袁克勤教授を救う会)突然の失踪とその後の動き #Yuan_Keqin_RT_@tiniasobu
2021/06/16
大学教員が母国へ里帰り中に突然失踪し、スパイ罪で起訴されたことがわかりました。大学も政府もはかばかしく動いてくれないとき、家族や同僚が声をあげるしかありません。国境をまたぐ地域研究にかかわる者にとって、ひとごとではありませんので、これまでに届いたお知らせなどをシェアします。
これは、北海道大学・北海道教育大学の教授だった、袁克勤さんをめぐる現在進行中の出来事の記録です。年表つきの朝日新聞の記事(2021年5月21日)が、全体像を把握するためにはわかりやすいと思います。
あらたな動きがあったら、またおしらせします。
KYODO NEWS - Dec 25, 2019 - 18:55 Japan professors issue appeal for
Chinese colleague missing in China
https://english.kyodonews.net/news/2019/12/4412185e31cc-japan-professors-issue-appeal-for-chinese-colleague-missing-in-china.html
https://www.japantimes.co.jp/news/2019/12/26/national/japanese-professors-issue-appeal-chinese-colleague-missing-china/
UPI DEC. 26, 2019 / 11:19 AM Chinese professor in Japan goes missing in
China
https://www.upi.com/Top_News/World-News/2019/12/26/Chinese-professor-in-Japan-goes-missing-in-China/7821577376708/
Japan TImes Jan 23, 2020 行方不明の袁克勤教授の救援を求める大学教員たち
https://www.japantimes.co.jp/news/2020/01/23/national/japan-professor-submits-petition-seeking-return-missing-chinese-colleague/
ハフポスト 2020年03月27日 16時53分 JST
中国で行方不明になった北海道教育大・袁克勤教授はスパイ容疑で起訴に向け捜査段階。「有罪は免れない」家族が心境明かす
https://www.huffingtonpost.jp/entry/yuankeqin_jp_5e69d4b2c5b6bd8156f19372
AFP 2020年03月27日 Chinese professor confessed to spying: Beijing
https://www.thenews.com.pk/print/634910-chinese-professor-confessed-to-spying-beijing
北海道新聞 中国拘束の道教大教授、解放されぬまま退職へ 31日定年、長男に通知
2021/03/30 11:24 更新
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/527325
NHK室蘭 「2年前、中国で消えた父」2021年5月20日(木)午後4時51分 更新
https://www.nhk.or.jp/hokkaido/articles/slug-n71750a438b01
朝日新聞 2021.05.25 ワールドニュース https://globe.asahi.com/article/14357165
袁克勤さん(左)と妻(中央)、成驥さん=2017年7月、成驥さん提供
北海道教育大の元教授で中国籍の袁克勤(えん・こくきん)さん(65)=札幌市在住=が2019年、中国に帰国した際に突如拘束された。この出来事から5月25日で丸2年になる。
中国当局はスパイ罪で起訴したと発表したが、罪状や動静については一切明かしてこなかった。そんな中、弁護士による面会がこのほど初めて実現。元教授の健康状態に大きな問題はないことが確認された。
