#富山大_#懲戒解雇_処分)読売新聞の報道への疑問_#竹内潔_氏_RT_@tiniasobu
2016/12/04
竹内潔氏と富山大との間で、和解が成立したことについて、私のブログでは、比較的バランスのとれた報道として、毎日新聞の記事を紹介しています。
http://ankei.jp/yuji/n=2252
朝日新聞と北日本新聞もまあまあと思います。
http://ankei.jp/yuji/n=2257
読売新聞が記事にしています。12月4日現在までは、ネット上で読めるのは、毎日と読売だけですから、ここでは、読売新聞の記事をとりあげてみましょう。
まず、2016年12月4日現在、インターネットで読める記事を貼り付けます。URLは、以下のとおりです。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20161202-OYT1T50076.html
富山大元准教授、懲戒解雇処分変更で大学と和解
2016年12月02日 18時03分
虚偽の業績を書類に記載したとして富山大に懲戒解雇された元准教授の竹内潔氏(60)が、富山地裁に地位保全の仮処分命令を申し立てていた問題で、竹内氏側は29日、富山大と和解が成立したと発表した。
和解では、富山大が退職手当と解決金計757万4690円を竹内氏に支払い、処分を懲戒解雇から60日間の出勤停止に変更して自己都合退職とする。
富山大人文学部の准教授だった竹内氏は2013年6月、2000~12年度に教授昇任選考書類などに虚偽の業績を延べ37回記載したとして懲戒解雇された。竹内氏は処分を不服として14年12月、富山地裁に地位保全の仮処分命令を申し立てた。富山地裁は今月9日、和解条項案を提示し、両者が受け入れた。
竹内氏は「懲戒権の濫用を富山大が認めたという成果があったと考えるが、十分に満足いくものではない。今後、不公正かつ恣意しい的な手続きや審査による処分で教員の研究や教育の途が閉ざされる事態が二度と生じないよう強く希望する」との談話を出した。
富山大は、和解に応じたことを認め、「60日間の出勤停止は懲戒処分。業績の虚偽記載を行ったことは裁判所で認定され、復職も認められなかったと考えている」とコメントしている。
引用終わり
ところが、2016年12月2日づけの読売新聞の紙上では、添付のjpg
およびpdfのような内容でした。これを「元の記事」と呼ぶことにします。そこには、毎日新聞での報道にはないものとして、次のAとBの2点が記載されていました(現在のネット上の記事では、Aについて「微」修正済み。将来また変わるかもしれないので、ネットの内容の画像も添付しておきます)。
A「竹内氏側によると、富山大学人文学部の准教授だった竹内氏は
2013年6月、2000~12年度に教授昇任選考書類に、虚偽
の業績などを延べ37回記載したとして懲戒解雇された。」
B「富山大学は、和解に応じたことを認め、「60日間の出勤停止
は懲戒処分。業績の虚偽記載を行ったことは裁判所で認定され、復
職も認められなかったと考えている」とコメントしている。
これを読んだ竹内潔氏は、読売新聞富山支局に対して、概略以下のように抗議し、訂正を申し入れました。
1) Aの表現(「竹内氏側によると」)だと、竹内氏自身が、不正をおこ
なったことを認めたように読まれる可能性がある。竹内氏側および「竹内潔氏の復職を支援する会」・世話人一同のコメント」のプレスリリース(http://ankei.jp/yuji/n=2256 参照)
には、Aに書かれていることなど、何も書い
ていない。そもそも「竹内氏側によると」という字句は誤りで
ある。
2) Aでは、十数年、竹内氏が教授昇任選考書類に虚偽を書き続けたと読
めるが、懲戒解雇で対象になったのは、この書類だけではなく、ネッ
ト上のホームページを含む多種多様な記載であり、このことは富山
大学が処分当時に公表している。したがって、「2000~12年
度に教授昇任選考書類に……」という記載は事実誤認である。
3)「竹内氏側によると」という文言に続けて書くのであれば、竹内氏
の側が裁判で立証したとおり、「2005~2011年の間の様々
な書類に、虚偽の業績を記載したとして懲戒解雇された。ただし、
裁判では、富山大学側は記載件数を確定しなかったと言う」が正しい。
4)
Bの富山大学のコメントは、裁判官は、和解にあたって、裁判での争論は棚上げして、判断を下さないという民事裁判の常識から逸脱している。今回の和解では、裁判官は、懲戒解雇処分を取り消して出勤停止処分にするという大枠を提案し、双方の譲歩を裁判官が求めるだけであった。裁判官の判断は、判決(文)において示されるものであり、和解では示されないというのが、民事裁判の常識である。
読売新聞記者は、竹内氏側の代理人弁護士には、竹内氏のコメントの裏をとって、民事裁判の常識から逸脱していないことを確認した。しかるに、富山大学側コメントについては、大学側の代理人弁護士にウラをとらなかったと考えざるを得ない。(もしウラをとっていれば、大学側弁護士は、民事裁判の常識から逸脱したBのコメントを否定したはずである。この記事を書いた記者も、それを編集したはずのデスクも民事裁判についての、経験と常識を持った記者等に尋ねるなどの作業をおこなった形跡はなく、誤解が生じることを承知で、大学が発表したことをそのまま書いてしまったのであろう。
そうであれば、コメントの妥当性についての確認が竹内氏側についてのみおこなわれ、あたかも裁判所も竹内氏が不正をおこなったことを認めた、その証拠に竹内氏の復職を認めないという判断をおこなったかのように、読者が読みとれる文章を載せたのは、報道の中立性を守っていないと考えざるを得ない。
また、記事は、懲戒解雇取り消しと引き替えに「停職処分+退職」という妥協を富山大学がおこなったかのように読みとれるが、和解で決まった退職は停職処分が終わって一ヶ月後であり、また、あくまで「自主」退職である。
3. 読売新聞の記事の微修正(修正記事を添付しました)
竹内氏側の抗議を受けて、読売新聞富山支局は、インターネット上の記事を「微」修正した。もうひとつの画像がそれである。
修正は、Aについての以下の3点のみであったことがわかる。
「竹内氏側によると」→削除
「教授昇任選考書類に」→ 「教授昇任選考書類などに」
「虚偽の業績などを」→「虚偽の業績を」
4.
