小出浩章さん)参議院行政監視委員会での発言 #sangiin #genpatsu #KoideHiroaki RT @tiniasobu
2011/05/26
2011年5月23日(月)
参議院・行政監視委員会
「原発事故と行政監視システムの在り方」
小出裕章(参考人 京都大学原子炉実験所助教)
後藤政志(参考人 芝浦工業大学非常勤講師)
石橋克彦(参考人 神戸大学名誉教授)
孫正義(参考人 ソフトバンク株式会社代表取締役社長)
◆参議院行政監視委員会・小出裕章氏「原発事故と行政監視のあり方」(1)
http://www.youtube.com/watch?v=GASMdrWqUOY&feature=player_embedded
◆参議院行政監視委員会・小出裕章氏「原発事故と行政監視のあり方」(2)
http://www.youtube.com/watch?v=jygNyahW1UM&feature=player_embedded
◆行政監視委員会のUSTREAM中継動画全体「脱原発への道」(1)
http://www.youtube.com/watch?v=8WNFcNOkzIY&feature=player_embedded
◆行政監視委員会のUSTREAM中継動画全体「脱原発への道」(2)
http://www.youtube.com/watch?v=TxR7ZfDohow&feature=player_embedded
★小出裕章氏の証言要旨
以下も転載です。
小出先生部分の要約
・原子力を進めてきた行政に対して一言申すために来た。
・私はもともと原子力こそ未来のエネルギー源だと考え、夢を抱いて、原子力工学科
に入った。ただ、入ってから調べてみて、原子力が貧弱な資源だということに気づい
た。
・エネルギー資源の量だが、確認埋蔵量が最も多いのは石炭。世界が使っているエネ
ルギーを60〜;70年まかなえる。究極埋蔵量の石炭がすべて使えるとしたら、
800年近く分ある。天然ガスも石油もオイルシェール、タールサンドもある。これ
に対し、原子力の資源であるウランの量は、石油の数分の1、石炭の数十分の1に過
ぎない。
・こう言うと、推進派は、それは核分裂性のウランの量だけで、我々が使うのは非核
分裂性のウランをプルトニウムに変換したものだから問題ないと反論する。そして、
高速増殖炉という特殊な原子炉でプルトニウムを増殖させて再処理をしつつ核燃料サ
イクルで回しながらエネルギー源にするとしてきた。
・この構想の中心にある日本の高速増殖炉は破綻している。政府の原子力開発利用長
期計画を見ると、最初は1968年の計画で高速増殖炉は1980年代前半に実用化
としていた。次の計画では1990年前後、その5年後の計画では2000年前後、
その次は2010年になった。その後は、実用化ではなく2020年代に技術体系を
確立したいとした。次は2030年に確立とした。その次の2000年の改訂では年
度を示すことができなかった。次の2005年の改訂(原子力政策大綱)では、20
50年に一基目の高速増殖炉を作るという計画になった。
・どんどん目標が逃げているのは明らか。10年経つと目標は20年先に逃げている。
永遠に辿りつけない。ところがこれを作った原子力委員会やそれを支える行政は一切
責任をとっていない。
・高速増殖炉の原型炉であるもんじゅだけでも1兆円以上を無駄にしてきた。現在の
裁判制度では1億円の詐欺で1年の実刑という。1兆円だと何年の実刑になるのか?
1万年だ。行政のなかにもんじゅの責任者が仮に100人いるとしたら一人あたり1
00年の実刑になる。それほどのことなのに、誰も責任をとっていない。原子力は異
常な世界だと思う。
・原子力発電は膨大な放射能を取り扱う技術。広島の原爆のウランの量は800グラ
ム。一つの原子力発電所で1年で1トンのウランを燃やす。それだけの核分裂生成物
という放射性物質を作っているということ。機械である原発が故障するのは当たり前。
原発を動かす人間も、誤りをおかすもの。破局的事故の可能性は常にある。原子力推
進側は、想定不適当という烙印を押してそういう可能性を無視してきた。
・たとえば中部電力は、原発には多くの壁があるから大丈夫だとウェブサイトで主張
している。特に第四の壁である格納容器が重要だが、これがどんな時でも放射能を閉
じ込めるとしている。原子炉立地審査指針に基づいて重大事故を想定しているとはし
ているが、格納容器は絶対に壊れないという前提になっており、放射能が漏れるよう
な事故を考えるのは想定不適当だとしてきた。
・ところが実際に福島でそういう事故が起きてまだ進行中。この事故に対する行政の
対応は大変不適切だ。防災の原則は危険を大きめに評価して予め対策をすること。が、
今回日本政府は一貫して過小評価して楽観的な見通しで行動してきた。国際事故評価
尺度も、最後の最後になるまでレベル7にしなかった。避難区域も最初は万一を考え
てということで半径3キロの住民を対象にした。しばらくすると10キロに拡大した
が、それも「万一」と言った。その後20キロになったときも「万一のときのため」
とした。
・私はパニックを防ぐ唯一の手段は、正確な情報を常に公開することだと考える。残
念ながら日本の行政はそうではなく、常に情報を隠し、危機的な状況ではないと言い
続けてきた。時間とお金をかけてきたSPEEDIの結果も隠して住民に知らせなかった。
・更に、誰の責任か明らかにしないまま、労働者や住民に犠牲を強制している。福島
の原発労働者の被曝限度量を引き上げたり、住民の避難の基準も法律の基準とは全く
違うものになっている。こんなことをしていていいのか。
・事故の本当の被害はどのくらいになるのだろうかと考えると途方にくれる。現在の
法律を厳密に適用すると、福島県全域の土地を放棄するほどになる。それを避けよう
とすると住民の被曝限度を引き上げるしかないが、そうなると被曝が強制されること
になる。
・一次産業はものすごい苦難に陥るだろう。住民は故郷を追われ、生活が崩壊する。
東電が賠償するといっても、何度倒産しても足りないだろう。日本国が倒産しても贖
いきれないほどの被害が出るだろう。
・ガンジーが七つの社会的罪ということを言い、それが墓の碑文として残っている。
理念なき政治。労働なき富。良心なき快楽。人格なき知識。道徳なき商業。人間性な
き科学。献身なき崇拝。それぞれ噛み締めてほしいと思う。