3/30 COCフォーラム@山口県立山口図書館レクチャールーム で無料配布するブックレット4冊を発注しました。
2016/03/19
3/20増補 ブックレットというには厚すぎるNo.6『東アジアにきらめく』の目次と巻頭言と編集後記を追加しました。
http://ankei.jp/yuji/?n=2175 でご案内したフォーラムが近づいてきました。
無料配布するブックレットの本文のInDesignでの版下作成を終えて、発注しました。表紙の画像が出来てきましたので、ここに載せておきます。
大きさがA4だったり、288頁もあったりして、とてもブックレットとは言えないものもありますが、当初の予定がブックレットであったので、
はみだしブックレット、合計500頁あまりです。
当日来られないけれど、どうしても欲しい方は、4月以降、研究室にもらいにこられてください。
出版物などと物々交換して下さる方は、以下へご連絡ください。
去年の在庫。
環境保全(徳山の環境を守った市職員の自分史)
やまぐちの有機農業の理論と実践の勉強会の記録
ブックレット2冊もまだいくらか在庫があります。
〒753-8502 山口市桜畠3-2-1 山口県立大学国際文化学部 (2016年12月までに、お願いします)
安渓遊地
最後の『東アジアにきらめく』の内容は、自然と文化にわたって多彩です。以下に目次と巻頭言をはりつけておきます。
目 次
巻頭言 「新やまぐち学」は何をめざすか 2
序 章 宮本常一のまなざし(安渓遊地) 5
第1章 流域の思想を生きる──玉野井芳郎と山尾三省(安渓遊地) 11
第2章 クジラの海峡文化論と交流共生 (全 京秀) 27
第3章 ツルとともに生きてきた八代の人たち(今村主税編) 35
第4章 里山の豊かさを見直す (安渓貴子) 55
第5章 里山利用の歴史をさぐる (安渓貴子) 69
第6章 里海の豊かさを守る(安渓遊地・安渓貴子) 93
コラム それでもいま希望を語る(安渓遊地・安渓貴子) 118
第7章 マンガ・重源上人と徳地の佐波川(中島美帆) 121
コラム 幕末長州の食事と栄養(安渓遊地) 129
第8章 幕末維新長州僧の足跡をたどる(安渓遊地) 131
第9章 島地黙雷と足尾鉱毒被害民(安渓遊地・井竿富雄) 153
第10章 徳地串に残る禅僧今北洪川の碑文を読む
(渡辺 滋・川口喜治・鈴木隆泰・安渓遊地) 165
第11章 花田仲之助と山口(井竿富雄) 175
第12章 台湾総督上山満之進と画家陳澄波(井竿富雄・安渓遊地) 195
第13章 毛利家の武道と山頭火の思い出(安渓遊地) 201
第14章 山口と韓国をつないだ仙崎港の歴史と今 (金 恵媛編) 213
終 章 地域学・宮本学・自分学(安渓遊地) 243
引用文献・引用ウェブページ 261
初出一覧 270
話者・執筆者紹介 271
COC「新やまぐち学」三年間の記録 274
編集後記 276
索引 277
Summary in English (Andrew SENNECK) 286
奥付 288
巻頭言──「新やまぐち学」は何をめざすか
この報告集は、山口県立大学が文部科学省の支援を受けて実施している「地(知)の拠点整備事業(略称COC)」の「やまぐち学」プロジェクトの成果の一部である。発足以来の「地域貢献型大学」として、山口県内の地域課題の解決に向けてそれぞれの専門分野からの成果の蓄積のある山口県立大学の地域との連携力を発揮した研究活動の成果を地域に還元し、世界に発信する試みである。
われわれは、われわれの暮らす山口県のことを、どこまで知っているのだろうか。さまざまな思い込みによって、事実とは異なる印象をもっているということはないだろうか。いったん思い込みを離れ、虚心に自然の姿を見つめ、史料を見直し、地域の伝承に耳を傾ける時、これまでとは違う、新しい山口県が像を結ぶのではないだろうか。それを、現在の山口県の県境に閉じ込めることなく、東アジアの中に位置づけてみたい。
それにしてもどこが「新」なのか。「新やまぐち学」では、周防大島出身の歩く民俗学者・宮本常一が一五歳の時に父君からもらった一〇箇条の中の「人の見残したものを見るようにせよ。その中にいつも大事なことがあるはずだ……」をモットーにし、もの言わぬ自然の声に耳を傾け、大河ドラマには出てこなくても、吉田松陰の思想と行動に大きな影響を与えた僧・月性や宇都宮黙霖のような忘れられた人物にも光をあてることに努めている。
歴史の中の光の部分も陰の部分にも素直に目をこらして、忘れられがちなこうした自然と文化のゆたかな遺産を再発見したい。それを共有し、次世代に手渡していくところから、「東アジアにきらめくやまぐち」というアイデンティティ(帰属意識)の確立をめざしたいと願っている。
編者を代表して、安渓遊地
編集後記
今回、『東アジアにきらめく』というこの書籍をお届けできることになりました。これは山口県立大学が文部科学省の助成による「地(知)の拠点整備事業」としてなしとげた成果です。筆者がこの事業に携わっていることに、いまだ驚きがあるのも事実です。
筆者は二〇〇一年以来山口県立大学で「政治学」などを講義し、「シベリア出兵」のあたりの政治史などを研究してきました。日本の近代史に首を突っ込み、有名無名を問わず山口県出身者がわらわらと出てくる現実に改めて驚き、「長州閥」の厚さと勁さに感じ入る日々でした。
このような中で、編者の安渓遊地教授から本事業に誘われ、筆者は「東アジアの中のやまぐち」を探索し、台湾や中国東北でのフィールドワークに赴きました。そこここに「やまぐち」が息づいていました。山口から台湾へ渡り財を成した人もあれば、日本近代史の影の部分に名を残した人もありました。本書収録の拙稿にあるように、中国東北にも「報徳会」が作られていきました。そして台湾と仏教と防府という不思議な縁で児玉識先生にお会いし、「上山満之進研究会」ができたことを記しておきます。世界の一隅に、宇宙へとつながる小道がひっそりとありました。
本書を一読されるだけでも、「やまぐち」の持つ世界の広さと深さに驚かれることは多々あると思います。まだまだ、「新やまぐち学」は成長の途中です。この事業は今後、インバウンド、すなわち「また来たくなるやまぐち」の創造へ向けて展開していくことになるようです。注目して、時には叱咤激励していただければ幸いです。
筆者はこの作業のなかで、地域や学生とともに歩んできた県立大学の道を再確認しました。自分の生きている場所を、全世界とのつながりの中で理解するのは容易なことではありません。そしてこれを今度は、学生や皆さんに伝えていく作業もあります。道はまだまだ続きます。
編者の一人として 井竿富雄