ナイロビの夜) あやうく自動車強盗に遭いそうになった話
2013/11/24
ナイロビに長く住んでいる友人(日本人女性)の経験です。気をつけましょう。わ
たしも、寂しい道に迷い込んだり、途中で車のライトがみんな消えてしまったり、ひ
やりとした経験はいろいろあります。
ナイロビでの話です。昨日の夜、とても怖い経験をしました。特に旅行者の人た
ちには気をつけてもらいたいので、何があったかお知らせします。
昨日、連絡をくれた日本人旅行者に会って話をして、そのあと彼女が泊まってい
る宿に車で送って行きました。彼女がインターネットで探して見つけたというナイロ
ビのカレン地区のドミトリーです。夕食を一緒に食べてからあとだったのですでに夜
でした。カレンは遠いのでタクシー代が高くて気の毒だからと思って送ることにした
のがいけなかったです。まず夜にカレンに行ってはいけない。そしてケニアに来る個
人旅行者の皆さんは、インターネットで検索して見つけた宿が安いからという理由で
決して泊まってはいけない。今年の夏にもそうやってネット予約した宿に到着した途
端に撃たれた日本人の女子大生がいました。泊まる宿を決めるときは必ず、ナイロビ
に住んでいる誰かにそこが安全かどうかの確認をしてから泊まらないと危ないです。
ここ数年、旅人たちが多く集まっていたジャングルジャンクションも、先月、2回武
装強盗が入り発砲したそうです。
私が彼女を送っていった宿は、カレンのガラリアショッピングセンターのそばで、
Kenolのガソリンスタンドの向かい側で曲がって入っていった先にある宿です。とて
も自然豊かなステキな自然環境の中にありますが、そのガタガタ道はそのまま行くと
森です。曲がったとき、え、ここなの?と思って嫌な予感がしたけれども、送ってい
かなければならないのでそのまま直進しました。すると途中から後ろに車がついてき
ていることに気がつきました。ずっとついてきます。でもあまり深く考えていなくて、
そのまましゃべりながらまっすぐ進み、ゲートについたので私の車はゲートの中に入
りました。後ろにいた車はそのまま通り過ぎました。
彼女を中でおろして、またゲートを出ようとしたとき、その車が引き返してきて
目の前を通り過ぎました。え?!と思って、ゲートを出たけどそのままブレーキを踏
んで、進むのを一瞬躊躇しました。すると、通り過ぎた車が、スピードを落としてい
ることに気がつきました。これはおかしいと思ったけど早く家に帰りたい。どうしよ
うかと思ったときに、アスカリ(門番)が話しかけてきました。あの車は後ろをつけ
てきたか?と聞きました。そうだと思うと言ったら、おかしいからまずは中に入りな
さいと言われて門の中に入りました。
アスカリが言うには、このまま30分くらい待ってから帰りなさいと言う。この
道の途中に溝があっただろう、あそこに隠れていて通りがかった車を襲うんだと彼は
言う。え!でもそれなら30分待ったって、まだいるかもしれないじゃない!私は怖
くてそんなところ通れないと言いました。あなたの会社に電話して話させてと言った
ら、なんとそのアスカリは携帯電話のバッテリーがローだから自分の働いている会社
の電話番号がわからないと言う。そんな馬鹿な!と思ったけど、じゃあ、アラームを
鳴らしてパトロールを呼んで、と言いました。そうしたら彼は言われた通りにそうし
てくれた。2分で来るはずなのに、30分かかってセキュリティ会社の軽トラがやっ
と到着。
その車がエスコートしてくれるということなので、2台で共にゲートを出て、ア
スカリをひとり助手席に乗せていけという。でも私はそこでもまた躊躇しました。こ
のセキュリティ会社の車とアスカリが本物だという証拠がどこにあるでしょうか。こ
のようなセキュリティ会社や警察官も襲われて制服や車を盗まれ、それを使って強盗
をする人たちがいるとも聞きました。そして、この車にエスコートされても、前方に
待ち伏せしている武装強盗5人組から本当に守ってくれるという確証がありません。
通り過ぎた車には大きな男たちが5名乗っていて、全員がキャップをかぶっていまし
た。アスカリがいうには、あれがいつものスタイルだということでした。あの5人は
