与那国島)南岸の樽舞湿原を掘り起こして港にする計画を 町が国に要請 #どう見ても軍港 RT_@tiniasobu
2023/03/23
2023年3月23日 修正。数値の単位の文字化けを修正しました。天地成行さん、ご指摘ありがとうございます。
一昨日の八重山毎日新聞です。 これは見逃せない事態です。
以下引用。
引用者 安渓遊地 日本生態学会自然保護専門委員 軟体動物多様性学会自然環境保全委員長
https://www.y-mainichi.co.jp/news/39337
与那国町比川港湾整備 湿地帯掘削を計画
2023年03月21日 政治・行政 , 地域・教育
39337.png
比川港湾(仮称)の整備にあたり、掘り起こされる計画となっている、琉球列島最大規模の樽舞湿原=16日、与那国町
琉球列島最大級 環境影響懸念
【与那国】与那国町の空港港湾整備の一環で計画されている比川港湾(仮称)について、琉球列島最大規模の湿地帯である同町の樽舞湿原を掘削して港にする予定であることが分かった。計画は、カタブル浜(比川)から西へ広がる樽舞湿原を約1・2キロ掘り起こし、一帯を港にするしゅんせつ工事を行うもの。工事が行われれば、湿原に生息する生物や周辺の自然環境へ影響を及ぼす可能性があり、反対する住民も出てきそうだ。
昨年9月に糸数健一町長が国へ提出した要請書の添付図面によると、同港湾は狭い部分でも幅200メートル、旋回部分では約300メートルあり、長さは全体で1・2キロほどあるとみられる。
琉球列島最大級の湿地帯として知られる樽舞湿原には、水生・半水生昆虫が多数生息し、環境省の「生物多様性の観点から重要度の高い湿地」にも選定されている。
掘削予定の港付近には、昨年発見されたサンゴ礁特有の地形「リーフトンネル」もある。また、船舶の接岸場所先には、地対空誘導弾部隊の配備に向けた与那国駐屯地の拡張予定地などがある。
自然環境に詳しい町教委の職員は「あれだけ広大な湿地がこれまで開発されずに残っているのは与那国ならでは。教育にも観光にも使える数少ない場所で、(掘削してしまうのであれば)すごくもったいない。町の財産として残して次の世代に伝えるべきだ」と話している。
同図面が添付された要望書は、糸数健一町長が昨年9月12日に萩生田光一自民党政調会長、同26日に高市早苗経済安全保障担当内閣府特命担当相にそれぞれ手渡した。
15日に開かれた与那国町議会一般質問で、図面の作成者について糸数町長は「譜久嶺副町長の作成によります」と答弁した。
タグ: 与那国 , 比川港湾整備
追加情報1
ここは、環境省の「重要湿地」No.633に含まれています。
(生物多様性の観点から重要性の高い湿地)
https://www.env.go.jp/nature/important_wetland/wetland/w633.html
生息・生育域 生物分類群 選定理由 選定基準
与那国島の湿原 湿原植生*
【田原川湿原】ヨシを中心とした低層湿原で,一部にマングローブが生育する.多くの水鳥や水生生物の生息地として重要.
