お話しました) 安渓貴子「タネを守ること、受け継ぐこと」#ゲノム編集 ってなあに? RT_@tiniasobu
2022/09/16
https://ameblo.jp/shokuikudekirumon/entry-12762443127.html
で予告された、セミナーから、安渓貴子のお話の部分が、『長周新聞』に掲載されました。
長周新聞2022年9月14日 8895号 4面
訂正*と修正※
* かつて山口県立大学非常勤講師 → 現在も教えています
※ ムキムキ豚 → 食欲抑制がきかなくなったトラフグ
* BP農薬 → BT農薬
※ キャッサバが生息する → キャッサバが栽培される
山口市で 「タネの食育講座」ゲノム編集の問題を考える安渓貴子氏(阿東つばめ農園)が講演
山口市で「ゆうき給食の日」の実現のために活動している「やまぐち食育くらぶ」と「ヤッタネ!やまぐち」が、「子ども達の未来を考えるタネの食育講座」を一一日、山口市仁保の仁保地域交流センターで開いた。
「百年先、われらの未だ見ぬ子孫にも郷土の自然を伝えましょう」をテーマにして、子どもたちに安全な食を引き継いでいくためにタネへの関心を高め、共有していく目的で開かれ、母親世代や農業者など約三〇人(オンラインも含む)
が参加した。
食育指導士の西本葉子氏は、「今、食べ物がどこから来ているかという関心が低く、それによってタネが変わろうとしている。子どもたちに私たちは何を残すのかを考えた。日本人が大切にしてきた米、麦、大豆からできる味噌や醤油などを食べることで、身体のなかの善玉菌を活性化させ、小さな命が私たちの身体を守ってくれている。私たちは土や水、小さな生き物を守りながら一緒に生きていること、食育はそうした気持ちを育んでいける。
伝えていくのは大人の役割だ」と語った。そして多くの人が知らぬ間にゲノム編集されたトマトの苗が、福祉施設や学校に無償配布されようとしていることに対して、「そもそもゲノム編集とは何なのか、少しでも学んでいきたい」と会の趣旨を説明した。
◎タネを守る事受け継ぐ事
「やまぐちのタネを守る会」の世話人などをつとめる安渓貴子氏が『タネを守ること受け継ぐこと』と題して講演した。安渓氏は、山口県立大学で非常勤講師として生物学を教え、数年間アフリカに滞在して研究などをおこなってきた。現在は山口市阿東高原で「阿東つばめ農園」を開園しており、それらの経験をふまえて生物学の観点からゲノム編集の問題点などについてのべた。最初に、日本は食糧自給率がカロリーベースで三八%、山口県は二五%しかなく、コロナ禍やウクライナ侵攻などの影響で輸入がストップした場合、野菜のタネもヒヨコも牛や豚の飼料もすべて輸入に頼っているため、食べる物がなくなることが現実にあり得ること、だからこそ自家採種などでタネを守り受け継ぐことが大事だと語った。
そして遺伝子組み換え技術は、「ある生物が持つ遺伝子の特徴を別の生物に変えることで、害虫抵抗性のあるBP農薬を生産する遺伝子を、トウモロコシやジャガイモに組み込ませることで虫がそれを食べれば死ぬのだが、その後、その作物を食べる人間はどうなるのだろうか」と語った。さらにゲノム編集は、「遺伝子組み換え技術のひとつで、基本的にDNAの二本の鎖を切ってその機能を失わせるものだが、切ったところに新たな遺伝子を入れることもできる。
例えば人間や生物は、ある一定以上大きくなりすぎないようにバランスをとる遺伝子が備わっているのだが、その遺伝子を切ってしまえば大きくなりすぎる。だから肉だけが肥大したマダイや食べすぎで早く太ったトラフグができる。もともと生き物に備わった機能を失うだけでもバランスが崩れるが、人為的に遺伝子を操作することでその他の生き物たちや環境への影響はわからない」とのべた。
そしてアフリカでの研究の経験をふまえて自然界が持つ機能には意味があることを、アフリカで栽培されるキャッサバという有毒作物を例にあげて説明した。南米原産のキャッサバは有毒ではあるが人類に役立っている唯一の作物だという。
葉っばや芋で青酸毒をつくることによって害獣や害虫には食べられずにすみ、現地の人は青酸毒を除いて食糧にしている。一方、無毒性のキャッサバも品種改良で開発されたが、動物たちが食べてしまって人間の口には入らないということが起きたという。
