連載)阿東つばめ農園おひさま便り2022年10月 #国葬 #赤木俊夫 #中村哲 #ロシナンテ社 #月刊むすぶ RT_@tiniasobu
2022/09/18
つばめ農園おひさま便り (34) ロシナンテ社の 『むすぶ』621号を例外的に印刷前に掲載します。
むちゃくちゃな国葬が行なわれるとしたら、その時に、赤木俊夫さんや中村哲医師を追悼・顕彰するためです。
内容の紹介はこちらから http://www9.big.or.jp/~musub/index2.html
つばめ農園おひさま便り (34)
安渓貴子・安渓遊地
マルシェでの出会い
台風が次々とやってきて、防風対策や、風で傾いた大豆の根本を踏みながら立てていくといった作業に追われながらも、枝豆をいただきはじめました。
無農薬で取り組んでいる農家の農産物や加工品を直接消費者にお届けする、オーガニック・マルシェ(有機の市)という集まりに、わたしたちが属している山口かんぽ研(山口県環境保全型農業推進研究会)としても加わることになり、つばめ農園の三人で五〇キロほど先の山口市小郡のお店「#農家さんの台所」まででかけました。いつものイセヒカリと白大豆タマホマレの他にはじめて自家用野菜のお福分けを販売しました。山口県立大学の卒業生という方が家族で玄米をお買い上げくださり、直接出会って食べていただける機会は大事だなと痛感しました。種子交換会に興味をもってくれたモモちゃんは、山口市仁保で一八歳から有機農業に取り組んで二年目。安渓大慧は、いつも畑についていろいろ教えてくださる中村自然農園
のお母さんから、久しぶりで懐かしいと、コロナ時代の「密着しないハグ」をしていただいたりしました。収入としては大したことはなくても、楽しい出会いのある大切な一日になりました。
地方自治の自殺・安倍元総理の県民葬
話は飛びますが、世論は反対に傾いて、それとともに内閣の支持率も下がり続けている安倍元総理の国葬が強行される中で、山口県では一〇月に#県民葬をやるのだと発表されました。条例もないし、県民が総理を選んだわけでもないのに、なぜ? 国がやることを真っ先に真似て、地方自治と地方分権の実があがらない山口県らしい発想です。県が実施したアンケートでも、住民が情報公開を申請してみたら、実は賛成が一三、反対が一三七という状態でした。県民からの異議申し立ても相次いでいます。七月末に立ち上がった団体のひとつ「安倍元首相の国葬・県民葬に異議あり! 山口県民の会」に、遊地は五人の共同代表のひとりとして参加しました。
県民葬のことは、なかなか全国には伝わりませんでしたが、NHKの「おはよう日本」で全国放送され、九月一五日には、東京新聞が次のように報じてくれました。
「憲政史上最長の長きにわたり、重責を果たしてこられた。県政でも後押しをいただいた。地域振興策に支援いただき、懸案のインフラ整備も進んだ」。一三日の会見で、村岡知事は県民葬の意義をそう語った。
開催の法的根拠については「地方自治法で、地方公共団体は地域における事務を処理すると定めている。県民葬もその中に含まれる」と主張する。
しかし、市民団体「安倍元首相の国葬・県民葬に異議あり!山口県民の会」事務局の坂本史子さんは「巨額のお金が伴うし、地方自治法を盾に何でもできると解釈するのはおかしい」と反発。インフラ整備に貢献したとの知事の発言にも「首相が地元に便宜を図ったことになる。やっちゃいけないでしょ」とあきれる。
同会共同代表の安渓遊地山口県立大名誉教授も「地方自治法は住民自治と地方分権に沿った行政運営を説き、住民の福祉の増進に努め、最少の経費で最大の効果を挙げるとうたっている。今回は法の趣旨に反しており、地方自治の破壊だ」と問題視する。
沖縄大での勤務経験がある安渓氏。歴代五人の県知事のうち四人を県民葬とした沖縄との違いも感じている。「山口の計画は、県民に誇りを与えた知事をみんなで偲ぶ沖縄と別物だ」
沖縄国際大の佐藤学教授(政治学)は「沖縄ではどの県民葬にも異論は出なかった。知事公選制を勝ち取った歴史ゆえだ」とみる(以下略、記事の全文はhttp://ankei.jp/yuji/?n=2597)。
#地方自治法二条二項の「地域における事務」として、県知事は条例によらない独自の裁量で県民葬でもなんでもできるというのは独裁的な暴論です。同じ第二条の一二項には「地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に基づいて、かつ、国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえて、これを解釈し、及び運用するようにしなければならない」と書かれています。「地方自治の本旨」とは、憲法第九二条にある言葉で、地方公共団体を地方の住民の意思に基づいて運営する「住民自治」と「団体自治」がその柱です。
政治学者の白井聡さんが『#長期腐敗体制』(角川新書)で書いた「不正で、無能で、腐敗した政権」を長く牽引した政治家を、葬儀・旧統一教会葬・国葬・県民葬と何度でも葬儀をしたい方々がおられるのは事実です。しかし、半旗の掲揚や黙祷を強制したりすることは受け入れられません。
人間に貴賤はなく、生物にも優劣はありません。どうしても税金を使って追悼と顕彰をやるというのなら、その日には、森友学園事件で公文書改ざんをさせられて自死に追い込まれた赤木俊夫さんや、アフガンに緑と平和をもたらして凶弾に倒れた中村哲医師、さらには、新基地建設のために辺野古で日々埋め立てられている海の生き物たち、岸田政権のもと、再び動き出しそうな上関原発予定地の生物多様性など、もっと先に光があたるべき存在があることを思い起こしたいものです。(つづく)