元教授は争う姿勢を示しており、「犯罪事実を自供した」とする当局発表との食い違いが生じている。
袁さんは中国吉林省にある吉林大学を卒業後、一橋大大学院の博士課程を修了。その後は北海道教育大札幌校で教鞭を執りながら東アジアの国際政治史を研究してきた。日本には約30年住み、永住権も持っている。長年、日中の学術交流に熱心に取り組んできた。
【関連記事】「中国共産党が日本の学問の自由を浸食」専門家が危機感 北海道教育大の元教授拘束から2年
袁さんの長男、成驥(せいき)さん(29)=札幌市=によると、袁さんは2019年5月25日、母の葬儀に出席するため、妻と中国東北部の長春を訪問。葬儀の翌日、長春の国家安全局職員に拘束され、目隠しされたまま連行されたという。
妻だけ3日後に解放され、札幌にある自宅に戻ったが、国家安全局の指示で袁さんのノートパソコンやデスクトップパソコンのハードディスクなどを持って再び中国に向かった。
妻は袁さんの拘束について当局から口止めされていたとみられ、大学には当初、「高血圧の治療で帰国できない」と説明した。ただ、7月になって妻が袁さんの妹に打ち明けたことから事態が発覚した。
9月、国家安全局は妻に対し、袁さんをスパイ行為に関わった容疑で逮捕したと告げたが、中国がそれを公の場で認めたのは昨年3月に入ってからだった。
中国外務省の副報道局長が昨年3月下旬、定例会見で「(袁教授は)犯罪事実を自供している」と発言。今年4月には報道官が袁さんを「起訴した」と述べた。
だが、袁さんの健康状態や具体的な罪状などについての説明は一切なかった。親族や弁護士も面会を許されなかったことから、家族や友人らは安否を心配していた。
この間、袁さんの同僚教員や知人の研究者たちが有志で「袁克勤教授を救う会」を結成した。袁さんを支援しようと大学側や国会議員などに働きかけを続けてきた。
これに対し、大学や国の動きは鈍かった。成驥さんらが大学に対応を尋ねたところ、「事の性質上、お答えすることはできない。大学として何もしていないわけではないが、お知らせすることはできないので理解して欲しい」などと言われたという。
大学は当初、袁さんを無断欠勤扱いとし、給与を払っていなかったが、2月になって見直し、未払い分を袁さんの銀行口座に全額振り込んだという。袁さんは3月末で定年退職となった。
成驥さんはこう不満を述べる。
「正直、私の目からしたら何もしていないとしか思えない。『大学が動くことでかえって父の状況を悪化させることが危惧される』と説明されたが、正直、面倒ごとに巻き込まれたくないという言い訳のようで、不信感しかなかった」
一方、政府も野党議員の質問主意書に「関心を持って注視しているところであるが、事柄の性質上、お答えすることは差し控えたい」などとする答弁にとどめている。
袁さんが中国籍であることから外交的な手段は限られ、対応に苦慮しているとみられる。
それでも成驥さんはこう訴える。「ただ、父も30年近く日本に住み、在留資格も持っている。理由もわからないまま拘束をされていることに対し、人道的な見地から力を貸して欲しい」
大学院時代、袁さんと指導教官が同じで「救う会」のメンバーでもある佐々木卓也・立教大教授(アメリカ外交史)も「袁さんは日本の教育、日中の学術文化交流に貢献しており、日本政府も人道問題としてこの件を大事にして欲しい。袁さんと同じように日本で教えている中国の方はたくさんおり、彼らも怖がっている」と訴える。
そんな中、中国にいる弁護士から今月9日、成驥さんに「袁さんと接見できた」と連絡が入った。
弁護士によると、袁さんの健康に問題はないとみられる。弁護士は起訴内容を把握したが、当局の目を気にしてか、成驥さんにも明かさなかったという。ただ、袁さんは否認し、裁判でも争う意向だという。
成驥さんはこう話す。
「まずは健康だと確認できてよかった。父は真面目でまっすぐな人。スパイのようなことをするわけがない。自分の信念は絶対に曲げない性格だから、身に覚えのないことには絶対に屈することはない。それがかえって拘束を長引かせているのかもしれない。ただ、父のそういうところを私も尊敬しているので、そういう決断をしているのであれば全面的に支持したい」
拘束、原因は著書?