【樽舞湿原】断層運動によりできた谷底低地に広がる湿地帯でヨシクラスの植生であり,他の動植物の生息・生育場として重要. 1
久部良岳山腹の湿地・河川 爬虫両生類 ヨナグニシュウダ,ミヤラヒメヘビ,ヨナグニキノボリトカゲの生息地. 2
比川付近,祖納付近の湿地,樽舞湿原,田原川 昆虫類 トンボ類をはじめとして,水生・半水生昆虫が多数生息する.アオナガイトトンボ,エサキタイコウチ,トゲアシアメンボ,ヨナグニアシナガドロムシなどの生息地. 2,
3
与那国島の田原川流域 甲殻類* 下流部には小規模な干潟やマングローブ湿地もあり,湿地帯となっている.河川流域には希少な甲殻類の生息地として重要. 1,
2
比川湧水地 淡水貝類 ヨナグニカタヤマガイ,オキナワミズゴマツボの生息地. 2, 3
田原川 淡水貝類 ヨシカワニナ,スグカワニナ,カノコガイ類などの生息地. 2
追加情報2 軟体動物 について、福田宏さんからの情報
他の人からの情報ではタイワンモノアラガイ、リュウキュウヒラマキモドキ、オキナワドブシジミ近似種などがいるとのことでした。このうちオキナワドブシジミ近似種は分類未確定で、もしかしたら与那国固有種の可能性もないとは言えません。
またそれ以前に、この湿地は与那国島固有種かつ環境省RLで絶滅危惧IA類 (CR)の、ヨナグニカタヤマガイのタイプ産地です。
追加情報3 コウノトリ11羽が越冬した場所です。1995年のことですが、それだけ生物相が豊かということです。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjo1986/45/1/45_1_31/_article/-char/ja/
追加情報4 自衛隊の配備の前から危惧されていたこと 2012年9月11日 の「石垣経済新聞」の記事 https://ishigaki.keizai.biz/headline/1063/
石垣で自衛隊配備予定地「与那国島」への環境影響について勉強会
石垣で9月10日、「与那国島への自衛隊配備から起こる自然環境への影響」について学習会が行われた。世話人の宮良純一郎さんは「与那国島に自衛隊が配備されるとさまざまな影響があるが、今回は自然環境への影響について考えたい」とあいさつ。
講話を行った屋富祖昌子さん、渡辺賢一さん
まず元琉球大学農学部助教授の屋富祖昌子さんが「生きものたちの与那国島」をテーマに「島は小さければ小さいほど生態系への影響を受ける。大陸とつながっていた時代の古い歴史を生物が教えてくれる。島に最後に残された自然を破壊してはいけない。残された聖地への最後の一撃となる。自衛隊配備は、私たちの歴史や未来も壊すこと」と話した。
次に元高校教諭の渡辺賢一さんは「与那国島の水生生物」について、今年4月に行った現地調査を報告、「与那国島は、次から次へと新種が見つかる学者にとっては天国のような島。環境省が保護しておきながら防衛省で滅ぼす図式は先進国と言えるのか」と疑問と投げ掛けた。
元小学校校長の宮良全修さんは与那国島の植物の紹介と、1995年に配備予定の樽舞(たるまい)湿地に現れたコウノトリの映像を紹介した。
最後に元石垣市教育長の波平長吉さんは、与那国空港の滑走路が2007年に2000メートルに延長されたことや樽舞に港を建設する動きなどについても触れ、「宝島を守らなければならない。反対の声を発していこう」と呼び掛けた。
聴講した富里八重子さんは「自然の生態系の原点を知ることができた。与那国島は島全体が宝。自衛隊配備は日本の宝が消える。配備は許されない」と感想を述べた。
学習会は、昨年11月に防衛省が与那国島で行った自衛隊配備のための住民説明会を受け、12月に日本昆虫学会など昆虫関係の5学会が防衛省、環境省、沖縄県知事、与那国町長に提出した「与那国島への自衛隊配備計画に関わる要望書」を受け開いたもの。要望書では、絶滅危惧種の中でも特に絶滅の恐れが高い「国内希少野生動植物種」であるヨナグニマルバネクワガタやフチトリゲンゴロウをはじめ、同島のみに分布が確認されている64種の生物の生息地が自衛隊配備予定地と重なることを指摘している。
追加情報5 2011年12月23日 昆虫関連5学会が 防衛大臣・沖縄県知事・与那国町長・環境大臣に要望書
https://lepi-jp.org/archives/2012/0110_214050.php#!
