上関と川内)2010年4月13日の市田議員(共産党)と川田議員(みんなの党)の質問内容
2010/04/26
国会では、アセス法の改訂の審議が猛スピードで進められています。
参議院の環境委員会の質疑の様子がアップされました。http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0111/main.html
ですが、添付のpdfの冒頭にもリンクがあります。
市田議員は、丁寧に取材を重ねて、日本生態学会などの学会の取り組みについても質
問してくださいました。
○市田忠義君 この周辺は、これまで名前が挙がった希少種以外にも、カンブリア紀
の生き残りのカサシャミセンや絶滅の危機とされる八種類の貝類、それからナメクジ
ウオなど、いわゆる絶滅危惧種の宝庫とされています。 二〇〇〇年だったと思いま
すが、生物学の研究者組織である日本生態学会は、生物多様性保全の視点から、もっ
と慎重な環境アセスメント、更なる調査を求める趣旨の要望書を事業者や監督官庁に
提出をされました。さらに、日本鳥学会、日本ベントス学会も同趣旨の要望書を提出
しています。
最近は、この三つの学会が合同で延べ十一件も要望書を出しておられますが、こう
いう学会が合同でこれだけの回数の要望書を提出したということは過去にあったでしょ
うか。
○副大臣(田島一成君) 知る限りでは、上関以外ではございませんというふうに承
知をしております。
○市田忠義君 もう回数の多さもそうなんですけれども、この学会の幹部自身が、全然、同じ生物学の研究といっても分野が違うわけで、この三つの学会が合同で取り組むというのは異例なことだと自らおっしゃっているぐらいの問題であります。 一方、事業者の対応はどうかと。今年一月の記者会見で、中国電力の社長はこう言っています。カンムリウミスズメ等、他の場所でも見付かる可能性は十分あると、そこだけホットスポットという言い方はいかがかと、こういう言い方をしています。また、その後二月に三つの学会、先ほど紹介した三つの学会の代表が中国電力に要望書を手渡した際、大体いつもは社長にきちんと伝えますと、そう担当者が言うんですが、このときには、これ以上新たな環境調査をするつもりは全くないと即答する、専門家の集団が、三学会が集まって出した要望書に対して、これ以上の環境調査をするつもりはないと、そう即答するひどい対応でした。私、そのやり取りのテープを起こしたものも読ませてもらいましたが、本当にひどい、開き直った態度でした。 (安渓注。http://ankei.jp/yuji/?n=908 を参照。双方、声を荒げるこ
ともなく、ごく紳士的なやりとりだったんですけれどね……。)
私、大臣にお聞きしたいんですが、学会として原子力発電所計画に対する要望書を
まとめたというのは、実はこれが最初なんです。これまでありませんでした。生物学
の学会がそろって強い危機感を持っているところなのだから、環境省として経産省任
せにしないで直接事業者に慎重な調査と対応を求めるべき、私はそういう性格の問題
だと思うんですが、小沢大臣の認識はいかがでしょう。
○国務大臣(小沢鋭仁君) 今回の制度改正等がしっかりと機能していけばこういっ
たこともかなり未然に防げたのではないかと、こうも思っているところでございます
が、今、市田委員からの、その三学会含めてのそういった異例の対応について環境省
としてどうかということにつきましては、また省内でしっかりと議論をしてみたいと、
こう思います。
○市田忠義君 是非議論していただきたいと思うんですが、これ、原発推進あるいは
反対とか、そういう政治的立場抜きに、生物学の研究を真摯にやっておられる学会の
方がそろって、こんなところに原子力発電所を造るのはまずいじゃないかという声を
やっぱり上げておられるわけですから、それに対して中国電力は開き直って、どこが
悪いんだと、我々がやった調査では大したことないと、事実上そういう開き直りの態
度を取っているわけですから、やっぱり環境省がここ一番、積極的な指導性を発揮す
るということが求められているということを指摘しておきたいと思います。
これもまだ環境庁時代ですが、環境長官意見で、計画地周辺水域について、閉鎖性
が高く一部で水質環境基準を超過している瀬戸内海であることから、発電所の取放水
による水質及び海生生物への影響について慎重な対応が必要であると、当時の環境庁
長官はそういう意見を述べておられます。二〇〇一年四月二十三日付けで、経済産業
