できない質問)ソーメンを投げて奪い合うというような行事はありませんでしたか? #与論島 #与那国島
2023/12/04
今朝、与那国島の和歌嵐香(わからんこ)N子さんとskype電話で話していて、
フガヌトゥ(fuganutu 漂流者)たちの思い出のための、
スルンダブ (surúndabu) 精霊(流し)のつないだものの話を聞きました。
スル は、西表島西部では ソール 石垣島では ソーロン など という お盆 のこと。語源は精霊(しょうろう)と同じでしょう。
ンダブ というのは、ハマゴウなどの花のように、つらなったものを言う、与那国語。
そういえば、町健次郎さんが、与論島での ソーミンガブ という行事のことを報告していたのを思い出し、質問してみました。
――与論島では、ソーミンガブといって、餅まきみたいに、素麺の束を投げて、みんなで競争で拾って、仲良しが集まって食べるという楽しい行事をするそうですが、茹でている鍋が振り向いたらもう盗られているというように、その日は、油断もすきもないという具合だったらしいよ。ガブは、束というような意味らしいけれど、与那国語の んだぶ と関係あるかしら?」
と聞いたら、おどろくべし、与那国でも素麺投げの行事があったというN子さんの返事。
島でも年に2回ぐらい素麺投げがあったよ。島の言葉でなんと呼んでいたかは、すぐに思い出せないけれど、面白くないことが続いたようなときに、誰かが言い出して、数人で組をつくり、金を出し合って素麺をたくさん買ってきてひそかに準備する。
予告なしに、当日になって、しんめーなび(四枚鍋)という大鍋にお湯を沸かして、そこに素麺をどんどん入れて、まだ生茹での状態で、箸でつまんで投げるの。飛んでいった素麺は、地面に落ちたり、壁に張り付いたり、木に引っかかったりするわけ。聞きつけた人たちは、走って行って、土や砂利がまじった生茹での素麺を競争でひろって、それを洗って茹でて食べるの。
――素麺はごちそうだったでしょう?
そうそう。その時に畑や田んぼに出かけていた人は、運が悪かったということで終わりだけれど、馬に乗って知らせて行った人が、たいへんな目にあったことがある。
――ほう、それは?
ぬかるみに足をとられた馬が倒れて、乗ってた人も投げ出されたけれど、馬の足が折れてしまってね。結局、素麺だけじゃなくて、馬のお肉の鍋をみんなで食べることになりました。
これは、フィールドワークでなかなかできない質問のひとつです。
「あなたのところでは、ソーメンを投げて奪い合うというような行事はありませんでしたか?」
補足;
ただし、N子さんの語彙カードには、 連なることを ンダイ というと載っています。
ンダブは、海辺の香り高い植物のハマゴウそのものを指すとあり、補足説明は以下の通り。
「これも竹のンダイと関連したもので、ブはンダイで編んであるアングンナのこと。ほどけようがないひもの意。ンダブのはえ方は枝が絡まり幾重にも連なっていることから、連なることをンダイという。」
https://airtable.com/appyjnsQqx0tuy8Gk/shrmT5axgMO1GOm9W/tblzM31arTqUDeIxK/viwWmhtNwtsTF5FpA
の3717番目の単語が ンダブ です。
アングンナは、載っていなくて、
243番目の単語は アンク゜イがあります。これは、クロツグというヤシ科の植物の強い繊維で、シュロに似ています。ンナは、綱ですから、ちょっと説明に混乱があるのかもしれません。