留学生はいま)カタルーニアの独立運動に触れて考える RT @tiniasobu
2014/12/09
あや さんからの報告が届きました。
スペイン、ナバラ州では、ここ最近雨がつづいています。風が強い日も多く、スペ
インではこの時期が梅雨だという事を聞きました。来た頃は午後9時頃まで明るかっ
た空も、今では6時前には暗くなります。気温の変化、景色の変化を身体で感じ、一
つの季節をスペインで過ごしたんだな、という実感がやってきました。
ここ、パンプローナは例年に比べまだ温かいらしく、普段この時期に雨が降ること
のない、カナリア諸島という場所で集中豪雨が起こる、など、今年は少し異常気象だ、
ということを聞きました。そして、最近、福島原発のニュースをこちらのテレビで見
ました。地球の環境問題も、原発問題も、どちらも日本だけでおきている問題ではな
いと理解はしていましたが、そのニュースを異国で聞くことで、改めて世界共通の問
題なんだと認識しました。
3か月目の報告書を添付しております。
つい最近2か月目の報告書を書いたばかりのような気がします。もう3か月もたっ
たのか、と、報告書を書くたび時が経つはやさを感じます。
写真1枚目は、マドリッドで遭遇したデモの様子、
2枚目は Olite という村にあるお城、
3、4枚目は、小さな村のキノコの日 です。
以下レポートを引用します。
三か月目にして感じたことは、スペインは、各州が一つの国のようだという事です。
スペイン内を旅行すると、州の建物や、またはマンションのベランダに、各州の旗が
飾られているのを見かけます。初めは、地元に誇りを持っている人が多いな、程度に
しか感じていませんでした。
9月11日、バルセロナに150万人が集まりカタルーニャ独立デモが行われてお
り、私がマドリッドへ行った10月4日も、マドリッドのスペイン広場で、カタルー
ニャ独立デモが行われていました。そして11月9日には、日本でも少し報道されてい
たようですが、マドリッド政府には非公式ではありますが、カタルーニャ独立選挙が
行われました。カタルーニャ州は特に民族意識が高く、今もなお独立を掲げています。
実際に、カタルーニャ州の州都であるバルセロナへ旅行に行ったときには、レスト
ランで食事をする際、メニューにカタルーニャ語表記のものをだされました。「観光
地だし、カタルーニャ語だけのメニューを置いているわけではないだろう」と思い、
「カスティーリャ語(私たちが勉強しているスペイン語)はありますか」と聞くと、
「うちはカタルーニャ語のメニューしか置いてないよ」と返され、驚きました。また、
一緒に行っていた友達が所用で、カタルーニャの警察署で紙をもらったのですが、そ
の紙を私たちの住んでいるナバラ州の役所に提出したところ、「カタルーニャ語だか
らわからない、こっちの紙に書きなおしてくれ」と言われた、という体験談を聞きま
した。カタルーニャ語表記を使うことで他との差別化を図ろうとしているところを、
身を持って体験しました。同じ国の中で、ましてやどちらも国の機関なのに“文字が
分からない”という理由で書き直しさせられるということがあるのか、と、日本人で
ある私にはなんだかすごく奇妙なことに思えました。
しかし、思い返してみると以前、「カタルーニャ語はフランス語に似てるよ」と、
スペイン人の友達に言われ、また、授業中に、「カタルーニャ人とスコットランド人
は性格が似ていると言われている」と言われたことがあります。カタルーニャ出身で
ないスペイン人からも、 “カタルーニャ”はスペインではなく、別の国として扱わ
れているようでした。
カタルーニャ州で独立選挙を行う、ちょうどその時期、私の家に、1週間ほどカタ
ルーニャ州出身の女の子が居候することになりました。居候中に、一度大家さんが家
に来ました。私の家の大家さんは、スペイン人でも疲れるくらい、本当に良く喋りま
す。大家さんは、その子がカタルーニャ出身だと知ると、「独立選挙についてどう思っ
ているのか」「そのことについて賛成なのか」ということを尋ねていました。大家さ
んは独立反対派、しかし女の子も、カタルーニャ出身なので一歩も引かず、二人は白
熱したディベートをし、決着がつかないまま大家さんは帰っていきました。女の子は
大家さんが帰った後も、「Madre mia!」と、相手の言い分に納得がいかない様子でし
た。
日本ではあまり出会う機会の少ない、同じ国の中にある“民族”の違いで、国の歴史
や成り立ちを感じることが出来ました。日本で民族、といえば、‘アイヌ民族’‘琉
球民族’などが思い浮かびましたが、気になり調べてみると、他にも樺太で生活して
いる‘ウィルタ民族’や、‘ニヴフ(ニブヒ)民族’などがいるという事を知りまし
た。スペインのように、一つの民族に多くの人口がいないので、スペインほど民族と
しての活動を活発にとりあげられることは少ないですが、今回のこの経験は、私に、
日本で少数ながらも生活している‘民族’にも目を向ける機会をくれた、よい体験に
なりました。
このレポートを書くに当たりカタルーニャ独立デモについてもう少し調べてみると、
過去には独立反対派デモも行われているようでした。もちろん全員が同じ思いではな
いという事は分かりますが、独立には民族の思いだけでなく、政治や経済が大きく関
わっているんだということも、頭に入れておかなければいけないと思いました。
話は変わりますが、スペインに来て、「外国の人はこんなところに食いついてくれ
るのか!」と思うことが多々あります。シャーペンとボールペンが一緒になっている
ペンを「素晴らしい!日本人はかしこいね!」と言ってくれたり、英、西、中、そし
て国語辞典まで入っている電子辞書を「見たことない!すごい!」と感動してくれた
人もいました。しかし、私が予想していないもので一番みんなの反応が良かったもの
が、日本語の“縦書き”です。文字の話になり、「日本は文字が、ひらがな、カタカ
ナ、漢字の3種類あるんだよ」という話をし、読み方も、縦に、上から下へ読む、と
いうことを伝え、実際に日本の小説を持っていくと、「信じられない!」と、驚くひ
とや、「首を動かさなきゃ!すごく首がつかれるね!」といって、一生懸命首を上下
に動かしている子がいました。10人ほどの外国人が一つの本に集まり、興味深げに見
つめ、本の写真を撮っている姿は面白かったです。「何がみんなの興味をひくのか、
予想ができないから面白い!」と思いました。これからも、どんな予想外のものに興
味を示してくれるか楽しみです。外国人がもつ日本への興味をたくさん引出せるよう
に、日常会話からでもどんどん日本のことを話して行きたいと思います。