本)#田中真知_『たまたま_#ザイール_またコンゴ』(偕成社)アフリカの心臓部_#コンゴ川_の人びととの予測不能な出会いにひきずりこまれる #Congo_River_RT_@tiniasobu
2021/02/25
2021年2月26日 訂正 超本人 → 張本人
本日のイチオシ https://www.amazon.co.jp/dp/4030034209/
アフリカの大河を丸木舟でこぎくだること2回。マラリアを媒介する蚊の大群に襲われたり、顔に「わたしは悪い人です」と書いてあるような役人たちに通行料をむしりとられたりする日々。
この痛快コンゴ・ザイールの川の旅には、きてれつな、しかしどこか憎めない人たちが次から次に登場する。
赤塚不二夫さんの漫画『天才バカボン』で、デザインがくずれていないのが、ママと赤ん坊のハジメちゃんだけであるように、
1度目の旅をともにした妻さんと、2度目の旅の仲間の若者・シンゴ君だけは、どんな危機に遭遇してもぶれない。
妻さんは、「ザイールにだけは行きませんからね」と、いいながら、いつのまにか言いくるめられて、下り始めたらもう戻ることはできない川の旅という運命に翻弄される。
シンゴ君は、いつでもどこでも寝て、猿の肉でも芋虫でも何でも喰って、リンガラ語をしゃべりまくって、時々哲学的なせりふを吐く。この2人が、とんでもない旅に引きずり込んだ張本人の著者をこきおろす肉声が聞きたくなる。
著者のマチさんは、その後も世界の放浪をつづけ、シンゴ君は、その後もコンゴ民主共和国に通い続けているらしい。
地域研究の仲間たちが、内戦後、道もなく蒸気船もとまったコンゴの森の奥の村人のために一肌ぬいで、商品を満載した船を駆って700キロの船旅をなしとげる、もうひとつの大旅行『コンゴ・森と河をつなぐ―人類学者と地域住民がめざす開発と保全の両立』(感動の名著です。https://www.amazon.co.jp/dp/475034981X)の中でも、シンゴ君はパンツひとつになって川に飛び込み、コンゴ人とともに、座礁した船を押すという大活躍をしている。
1983年に、この川の上流のカソンゴからキンドゥまで250キロを地元の水先案内人と2人で丸木舟で下ったことがある私は、日本人だけでは、超えがたいようなさまざまな障がいが日々立ち現れるコンゴ川の旅の過酷さと、行く先々で「濃いかかわり」を求めてくる人びとの、暑苦しいまでのあたたかさが、いまも変わっていないことを知ることができた。
新型コロナ肺炎で経済が破綻し、たくさんのことが予測不能になっている今だからこそ、この本に出てくるコンゴ・ザイールの人びとの生活力に見習いたいものだ。
山口県立大学名誉教授・安渓遊地