地域学・文化人類学)調査されるという迷惑──_#宮本常一_先生と_#調査地被害 RT_@tiniasobu
2020/10/15
看護師や心のケアの専門家をめざす大学1年生向けの文化人類学の講義の3回目の記録です。写真は、『調査されるという迷惑』(みずのわ出版)の帯に使わせていただいているもので、1977年12月、府中市のご自宅での宮本常一先生です。宮本千晴さんの撮影で、使用の許可をいただいております。
◎講義
1.周防大島出身の民俗学者・宮本常一(つねいち)先生をご存じですか?
宮本先生は、初対面の人とも人間的な付き合いの関係を結ぶ天才的な力をお持ちでした。大学院に進んだばかりの安渓遊地が、どんなふうに宮本先生と出会い、そしていっぺんに大ファンになってしまったかをごらんください。(http://ankei.jp/yuji/?n=2443)
周防大島町立・宮本常一記念館の作成した、Youtube動画の中の、もと学芸員の高木泰伸さんの「2時間で宮本常一」vol1「宮本常一ってどんな人?」(16分)をみてください。
https://youtu.be/Ss_atot-f_E&t=8s
2.安渓遊地のプレゼン 宮本常一先生と調査されるという迷惑(50分)を視聴しましょう。
https://youtu.be/dMAXYtPz5pE
3.
教科書『調査されるという迷惑』(みずのわ出版)の第一章、宮本常一先生の書かれた、「調査地被害---される側のさまざまな迷惑」を読みましょう。
初対面の人のふところに飛び込んで、その人の心をつかむ、宮本先生の天才的な力は、フィールドでお話をうかがい、長い信頼関係をつくりあげる基礎となるものです。文化人類学ではそれをラポール(フランス語rapport)と呼んでいます。
フランス語の意味は「つきあい」というような一般的な意味ですが、ここでは「人間的な信頼関係」と訳しておきたいと思います。それは、医療や看護や、心のケアの場面でも重視されるインフォームドコンセントと共通する、大切な要素です。
その大切なラポールをないがしろにする研究者たちへの直言が、この「調査地被害」です。大学生のときにこの文章に出会ったことが、安渓遊地の人生における大切な出発点のひとつになりました。
◎課題
課題1 20年の時間と全精力をかけてとりくんだ仕事の成果(宮本先生の場合なら、原稿、ノート、写真、集めた本など)が全部燃えてしまったら、あなたならたぶんどうしますか? 泣く? 笑う? それとも死んじゃう? 空襲でそれらを失った宮本先生の場合と比べてみましょう。100字以上。
課題2 宮本常一「調査地被害」(『調査されるという迷惑』第1章)から、あなたがいちばん印象に残る節をとりあげ、その内容を100字程度に短くまとめてください。そして、なぜその部分があなたにとって大切なのかを、50字以上で書いてください。
課題3 病いと癒やし---異文化を生きる人への対応(2)のプレゼン(21分、これを見る時間は、復習の時間としてカウントします)を見てください。ネタバレが入っていますから、前回のレポートがまだの人は、それを済ませてから見られることをお勧めします。https://youtu.be/8vc5GkKiwmA
近未来の、あなたが働いている職場をイメージしてください。異文化を生きるスタッフが同僚の中にいると考えてみましょう。その人たちの中から、お祈りをする時間と場所の確保について、いろいろな要請が出されました。あなたの職場では、組織としてどのように対応するべきと思いますか? スタッフ会議でのあなたの発言を書いてみましょう。字数の制限はありません。「私はこう思います(意見)。なぜなら・・・・・・(根拠)。」のように分けて書いてください。根拠としては、他の組織ではどのように対応しているかを調べたものが示せればより説得力のある意見になるでしょう。
◎より深めたい人に
1.
古いものですが、宮本先生のご遺族の語りの動画(13分)があります。以下から視聴できます。https://youtu.be/kUcRxT6lAEc
2. 宮本常一チャンネルには、新しいたくさんの動画があります。
https://www.youtube.com/channel/UCu9UpK3TXxVvokTMmbDhafA/videos
3.
図書館で宮本常一先生のたくさんの本を実際に手にとってみましょう。お勧めは『忘れられた日本人』岩波文庫です。『民俗学の旅』も、自伝的作品です。
生物文化多様性研究所・安渓遊地