袁さんがなぜ拘束されたのか、いまだに謎だ。中国政府はスパイ罪としているが、起訴内容など、具体的な罪状については明かしていない。
佐々木氏は「袁さんは大学院留学中に天安門事件をめぐる中国当局の弾圧に抵抗し、東京都内でデモを主導したことはあるが、このあとは公の場で中国の批判をしたことはないし、ましてスパイと言われるような行為をしているとも思えない。なぜ今回、拘束されたのかまったくわからない」という。
ただ、天安門事件の関わり以外で一つ気になったのは、袁さんの著書だという。「アメリカと日華講和」(2001年)というタイトルで、戦後日本と中華民国(台湾)による講和、それに対するアメリカの役割などをテーマにした内容だ。
中国は台湾と対立関係にあり、その意味で著書の何らかの記述が中国当局の反発を招いた可能性があるのではないか、と佐々木氏はみる。
佐々木氏は「袁さんの拘束は、ほかの日本にいる中国人の学者に大変なショックを与えている。『自分も拘束されるのではないか』と恐怖を感じていると思う」と明かす。
袁克勤さん拘束の経緯(「救う会」調べ)
【2019年】
5月25日 母親の葬儀に出席するため、妻と日本を出国。中国大連に到着
5月28日 長春であった母親の葬儀に参列
5月29日 長春駅近くで突然現れた長春市国家安全局員に拘束される。目隠しされ別々の車で連行される
6月 1日 妻だけが解放され、袁さんは長春市第3看守所へ移送される
6月中旬 妻だけ札幌に帰宅。北海道教育大に対し、袁さんが「高血圧の治療のため帰国できなかった」と説明
7月上旬 妻が再び中国へ。中国の当局の指示通り、袁さんのパソコンなどを持参
同 妻が袁さんの妹に事情を打ち明け、事件が発覚
9月11日 国家安全局が妻を呼び出し、袁さんをスパイ容疑で正式に逮捕したと通知。弁護士の雇用を許可する
11月初め 国家安全局が事件を長春市検察院に送致
11月25日 「証拠不十分」で不起訴となり、国家安全局へ戻される
【2020年】
2月24日 検察院に再度送致されるが、「証拠不十分」で再び不起訴となる
3月 6日 検察院が起訴。長春市中級人民法院へ送る
3月13日 刑事事件第二廷へ移される
3月26日 中国外務省が袁さんをスパイ容疑で拘束したことを認める
【2021年】
1月 事件を長春市中級人民法院が担当することが決まる
4月22日 中国外務省が袁さんを起訴したと明かし、「事実を包み隠さず自供し、証拠も確か」と説明
拘束された中国籍の元北海道教育大教授、2年ぶり消息判明 弁護士が初の接見
https://globe.asahi.com/article/14357165 からの引用でした。
NHK ほっとニュース web 2021年4月27日放送
https://www.nhk.or.jp/hokkaido/articles/slug-n71750a438b01
2年間、父に会うことも、声を聞くこともできず、その詳しい理由さえも分からない。それが、札幌に住む袁成驥さん(29)の置かれた状況です。北海道教育大学で長年教員を務めてきた父の袁克勤さん(65)は、おととし5月、中国に一時帰国した後にスパイの疑いで拘束されました。無実を信じ、1日も早い釈放を願う成驥さんですが、時間の経過とともに状況は悪化の一途を辿っています。
(室蘭放送局・篁慶一)
日中交流に尽力してきたはずが
袁克勤さんは、中国・吉林省出身で、37年前に留学のため来日しました。一橋大学で博士号を取得した後、1994年から北海道教育大学で教員を務めてきました。専門は戦後の東アジアの国際政治史で、多くの論文や著作を出しています。留学生の受け入れなど、中国との国際交流の橋渡し役としても長年尽力してきたと言います。
北海道教育大学の元教授 袁克勤さん
ところが、おととし5月、母の葬儀に参列するため中国に一時帰国した後、袁さんは故郷の吉林省長春で何者かに連れ去られ、行方が分からなくなりました。消息が明らかになったのは、10か月後の去年3月。中国外務省の報道官が、スパイ犯罪に関わった疑いで中国の情報機関が袁さんを取り調べていることを明らかにしたのです。
中国外務省の定例会見 2021年4月22日
その後、情報は途絶えていましたが、今年4月に新たな事実が分かりました。中国外務省の定例記者会見で、報道官がNHKの質問に対して答えました。
NHK:
「北海道教育大学の袁克勤教授が捕まってから1年以上が過ぎている。彼はどこに拘束され、どのような状態にあるのか。家族によると、弁護士も家族も袁さんに面会が出来ていないようだが、どのような状況なのか」
中国外務省報道官:
「袁克勤氏は中国国民で、スパイ犯罪に関わった疑いで中国の国家安全部門により法に基づいて取り調べを受けている。本人は犯罪事実を包み隠さず供述し、証拠は確かだ。すでに起訴され、裁判所で審理が行われている。担当機関は彼の訴訟に関する権利を十分に保障している」
袁さんは、起訴されていたのです。その一方で、報道官は詳しい理由や健康状態には言及しませんでした。
どこに助けを求めれば
父の起訴を知り、長男の袁成驥さんは大きな衝撃を受けました。正義感の強い父の性格を誰よりも知っているだけに、時間がたてばスパイの疑いは晴れ、釈放されると信じていたからです。
長男の袁成驥さん
「子どもの頃から父を見てきて、本当に真面目で、まっすぐとした正直な人間だと思ってきました。今回、このような形になって本当に信じられないです。強引なやり方で突然父を拘束して、何の理由も明かさずに有罪である、起訴されたと言われても、全く受け入れることはできないです」
実は、父が拘束された時、成驥さんはオーストラリアで暮らしていました。日本で生まれ育ち、高校を卒業した後、オーストラリアに留学して修士号を取得しました。現地での就職を希望していましたが、父の釈放に向けて支援を呼びかけ、父が戻った時には生活を支えたいと考え、去年6月に日本に帰ってきたのです。現在は、札幌市内にある父の自宅で生活しています。
ただ、新型コロナウイルスの流行によって、成驥さんは街頭で支援を求める活動も行えない状況が続いています。去年8月には、父の勤務先の北海道教育大学を頼り、「話を聞いてほしい」と学長に面会を求める手紙も送りましたが、「スケジュールの都合等」を理由に断られました。さらに、ことし3月下旬にようやく行われた大学担当者との面会では、袁さんが3月いっぱいで定年退職となることを理由に、「今後の支援は難しい」と伝えられたということです。面会直後の成驥さんは、不安げな表情を浮かべてつぶやきました。
「今後、どこに助けを求めればよいのか分からなくなってしまい、とても不安です。大学にも出来ることと出来ないことがあるのは私も承知していますが、父のためにもう少し何か支援してほしかったです」
私は事実確認のため、北海道教育大学に問い合わせましたが、「事柄の性質上、コメントは差し控えたい」という回答でした。
恩師の無事願って
この2年間、困難な状況に置かれたままの成驥さんの支えになっているのは、袁さんの職場の同僚や教え子たちです。研究者で作るグループは、去年3月、中国政府に対して緊急声明を発表しました。
袁成驥さんと研究者たちが道庁で会見 2020年2月
袁さんのスパイ容疑に対する証拠を示すことや一刻も早い釈放を求めているほか、インターネット上での署名活動を行い、支援の輪を広げようとしています。
教え子の1人で、高校教員の中村大輔さん(37)も、去年、有志で記者会見を開き、袁さんの無実を訴えました。
高校教員の中村大輔さん
中村さんは、大学2年生の時に袁さんのゼミに入りました。一次資料に当たり、事実に基づいて研究・分析を行うよう3年間厳しく指導されたということです。その一方で、「ゼミ以外の場面では非常に優しく、包み込むような温かさもありました。教員としての土台を築いてくれて、とても感謝しています」と中村さんは振り返りました。互いに登山が趣味で、ゼミ合宿で一緒に北海道最高峰の旭岳に登ったことが忘れられないと言います。今は、恩師の無事を願い続けています。
「袁先生の年齢を考えると、体調のことが心配です。袁先生が無事に日本に戻り、みんなと笑顔で顔を合わせるまでは、声を出し続けないといけないと思っています」
強まる「自己検閲」
袁さんはなぜスパイ容疑で拘束されたのか。中国の人権問題に詳しい東京大学の阿古智子教授は、「推測するしかない」と断った上で、扱っていた資料が中国の国家機密にあたる疑いがかけられた可能性や、袁さんから何らかの情報を引き出すために恣意的に拘束した可能性を指摘しています。また、今後予想される袁さんの裁判については、積極的な情報の開示は行われず、非公開のまま判決が出される可能性もあるとみています。
東京大学 阿古智子教授
中国では、習近平政権発足後の2014年に「反スパイ法」が施行された後、スパイ容疑で拘束されるケースが相次いでいます。おととしには、中国を訪れた北海道大学の日本人研究者が当局に拘束され、およそ2か月後に解放されました。ことし3月に発表されたアメリカ国務省の人権報告書では、「中国当局は、政治的な反対の声を抑え込む手段として、国家機密の暴露や政権転覆などを理由に人々を拘束・逮捕した。その容疑は曖昧で、あらゆる情報が後付けで国家機密と指定されうる」として、恣意的な拘束が起きている可能性を指摘しています。
こうした状況の中、袁さんの拘束も、日中の学術交流や「学問の自由」に影響を及ぼしています。阿古教授は、日本国内で中国に関わる研究をしている人たちの間で、いわゆる「自己検閲」が起きていると語りました。