アフリカの地で長年栽培されてきたキャッサバの毒性には意味があり、人間も動物もその特性を生かしながら共存してきたことを紹介した。
現在アフリカでは「マラリア蚊の撲滅」と称して、遺伝子組み換えによって蜘蛛の毒を菌類につけ蚊の駆除をしたり、メスをつくらなくなる遺伝子を蚊に組み込むようなことがおこなわれているという。「自然界では起きえない遺伝子操作などは生命倫理上、問題がある。さまざまな生物は三五億年の地球の生命の歴史のなかで形成され、遺伝子も自然界全体が関連しあってつくられてきた。それぞれの地域で命が世代をこえて引き継がれてきた。ある種を人為的に撲滅に導くのは生命の全体の連関性やバランスを壊すことにつながり、危険なことだ」と指摘した。
◎表示義務なく流通する日本
日本では「ゲノム編集食品」の扱いについて、三つの義務(環境影響評価をおこなう義務、安全性審査を受ける義務、表示義務)がなく、企業が利益追求を優先して安全性は後回しになり、表示義務がないことで消費者が選ぶことができない実態がある。また一方で、企業は二〇二二年には全国の福祉施設に、二〇二三年には学校にゲノム編集トマトの苗を無料配布すると発表している。「教育施設もゲノム編集についてよくわからないまま受けとってしまうことも考えられる。子どもたちがその苗を育てて、トマトができたら食べてしまう。
安全性が確認されていない、将来にわたってどんな影響が出るかわからない食品を子どもたちに食べさせるのは許されないことだ」と語った。そうしたなかで全国各地で「ゲノム編集トマトの苗を受け取らないで」という要望書を首長に提出する動きも広がっていることを紹介し、
山口県でも動きをつくっていくことを呼びかけた。
子どもたちの安全な食を守るために、食の安全やタネの将来に関心を持つ全国の人たちとつながり、山口県で少しずつ仲間を増やしながら、次なる一歩を踏み出していくことが確認された。
以下は予告とともに掲載された情報です。
「 タネの食育講座 」百年先われらの未だ見ぬ子孫にも郷土の自然を伝えましょう
場所 山口市仁保地域交流センター
日程 2022/9/11(日) 10:00~12::00
参加費 無料
【プログラム】
10:00~あいさつ
10:05~10:25
食育指導士うっきー(西本葉子さん)のお話
「昔から日本に伝わるご飯とタ 地球と私達はご飯で繋がっている」
10:30~11:00
ゲスト講師 安渓貴子先生によるお話
「タネを守ること、受け継ぐこと」
11:00~11:20 質疑応答(zoomチャットからも受付)
11:25~11:45
上級食育指導士 児玉純子さんのお話
「食べること生きること 100年先でも変わらない大切なこと」
11:45~11:55 まとめのお話 (うっきー)
11:55~12:00 お礼の言葉
【講師紹介】
ゲスト講師 安渓貴子先生
■やまぐちのタネを守る会 世話人
■山口県環境保全型農業推進研究会 副会長
■山口県立大学非常勤講師 生物学
■生物文化多様性研究所 所員
■看護学校(県内一部)非常勤講師 文化人類学
大学では「生物学」や「生物と社会」などの講義を担当。微生物学で博士号をもらってから植物生態学、民族生物学へ見識を深める。私生活では持続可能な暮らしを求めて山口市北部の阿東高原で「阿東つばめ農園」を開園(代表・安渓大慧)。
上級食育指導士 児玉純子さん
■山口市食育推進検討委員
■NPO法人山口県食育協会評議員
■保育士
■介護福祉士
■知的障害福祉士
■幼稚園教諭免許
■小学校教諭免許
■スポーツ食育アドバイザー
前職は福祉施設でハンデイキャップのある子どもたちの支援に関わる。在職中、自身のハイリスク出産の経験から食の大切さに気が付き、食育の実践を始める。上級食育指導士の資格をとり、我が子の大病も乗り越えてから、現在は食育の啓発に務める。
食育指導士 うっきー西本葉子
■社会学士(家族社会学)
■食生活アドバイザー
■福祉住環境コーディネーター
■生涯学習インストラクター
父を癌で亡くしたことから食育を学び始める。食育を実践し、自身の膠原病や子どものアトピーやアレルギーなどの症状を改善。栄養バランスだけではなく、食の安全にも着目。グルテン不耐性になったことでタネについて関心を持つ。