読売新聞のこの記事を読んで、ネット上では、竹内氏側を非難する論調が増殖しているようですが、不正確な報道による被害者たたき、セカンドレイプの類であろうと、安渓遊地は、考えています。退職金等を受け取ったことに対するそねみのような感覚もあるかと思いますが、収入の道を絶たれて、しかも時間とエネルギーをとられ、弁護士費用もかかる裁判が続く中で、本来の研究活動も思うようにできないということが、どれほどの苦痛を伴うかを考える想像力が欠如しています。
とくに、「竹内氏が37回にわたり業績の虚偽記載をおこなった」という富山大学側の主張は裁判の過程で事実とは認定されていません。もし、認定されていれば、懲戒解雇取り消しという和解に至ったはずはないというごく当然の判断がなされていません。
民事裁判における和解というのは、ゼロか100かという判決にかかる時間や費用などのリスクを考えて、双方が妥協するところで成立し、判決同様の強制力をもつものです。
復職を求めてきた竹内氏が妥協したのは、これまでの裁判のスピードを考えると、復職を勝ち取ったときには、定年退職間近という事態になることやご家族の将来にさらに犠牲を強いることなることが危惧されたからでした。懲戒解雇されれば、どこの研究教育機関での再雇用も期待できないため、3年前にさかのぼって自主退職とするという苦渋の選択をされたのでした。
富山大側は、竹内氏懲戒解雇の決定そのものを取り消すべきだというのが、この間の事情をうかがった安渓遊地の意見です。一方で、何かの処分を行わなければ、竹内氏の研究者教育者としての未来を閉ざそうと画策した大学内の関係者の責任が問われることになることを恐れるという大学執行部内の雰囲気があるだろうことも、国公私立の大学教員を40年近くやっていると、十分に想像のつくところです。その結果、富山大学が、懲戒解雇取り消しという国立大学法人としては2例目という和解を受け入れたことには、当初の「処分」の異常なまでの過酷さについて、全国の研究者・大学人からの批判的意見が、裁判所に寄せられたことも、いささかの影響力はあったのであろうと、安渓は考えています。
こうしたことが再発しないように、富山大学だけでなく、全国の大学の中で何が起こっているかを、できるだけ可視化して、それをきちんと主権者が知っていることが大切です。そのために、メディアの果たす役割は、どれだけ強調しても強調しすぎることはありません。
安渓遊地の育った高岡市の名誉市民である正力松太郎氏の創立になる読売新聞については、これからも関心をもって読ませていただきたいと願っています。
以下の拙ブログも参考にされてください。
2014/1/16 泉田知事の東電への疑問をめぐる報道の対比 東京新聞と読売新聞 (飯田てつなりさんより) RT
@tinibasobu 2014/01/17
http://ankei.jp/yuji/n=1954
メディアの金しばり)テレビ番組スポンサー表@ wikiというサイト #media #TV #sponsor #TEPCO #genpatsu RT
@tiniasobu
http://ankei.jp/yuji/n=1538
マスコミの記事)あえて原発賛成をいう西日本新聞記者 #genpatsu #sansei RT @tiniasobu
http://ankei.jp/yuji/n=1485
マスメディアの再生)東京新聞のコラム『原発の「安全神話」をつくることに加担した責任を自らの手で』 #tokyoshinbun #genpatsu
#sekinin RT @tiniasobu
http://ankei.jp/yuji/n=1399
原発)だまされた国民の責任からも目を背けてはならない 毎日新聞・山下貴史記者(和歌山支局)のすばらしい記事 #genpatsu #wakayama
#sekinin
2011/07/19
合州国での研究で、原発から100マイル(160キロ)以内では乳がんで死亡する人が増えているのに、それより遠ければ、増えていないことがわかっています(グールド、2011「低線量内部被曝の脅威―原子炉周辺の健康破壊と疫学的立証の記録』緑風出版)。日本に54発ある商業用原発を中心に半径160キロの円をかいてみてください。その圏外になるのは、沖縄奄美を除けば、北海道の東半分と和歌山県の南端だけだとわかるでしょう。
その和歌山からの毎日新聞記者・山下貴史さんの記事は、日本の社会の病根への非常に深い洞察と、それを乗り越える未来への道筋が示されたもので、非常に感動しました。
http://ankei.jp/yuji/n=1513
原発導入のシナリオ)94年のNHK作品の文字起こしと注 #genpatsu #正力松太郎 #yomiuri RT @tiniasobu
http://ankei.jp/yuji/n=1542
記事掲載者・連絡先
安渓遊地
〒753-8502 山口市桜畠3-2-1
山口県立大学国際文化学部 教授