与那国町長 様
与那国島への自衛隊配備計画に関わる要望書
南北に長く亜熱帯から寒帯の気候帯を含む日本列島には豊かな昆虫相が成立
しています。日本の昆虫類は、現在、約3万2千種が記録されていますが、日
本列島は大陸との接続と分断など複雑な地史を背景に形成された大小の島々か
らなるため、固有種や固有亜種が多いことが大きな特徴です。中でも、区系動
物地理学上、東洋区に区分される琉球列島は、日本本土にみられない南方系の
昆虫相を有している点に加えて、列島の成立の過程で取り残された遺存種が多
くみられる点、近隣の地域に近縁な種が生息していない種や生きた化石と呼ば
れるような、近縁種に比較してより祖先的な特徴をもつ種が数多くみられる点
で特筆されます。
しかしながら、近年、琉球列島の貴重な昆虫類は、開発事業に伴う生息地の
破壊や生息環境の悪化、外来種の侵入や定着、マニア等の過剰な採集行為等に
よる撹乱で、非常に危機的な状況に陥っています。
生物多様性の低下は、生態系の機能を損ない、人類の生存を脅かす憂慮すべ
き事態です。とりわけ昆虫類が、あらゆる生態系において圧倒的な多様性を誇
り、生物の生存基盤である食物連鎖の維持に重要な役割を果たしていることを
考え合わせると、琉球列島の貴重な昆虫類の多様性を保全することは極めて重
要な課題であるといえます。
こうした中で、今般、与那国島へ陸上自衛隊沿岸監視部隊、および航空自衛
隊移動警戒隊が配備され、その配置候補地に久部良地区(南牧場)とインビ岳
西側周辺が挙げられている等、具体的な計画案が地元住民への説明会で明らか
にされたとの報道が「琉球新報」や「八重山毎日新聞」(いずれも 2011 年 11
月 18 日付)に掲載されました。
与那国島には絶滅危惧種の中でも特に絶滅のおそれが高いことから、種の保
存法に基づく「国内希少野生動植物種」に指定されたばかり(2011 年2月 15 日
付)のヨナグニマルバネクワガタやフチトリゲンゴロウが生息しておりますが、
特に、今回の自衛隊配置候補地の一つであるインビ岳周辺の森林はヨナグニマ
ルバネクワガタの同島内における最後に残された主要な生息地であり(下地幸夫
2009,『野生生物保護』12 (1): 21-26)、今回の配置に伴う関連施設の建設等が同亜
種に対して甚大な影響を及ぼす危険性が著しく高いと考えられます。また、イ
ンビ岳西側や久部良地区の牧場内には環境の良好な溜め池が点在しており、フ
チトリゲンゴロウの生息も予想されます。
さらに、与那国島には「国内希少野生動植物種」に指定されたこの2種以外
にも、同島をタイプ産地として記載された種や亜種が 30 以上、国内では同島の
みに分布が確認されている種や亜種が 60 近くあるなど、わが国における生物多
様性の保全上、極めて重要な昆虫類が多数生息しております。島嶼という閉鎖
的で面積の限られた場所での開発等による撹乱は、大きな面積をもつ日本本土
等に比べて、個々の生物や生態系へのインパクトの程度が極めて大きく、その
影響は計り知れません。
このような理由から、与那国島における自衛隊配備計画の策定にあたっては、
昆虫類をはじめ動植物の関係学会の専門家を交えて、細部に渡る十分な検討を
行ない、同島の生態系に及ぼす影響を最小限度に抑えるべく務めていただくこ
とを強く要望いたします。もちろん、日本昆虫学会、日本甲虫学会、日本鱗翅
学会、日本昆虫分類学会および日本トンボ学会は、専門家集団として本件に関
していつでもご協力させていただく用意がございますことも最後に申し添えさ
せていただきます。
2011 年 12 月 23 日
日本昆虫学会
会 長 多田内 修
自然保護委員長 石井 実
〒305-0005 茨城県つくば市天久保 4-1-1
国立科学博物館分館動物研究部
日本甲虫学会
会 長 新里 達也
自然保護委員長 高桑 正敏
〒305-0005 茨城県つくば市天久保 4-1-1
国立科学博物館分館動物研究部
日本鱗翅学会
会 長 岸田 泰則
自然保護委員長 石井 実
〒192-0063 東京都八王子市元横山町 2-5-20
矢崎方
日本昆虫分類学会
会 長 大林 延夫
〒790-8566 愛媛県松山市樽味 3-5-7
愛媛大学農学部環境昆虫学研究室
日本トンボ学会
会 長 松木 和雄
自然保護委員長 松木 和雄
〒918-8004 福井県福井市西木田 3-8-18
和田方
* 本件に関わる連絡は下記、荒谷(日本昆虫学会・日本甲虫学会 担当自然保
護委員)宛にお願い致します。
日本昆虫学会・日本甲虫学会
担当自然保護委員 荒谷 邦雄
〒819-0395 福岡市西区元岡 744 番地
追加情報6 NHK2022年12月29日 防衛力強化の最前線「国境の島」で今起きていること
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221223/k10013931201000.html
以上、引用は安渓遊地でした。