「日本の研究者も中国の研究者も、発言や人間関係に気をつけるというか、非常に慎重になっています。自分自身が中国にどう見られているかを常に気にかけながら対応する傾向が強まってきていることをひしひしと感じます」
再会願い、声上げ続ける
今年5月、中国の弁護士が初めて袁さんに接見し、無事を確認できたと言います。袁さんは、裁判で争う考えを示したということですが、詳しい起訴の内容や中国当局の今後の対応は分からないままです。
今、袁克勤さんの書斎には、研究資料が入った段ボール箱が積み上がっています。長男の成驥さんが、大学を定年退職した父の研究室から持ち帰ってきたのです。資料を整理しながら、成驥さんは、その部屋で感じる気持ちを打ち明けました。
「この部屋では、いつも父が椅子に座って仕事をしているという思い出が強く残っています。部屋を見る度に誰も座っていない椅子があり、父がいないことを感じて心苦しくなるんです」
成驥さんは、父が日本に戻ったらやってみたいことがあると教えてくれました。それは、ピアノの連弾です。父の勧めで、6歳の頃から10年間以上ピアノを習ってきました。その一方で、袁さんはピアノを弾くことは出来ませんでしたが、拘束される2年ほど前からピアノ教室に通い始めていました。ショパンの夜想曲を目標にして、熱心に練習していたと言いますが、今、部屋に置かれたピアノの蓋は閉じられたままです。成驥さんは、不安な日々を過ごしながらも、一日も早く父と再会する日が訪れることを願い、これからも声を上げ続けていこうとしています。
日本側の報道・論評追加
https://youtu.be/BoeVpl2c8pI
https://youtu.be/OsFysXVgWI4
https://youtu.be/tfZRgYJXsM8
中国側の袁教授=国賊キャンペーン
https://youtu.be/JHforHZvPIM
https://youtu.be/rsBqd74ztis
https://youtu.be/upCU5PjgVhk
以下は、添付の緊急キャンペーンをおこなっている、袁教授を救う会の中日両政府へのメッセージです。
https://save-yuan-keqin.jimdosite.com/
趙立堅・中国外交部報道官の2021年5月26日付コメントに関する緊急アピール
私たちは、中国に拘束中の袁克勤・北海道教育大学元教授の冤罪(「スパイ容疑」)に関するアピールを2021年5月24日付で出しましたが、5月26日に趙立堅報道官が、中国メディアへの質問に答えるかたちですぐにコメントされたことを、中国政府が本件を真剣に考えている証左と受けとめ歓迎します。
中国政府には本件の日本との交流にも影響する可能性のある中国国内の問題としての事態の重要性に鑑み、関係各機関を通じて、以下の点をご配慮いただきたければと存します。
・今後とも、法に則り、袁克勤先生を定期的に弁護士および家族に接見させること
・今後の公判の予定について即急に弁護士へ連絡すること
・法治国家として公正に公開で審理頂き、証拠不十分であることが判明したあかつきには、即刻、先生を釈放すること
また私たちが知る限り、袁先生が日本の情報機関の下で袁先生が「スパイ活動」をしていた事実はありません。中国政府には事実について今一度、精査をお願いします。
日本政府には以下のことを要望します。
・令和2年3月31日付の屋良朝博衆議院議員による質問主意書によれば、「袁教授が日本のスパイであるかないか」「日本政府は袁教授がスパイ活動をしていた事実を確認しているかどうか」が政府に対して質問されているが、政府の回答は「本件については関心を持って注視しているところであるが、お尋ねについては、事柄の性質上、お答えすることは差し控えたい」であった。今回、中国側は重ねて袁先生が「日本のスパイ」であることは明らかとする主張をしています。これを日本政府として受け入れるのかどうかが問われています。屋良議員の質問に明快にお答えいただきたい。
・そのうえで、袁先生の「スパイ容疑」が冤罪であるとの立場にたち、日中の学術交流の健全化のために、中国政府と交渉を続けていただきたい。
今回の中国外交部報道官のコメントを聞き、私たちは、中国の法に則り、弁護士の接見が引き続き保証され、公正な公開審理がつくされれば、本件が袁先生に対する「冤罪」が晴れるに違いないことをあらためて確信しました。日中両国が知恵を出し合い、この問題を一刻も早く解決することを心より望みます。
2021年5月31日
袁克勤教授を救う会
百瀬響・岩下明裕・佐々木卓也
武田泉・鈴木賢・池直美ほか
袁克勤教授の研究仲間・友人一同
以上、情報共有は、 安渓遊地でした。