銃を持っていて、もう1台車が待ち伏せしていて、2台で働くのがスタイルだと言う。
ということは、私がセキュリティ会社の軽トラと2台で行っても、果たして本当に安
全なのか、そしてさらに、もしかしてこの人々はセキュリティ会社に扮していて、こ
の門番と結託しているのではないか、助手席に乗ったアスカリは途中で銃を取り出し
て突きつけるのではないかと、もしそうしたら私は完全にアウトです。どうしようか
非常に迷ったのですが、彼らは大丈夫だというし、早く行かなければもっと遅くなる
ともっと危ないと言うので、仕方ないから言われるままに行くことにしました。
とにかくスピードあげて走り抜けるようにということで、ガタガタ道を全速力で
飛ばしました。すると、しばらく行って右側のしげみの中に、通り過ぎた車が隠れて
いるのが見えました。私はそこで叫んだのですが、いるじゃないの!あの車!あそこ
で待ち伏せしていた!と言うと、助手席のアスカリは見えなかったといいます。そも
そも、彼が助手席に乗ってきたときに、あなたの名前は何?と聞いて、すぐに答えな
い。いろいろ話しかけて返事がない。英語で話しかけてそれからスワヒリ語で話しか
けても、答えない。この人はほんとに大丈夫なのかと嫌な予感ばかりがしました。
待ち伏せしている車がみえてからあと、すぐに、前方に、もう1台の車が止まっ
ていて道路をブロックしているのが見えました。助手席のアスカリは、行けというの
だけど、そんなあの車が止まっているのに行けるわけないじゃない!と叫んで、する
とすぐ横に大きな家のゲートがあるのが見えたので、そこに私は曲がってゲートの前
に車をつけ、助手席のアスカリを大急ぎでおろして、ドアをしめて鍵をかけました。
セキュリティ会社の車に乗っていた人たちも降りてきて、私の車のドアをあけろとい
うけれども、もう怖すぎて開けることはできない。かといって、そのゲートのアスカ
リも、あけてくれません。しかしアスカリがゲートの上から覗き込んで見ていてくれ
ていることと、その足元に獰猛そうな巨大な番犬が10頭くらい興奮している姿が見
えて、それがその状況の私にとってせめてもの安心感でした。そこにしばらくいたの
だけれども、結局前方で止まっていた車が動きはじめて去ったのを見たので、私も、
ぎゅーんとバックして切り返して、全速力でそのガタガタ道を駆け抜け、脇目もふら
ずそのままランガタロードに出て家まで全速力で走りました。
このような状況におかれたときにつくづく思ったのは、まずはケニアの場合、こ
ういう状況でセキュリティ会社や警察が来ても、そもそもが、その警備員や警察官自
体を信用できないということです。アラーム鳴らして待っている間にアスカリがいろ
んな話を聞かせてくれましたが、ここでは先週もドイツ人とオーストラリア人が道路
で襲われて殺されたとか、毎晩のように叫び声が聞こえるけどどうしようもできない
とか。そして別のアメリカ人と何国人か知らないけど2人組が襲われて殺されたとき、
10人組で襲いに来て、その中のひとりは警察官の制服を着ていたとか。そのようなこ
とを話しており、セキュリティ会社の車だって信用できないし、警察がいたとしても
信用できない、ほんとに考えれば考えるほど何から何までどういう状況でもありうる
というかんじで、だからといって昨夜の状況において、あのままそこにいることもで
きませんでした。なんとか家に無事帰れて本当にほっとしたけれども、夜通しいろん
な想像が頭の中を駆け巡り、トラウマになりました。
朝になり、とにかくあの女性にも警告しなければいけないし、今回は無事だった
けど次はどうなるかわからないので、ジュンバに宿泊してもらうことも今回はあきら
めてもらおうと思って電話をしたけどつながらないので、リリアンに電話して伝えた
ところ、あなた朝のニュース見た?と聞かれました。え、まだ見てないというと、朝
のニュースで言ってたわよ、カレンでひどい事件あったわよ、同じ強盗かもよ、と言っ
ていました。ぞっとしました。
とにかく気をつけましょう。そして日本の平和や治安の良さがいかに貴重なもの
かということをつくづく思います。昨夜は本当に怖かったけれど無事でよかったです。
ありがとうございました。