北大東島)2024年7月レーダー配備が突然浮上、慎重な対応を求める琉球新報社説など
2024/09/09
2024年9月13日 訂正
写真の説明を誤ってミサイル基地としていました。レーダー基地に訂正します。火薬庫とあるのは、小火器のためのものでした。
沖縄県北大東村への航空自衛隊移動式警戒管制レーダー配備計画
1 NHK 移動式警戒管制レーダー 沖縄 北大東島へ配備 来年度着工へ
2024年7月17日 18時08分
政府は16日、沖縄県の北大東島に移動式の警戒管制レーダーと運用する部隊を配備するため、地元の住民を対象にした説明会を開き、来年度から工事に着工する方針を明らかにしました。これについて北大東村の鬼塚三典村長は今後、正式な受け入れに向けて政府と調整を進めていく考えを示しました。
政府は太平洋側の島しょ部で外国機の領空侵犯などの監視を強化するため、北大東島に航空自衛隊の移動式の警戒管制レーダーと、運用する部隊の配備に向けて環境調査や測量などを行っていて、16日は去年7月に続く2回目の説明会を開き、地元の住民およそ80人が参加しました。
この中で、防衛省の担当者は島の北側と南側にある2か所の村有地、およそ11ヘクタールの土地を取得したうえで、庁舎や体育館、それに火薬庫などを建設し、隊員およそ30人を常駐させる予定だと説明しました。
そのうえで、地盤を調べるボーリング調査などを行い、来年度から工事に着工する方針を明らかにしました。
このあとの質疑応答では、複数の住民がレーダーの配備に伴う補助事業について質問し、防衛省の担当者は「これから具体的にどうするかは村と相談させてほしい」と、答えていました。
また、住民の1人は「有事の際に攻撃の対象にならないのか。与那国島のようにミサイル部隊などが次々と配備されることはないのか」と尋ね、担当者は「防衛態勢を目に見える形にすることで抑止力を高める。北大東島にほかの部隊を置く計画は今の段階ではない」と、回答していました。
参加した76歳の男性は「レーダー部隊の配備は容認しているが、情勢によって新しい部隊が来るのではないかと心配している」と、話していました。
北大東村の鬼塚三典村長は「住民から一定の理解を得られたと思う。私としても部隊の受け入れについておおかた認める方針だ」などと述べて、今後、正式な受け入れに向けて政府と調整を進めていく考えを示しました。
林官房長官「防衛政務官の現地訪問を調整」
林官房長官は午後の記者会見で「周辺国の軍事活動などの拡大や活発化を踏まえると、太平洋側の警戒・監視態勢の強化は喫緊の課題で、北大東島への配備はわが国の防衛上、極めて有意義だ。近く、防衛政務官が現地を訪問し、改めて部隊配備に関する意向を伝えることを調整しており、引き続き北大東村とよく連携しつつ、地元に対する丁寧な説明や適切な情報提供に努めたい」と述べました。
2 琉球新報 <社説>北大東レーダー配備へ 島の将来、慎重な対応を
公開日時 2024年07月18日 05:00
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-3273987.html
自衛隊施設の建設は島の姿を大きく変える。村に求められるのは将来を見越した慎重な対応ではないのか。
北大東村への航空自衛隊移動式警戒管制レーダー配備計画に関する防衛省の住民説明会を受け、鬼塚三典村長は「大方の皆さんが自衛隊配備について、ある程度の理解を示された」などと述べ、事実上計画を受け入れる考えを表明した。近く来島する防衛政務官に村方針を正式に伝える。防衛省は2025年度にも着工する考えである。
あまりにも判断を急いでいないか。防衛省が北大東島へのレーダー配備決定を村に伝えたのは6月27日である。それからわずか約3週間での受け入れ表明は拙速と言うほかない。防衛省から示された方針を十分に検証したのか疑問である。受け入れありきで物事を進めては将来に禍根を残すことになる。
防衛省が調査の結果、北大東島をレーダー配備の「適地」と判断したのは昨年7月であり、同月20日に初の住民説明会を開いている。1年後に開かれた今月16日の説明会は2回目である。軍事施設配備という重大な計画をわずか2回の説明会で住民が納得したと防衛省が受け止めるならば過ちを犯すことになる。
