お話しました)農家になったわけ・中間貯蔵施設をめぐる学会要望書 #上関原発
2025/03/22
3月22日、「2025上関原発を建てさせない山口大集会」 でお話して、お米や本を販売しました。
集会の様子は、ブログでは小中進さん(田布施町議)のサイト http://blog.konaka.sunnyday.jp/?day=20250322
動画入りのニュースでは、
https://news.yahoo.co.jp/articles/a06c701829457e7dd6b0deb4642ddd96565e41f1
田布施町議のみなさんのあとで、安渓遊地がお話したことのメモです。7分ほどしゃべっていると思います。
山口市阿東で田んぼをつくっている安渓遊地です。阿東はまだ雪があったりしますから、長靴できました。
タイトルは「学会の要望書」とかになっていますが、農民または漁民の声を5分でという枠で呼んでいただきました。これが、今日もってきたお米で、上関の自然を守る会の横のテントで販売しています。
1993年に、山口大学の教員だったときに、1年間の勉強を鳥取県の大山の麓でさせていただきました。生まれて初めて田んぼをしました。ちょうど、あのタイ米騒動の年で、枕元に積み上げた1年分のお米に、本当の豊かさを感じました。それ以来ずっとお米は自給してきました。
今日は風邪ひいたので来ていませんが、息子を中心に、農薬も除草剤も化学肥料も使わないお米を販売するようになったのは、福島の原発事故のあとです。そのきっかけは、灰でした。
薪ストーブの生活の中で出てくる灰を、沖縄の知人のやっている食堂に送って、それが木灰スバ(そば)の原料になっていました。ところが、ある沖縄スバから高濃度のセシウムが検出されるという事件が起こりました。今でも林野庁は、食用としては木を燃やした灰を使わないようにという通達を、青森から静岡までの20都県に出しています。検査してOKなら良いんですが、そうもいかないのでいまも一律禁止のままです。
ということは、残された西日本に住むわれわれは、あらたな原発を建てさせてはいけないし、すでにある原発の事故をおこさせないようにするとともに、安心・安全な食料を生産するという責務があると気づいたんです。
さて、わたしの妻の貴子が、山口県の環境影響評価の審査をする委員だった時(1999年)に、上関原発の環境影響評価がされました。ところが、ほとんど島根原発の書類のコピーみたいなもので、上関にいるスナメリもナメクジウオも載っていないという代物でした。それで、生態学会の研究者に呼びかけていろいろ調べてもらって、その結果を2010年に名古屋であった生物多様性条約締約国会議にあわせて出版したのが、この『奇跡の海』です。本日はなんと半額! です。出版から15年の間の変化について補うために作ったのがこの冊子の『「奇跡の海」を守る』です。どちらも、上関の自然を守る会のブースで本日販売しております。冊子のおしまいのところには、生態学会の要望書と、生物系7学会の要望書も収録しています。もちろん、7学会には生態学会も入っています。
なぜ要望書が2種類あるのかということなんですが、これは、ボーリング調査が始まっているので、それで環境を壊してしまってはいけませんから、急いで中間貯蔵施設にしぼって出しました。そのあと、7学会が歩調を合わせて、上関原発計画を捨てていない以上、同じ敷地に新たに作る貯蔵施設――これは法律も想定していないものなので、環境影響評価の義務がないんです。しかし、原発と貯蔵施設が両方稼働することを前提に、その影響がどうなるかを総合して評価しないとだめでしょう。そういう立場で、あらたな要望書をまとめたわけです。
アフリカのことわざに「速く行きたいなら一人で行きなさい。遠くまでいくなら、大勢で行きましょう」というのがあります。
わたしたちも、こんなに大勢の(800人もの)方がつどわれたのですから、だれ一人飢えることがない、原発のない誰もが安心して暮らせる未来へ向けて、歩いていきましょう。(拍手)
このあと、集会宣言と、みなさんで「奇跡の海」のプリントを高く上げて意思表示をしました。