省資源エネルギー庁長官あてに提出された山口県の知事の意見、ここでも、温排水の
漁業等への影響について、広域的、長期的な調査を更に充実強化させるとともに、調
査結果を踏まえた適切な対応が講じられるよう事業者への指導を徹底することという
ふうに述べておられます。(あとは、参議院のホームページか、添付のpdfで印刷
してお読み下さい。)
川田議員は、上関現地にもきてくださって、1月10日の広島市での3学会シンポジ
ウムでも発言してくださいました。内海ダムの問題に続いて、川内原発の温排水の影
響の偽装について突っ込んだ質問をしています。
○川田龍平君 先ほど質疑がありました山口県の上関原子力発電所建設予定地の例で
も明らかなように、このアセス制度そのものに対する不信感があるのは開発事業にお
けるアセス制度の位置付けが非常に弱いからだと考えています。すなわち、アセスの
実施は許認可の参照程度のものであって、過去においても、アセスの結果、許認可が
下りずに事業が実施されなかったという事例がないことが、開発ありきというアセス
制度の限界を示しています。 改正案では事業実施後の報告書制度が盛り込まれては
いますが、一度改変した自然は元に戻らないということを考えれば、やはりこのアセ
スの結果を許認可などに反映させることについて法的拘束力を検討することも必要と
考えますが、これについて、やっぱりアセスはこの手続を通じて環境影響の少ないや
り方に計画をかけて通していくべきであるという発言もありましたので、是非これは
やっぱりしっかりと許認可に影響を反映させるべきというふうに思っています。
次に移ります。
次に、原発の温排水について、先ほども質疑がありましたけれども、その生態系へ
の影響について伺いたいと思います。 原子力発電所は稼働後に大量の温排水を排出
し、これによる環境影響が大変懸念されています。現在検討中のエネルギー基本計画
の案では、二〇二〇年までに八基の増設、二〇三〇年までには更なる増設が挙げられ、
現政権は地球温暖化対策の切り札として原子力発電を位置付けているようです。 増
設するにせよ新設するにせよ、今後、大量の温排水により生態系への影響が大きいも
のと予想されますが、改正案のSEA制度又は現行の事業アセス制度においてどのよ
うに対応すべきとお考えでしょうか。
○政府参考人(白石順一君) 原子力発電所の調査項目を定めております主務省令で
ございますが、発電所の温排水で生態系の要素であります海域動植物に影響があると
いうことは懸念されますので、これまでの発電所のアセスメントの事例を拝見してお
りますと、温排水について、取水とそれから温排水の温度差の調整ということがある、
それから、放水口の残留塩素が検出されない範囲での塩素注入と、こういうことがあ
りますので、これらによっていわゆる環境影響の回避、低減ということは図られる形
を取っております。
現在供用されている発電所におきましては、今のところ特段問題となる環境影響は
報告はされておりませんけれども、温排水による環境影響の回避、低減ということは
重要な要素でございますので、個別の事業ごとの十分な審査と、それから、今御指摘
ありましたような事後調査の必要性ということは、今度の改正案をまた活用いたしま
して適切に対応していきたいと思います。
○川田龍平君 次に、例えば九州電力の、先ほども質疑に出ましたけれども、鹿児島
県にある川内原発では三号機の増設が予定されており、一号機と二号機において約八
年間で三十回のモニタリングがされ、温排水の一度上昇範囲は二キロ内外とする等温
線を公表しています。しかし、実際には、データを詳細に見てみると、二度上昇して
いるのに一度上昇と、二度上がっているところを一度と書いていたり、等温線を意図
的に書き換えた虚偽が半数見付かり、その範囲が五キロを超えるケースも半数以上あ
るというのが市民団体の調査で報告されています。
三号機増設に当たってこうした虚偽のデータに基づく説明をするのは、環境影響評
価書の手続を無効にするものではないかと考えます。また、温排水上昇は温排水の再
循環によるもので、これが三号機の環境影響評価で考慮されていないという問題もあ
ります。到底問題がないと言える状況ではなく、建設を前提とした事業者の環境影響
評価は信頼に欠けるのではないでしょうか。(あとは、参議院のホームページか、添
付のpdfで印刷してお読み下さい。)
環境委員会川田龍平議員質問.pdf (244KB)