平和のレッスン)寛容クラブに非寛容がやってきた。さあどうしよう。
2004/04/23
これは、昨年度の「文化人類学I」の授業で提出された大レポートや小レポートの
中から、安渓が、最も心を動かされた小レポートの前半部分です。
匿名なら公表していい、という許可をご本人にいただきましたので、読んでください。
後半は、1週間後に発表します。
小レポートの課題は、「寛容は非寛容に対してどのようにふるまうべきか」という
やや理屈っぽいものでした。
http://ankei.ypu.jp にも載せました。 安渓 遊地
平和のレッスン)寛容クラブに非寛容がやってきた。さあどうしよう。
---------------------------------------------------------------------------
ある学校に、『寛容クラブ』というサークルがあります。これは、この地球上に色
んな民族・文化・宗教が存在し、いろんな人がいる事を知り、それらの共存を実現す
る事を目的としたサークルです。そのため、色んな変わった趣味を持つ人が集まって
います。部員は6人です。
A君の趣味は、かさぶたを集める事です。
Bさんは、自分はスプーン曲げができると信じ、毎日練習しています。
Cさんは、食用ガエルの調理法を研究しています。
D君の趣味は、牛乳瓶の蓋を集めることです。今、120枚持っています。
Eさんは、お花が大好きで、夜中こっそり学校の花壇に花を植えています。彼女はと
ても恥ずかしがり屋なんです。
最後にF君の趣味は、歌を歌う事です。でも、あまり上手じゃありません。でも、み
んな、最後まで聞いてくれます。
誰も、人の趣味を馬鹿にしたり、笑ったりしません。この6人は、お互いを認め合う
事が最も大事な事を知っているのです。そして、この認め合える状態を”平和”と呼ん
でいます。彼らは皆、幸せです。
ある日、新入部員が入ってきました。新入部員のG君は入ってくるなりこう言いま
した。
「Aの趣味は気持ちが悪い。
Bは馬鹿馬鹿しい、超能力なんて存在しないんだ。
Cの趣味は最低だ。僕はかえるが大嫌いなんだ。
D君、何のために集めてるんだ。捨ててしまえ。
F君の歌は聞けたもんじゃない。みんな迷惑してるよ。
この中で、人のためになる事をしているのは、Eさんだけじゃないか。
寛容を目指すこの部にABCDFはいらない。ほんとは皆迷惑してるんだ。」
----------------------------------------------------------------------
さあ、あなたが部員の一人なら、なんと答えますか。
断固として闘いますか(それだと不寛容になりそう)
G君を寛容に許しますか(それだと寛容クラブがなくなりそう)
残念だけれどクラブをやめますか(なんだかくやしい)
それとも……。
どきどきの後編、こうご期待!