聞)二風谷アイヌ資料館にアフリカの仮面寄贈 RT @tiniasobu
2023/09/26
2023年7月に、与那国島の生命観と宇宙観を描く原画展に参加するために、小樽を訪れました。その最後に、与那国島とアイヌ民族の生命観や宇宙観の展示との対比の目的で、二風谷と白老を訪ねました。二人の旅費は、総合地球環境学研究所のLinkageプロジェクトの負担でした。この機会を利用させていただいて、萱野茂さんが創設された、萱野茂二風谷アイヌ資料館に、アフリカの仮面をプレゼントさせていただきました。2回めです。詳しい背景や萱野茂エカシとの対話の記録は、以下にあります。
https://ankei.jp/yuji/?n=2650
館長の萱野志朗さん、取材に駆けつけてくださった、北海道新聞の杉崎萌記者、お世話になりました。宿泊は、萱野さんの息子さんご夫妻が運営される、ゲストハウス・ヤントでした。清潔で、アイヌ民族の本や映像資料がいっぱい自由に見られて、すてきでした。
2023年9月26日 16頁 北海道新聞「日高」版
先住民族の教訓示すアフリカの仮面寄贈
人類学研究者・安渓さん 二風谷アイヌ資料館に
【平取】世界の先住民族の民具を展示する町二風谷の萱野茂二風谷アイヌ資料館に、 アフリカのコンゴ(旧ザイール)のレガ民族らが作った六つの仮面が寄贈された。送り主は、長年同国で調査を続けた山口県立大の名誉教授で人類学研究者の安渓遊地あんけいゆうじさん(72)=山口県在住=。故萱野茂さんと交流があり、現地で集めた仮面を1992年に続き資料館に持ち込んだ。
寄贈された仮面は、 コンゴ東部の南キブ州とマニエマ州に住む先住民族のレガ民族の3点とソンゴーラ民族の2点 ベンベ民族の1点。 全て木や動物の骨で作られている。仮面のデザインには人生の教訓が込められ、儀式での歌や踊りの際、身に着けたり持ったりして若者に伝えるという。
レガ民族の仮面の一つ「ケモナ」は丸い穴の目が特徴で、「大きな目を開けて物事をよく見極めなさい」との教えを表現した。ソンゴーラ民族の2点は耳や顔が細長く、 安渓さんは「獣のようだが、人の心のありようを表している」といい、強い態度で相手を激しく非難する人に対する戒めを込めた。 ベンベ民族の仮面の詳細は不明。
安渓さんは京都大大学院で文化と自然との関わりを研究し、博士課程2年目の1978年に旧ザイールを初訪問。 現地の人々と生活しながら文化や暮らしを体感した。90年までに3度足を運ぶ中、先住民族の仮面や彫像にも興味を持ち、使われなくなった計35点を現地の商人から購入した。
92年に山口県で萱野さんと知り合い、先住民族の道具や衣装を集める資料館の趣旨に賛同した安渓さんは同年、レガ民族の仮面や彫像を計28点寄贈した。「『学者はアイヌの民具を持ち去るばかり』という萱野さんの言葉を読み、持ち込む学者がいてもいいのではと思った」と振り返る。
今回は7月18日に同館を訪れ、萱野さんの次男の萱野志朗館長(65)に仮面を手渡した。「精神世界の教科書として使われていた仮面をねぎらう気持ちで見てもらえれば」と安渓さん。
同館の入館料は大人400円、小中学生150円。 午前9時〜午後5時。11月16日〜4月15日は事前予約が必要。 問い合わせは同館、電話01457・2・ 3215へ。
(杉崎萌)
写真の説明
安渓さんが資料館に寄贈した仮面。(右から) レガ民族の「ケモナ」と別の1点、 ソンゴーラ民族の2点、 レガ民族の別の1点、 ベンベ民族の1点
萱野茂二風谷アイヌ資料館 https://kayano-museum.com/
ゲストハウス・ヤント https://nibutani-yanto.com/