防衛省の対応を見ていると、自分たちのスケジュールに村を従わせて物事を進めようという姿勢がうかがえる。しかし、地域住民の理解がなければ国の防衛政策が立ちゆかなくなるのは、うるま市石川の陸上自衛隊訓練場の整備計画が党派を超えた反対運動で頓挫した事実を見ても明らかだ。防衛省はうるま市の経験に学んだのだろうか。
村も防衛省のスケジュールに付き従うべきではない。計画に対する疑問や異論が村行政や住民にあるならば、立ち止まって考えるべきである。
防衛省は24年度予算に必要経費を盛り込み、次年度予算案にも事業費を計上する方針であろう。しかし、国の計画に合わせるのではなく、レーダー配備が北大東村の将来計画に合致するのかを検証し、適切に判断することが村行政に課せられた責務だ。
北大東島へのレーダー配備計画は、21年12月の自衛隊誘致の意見書可決が発端となっている。「国家の安全保障・防衛基盤充実の地理的観点から北大東村は自衛隊配備の適地である」というのが意見書の趣旨である。急患搬送や災害対応への期待もあった。しかし、議会の期待がかなえられる保証はない。
むしろ、事前の説明にはなかった基地拡張や機能強化が住民の生活環境に悪影響を及ぼす可能性がある。説明会で住民が地対空誘導弾(ミサイル)部隊を追加配備する陸自与那国駐屯地の例を挙げ懸念の声を上げたのも当然だ。
島内にある絶滅危惧種や希少な生物への悪影響も心配されている。検討課題は多いのである。村は結論を急ぐべきではない。
3 防衛日報デジタル No.4 からの引用です。
https://dailydefense.jp/_ct/17716452
北大東村に配備予定の移動式警戒管制レーダーの同型機(航空自衛隊より)
【特集】「防衛力強化の現場から」Vol.4
2024-08-20
編集部
防衛日報
北大東島・空自移動式警戒管制レーダー部隊の配備決定
沖縄県の北大東島(北大東村)への航空自衛隊の移動式警戒管制レーダー部隊を配備する計画が決まった。空自のレーダーがない太平洋側島嶼しょ部の「空白地域」を解消し、太平洋側の警戒監視を強化することで、空母などの航行で海洋進出を強める中国軍の動向を詳細に把握したい考えだ。防衛省は、沖縄本島の東約360キロに位置する北大東島にレーダー部隊を置き、手薄とされる太平洋島嶼部の警戒監視態勢を強化する。 (編集部・船木正尋)
■基地予定地2カ所を確保■
7月22日、北大東村の鬼塚三典村長が島を訪問した三宅伸吾防衛政務官と会談し、配備を受け入れると正式に表明した。
防衛省などによると、北大東島に配備される予定の移動式警戒管制レーダーは全国28カ所にある固定式警戒管制レーダーを補完するものだ。移動式は固定式よりも予算を抑えられるほか、機動的に展開できる利点もある。
実際に、島内では主要な施設を設ける北東部だけではなく、南部にも土地を確保しており、必要に応じて両区域でレーダーを運用する狙いもある。
具体的には北東部に移動式レーダーや隊庁舎、火薬庫、体育館などを設ける。南部には地上電波測定装置などを設置する計画だ。空自南西航空警戒管制団の隷下部隊約30人が常駐する。基地の広さは、2カ所合わせて約11ヘクタールを見込んでいる。
画像: 配備される基地完成図(防衛省資料より)
配備される基地完成図(防衛省資料より)
同省は令和6年度中にも地質調査や実務設計を進め、来年度にも着工する方針。用地取得などの費用は7年度予算の概算要求に盛り込む考えだ。
また、基地整備予定周辺地に生息する希少動植物については必要に応じて別の場所へ移すほか、周辺農地への沿岸対策として防潮柵の設置も計画している。
(引用ここまで。続きがあるかもしれませんが、会員限定pdfです。)
以下は、防衛省が住民説明会に用いたプレゼン資料です。pdfをここに添付します。
4 移動式警戒管制レーダー等の配備候補地に係る防衛省の検討状況に係る住民説明会の開催について
公開日 2023.07.21
https://vill.kitadaito.okinawa.jp/docs/2023072100018/
北大東村内における防衛省の住民説明会が、下記の日程にて開催されました。
日時:令和5年7月20日 午後6時30分から
場所:人材交流センター
配布資料:北大東島住民説明会資料[PDF:6.65MB]
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