会場から出てこられたみなさんが、阿東つばめ農園のテントに次々こられて、準備していた50キロほどのお米も本も全部完売ということになりました。
妻さんのすがこさんと田んぼをしておられる、政党草の根のもと岩国市長、井原勝介さんが来られて「安渓さん、商売うまいねぇ!」とほめてくださいましたので、うれしくて握手しました。
集会宣言を以下に貼り付けます。生物系の7学会・委員会が声をあわせた要望書が、市民によって支持され活用されるのはまことにありがたいことと思います。
以下の文章で下線で強調したのは、原文ではなく安渓遊地の強調です。
集会宣⾔
2011年の東⽇本⼤震災と東京電⼒福島第⼀原発事故から14年が経ちました。福島では原⼦⼒緊急事態宣⾔が未だに解除されていません。いまでも被災した⽅々の救済が終わらないなか、3⽉5⽇、最⾼裁は刑事事件で強制起訴された東電の旧経営陣を無罪としました。⽇本最⼤の公害事件といわれる原発事故の責任を、まだ誰もとっていません。過酷事故を起こした原発では、多くの労働者が被曝しながら収束作業を⾏い、政府は地元漁⺠との約束を無視し、放射性物質を含んだ汚染⽔の海洋放出を続けています。
原発事故収束の⽬処がたっていないにも関わらず、政府と電⼒会社は次々に各地の原発を再稼働させています。使⽤済み核燃料はさらに溜まり続け、原発敷地内の管理容量は満杯に近づいています。いま、電⼒会社は原発敷地外に「中間貯蔵施設」建設を画策していますが、核燃料サイクルが破綻しているのは明⽩で、いったん使⽤済み核燃料を受け⼊れてしまえば、⻑期の貯蔵になるのではないでしょうか。貯蔵に使⽤されるキャスクが法令の要件を満たす耐⽤年数で設計・製造されていたとしても、キャスク内で臨界事故が起きる可能性はゼロではなく、住⺠は常に危険と隣り合わせの生活を強いられます。
今年2月、石破政権は、第7次エネルギー基本計画を閣議決定し、福島の事故以降の原発政策の柱であった「依存度低減」を削除し、「最⼤限活⽤」に180度⽅針転換しました。
こんなことを許していいのでしょうか。稼働する限り核のゴミを出し続ける原発は、動かすべきではありません。核と⼈類は共存できません。
祝島を始めとする上関町⺠、市⺠は40年以上にわたって上関原発を建てさせていません。⼀昨年から、中国電⼒が関⻄電⼒と共同で上関町に「使⽤済み核燃料『中間貯蔵施設』」を造ろうとする動きが表⾯化しました。昨年11⽉、中電は建設予定地のボーリング調査を終え、適地かどうかの判断を⾏おうとしています。
私たちは、⼤規模な⾃然破壊を伴う「中間貯蔵施設」建設計画に反対し、県・県議会への申し⼊れ・請願、署名活動、集会など、あらゆる活動を⾏っています。現在、地元4団体の呼びかけに応え、『上関中間貯蔵計画の撤回を!環境影響評価なしに適地判断を⾏わないよう求める署名』に取り組んでいます。この署名は、昨年12⽉に生物分野での7学会にわたる研究者組織が中電に求めた要望書を⽀持するものです。
上関町でも、マスコミのアンケートでは中間貯蔵計画反対の声が半数をしめています。周辺⾃治体でも反対の声がますます⼤きくなっています。昨年の衆院選挙ではその⺠意が⼤きく反映されました。2⽉の⽥布施町議会選挙では、議員の半数を占める6名が中間貯蔵計画反対を訴えて上位当選し、議員たちは早速、「中間貯蔵計画反対の決議案」を町議会へ提出しました。
村岡知事は、この県⺠の意思をしっかりと受け⽌め、「中間貯蔵施設」の可否を判断してください。それが私たちの強い願いです。
本⽇、私たちはここに集い、福島や全国のみなさんと連帯して、⽇本の原⼦⼒政策を変えるためにさらに運動の輪を広げることを確認しました。地震をはじめとする⾃然災害は⽌めることができなくても、原発や「使⽤済み核燃料『中間貯蔵施設』」の建設は⼈の決断で⽌めることができます。
100年後の未来の⼦どもたちに「核のゴミ」ではなく、「奇跡の海」と呼ばれる素晴らしい⾃然を残すために、共に闘いましょう!
2025年3⽉22⽇
上関原発を建てさせない⼭⼝⼤集会参加者⼀同

