上関)3学会の上関要望書の提出時の中国電力との意見交換の記録
2010/04/11
上関)3学会の上関要望書の提出時の中国電力との意見交換の記録
3学会(日本生態学会・自然保護専門委員会、日本鳥学会・鳥類保護委員会、日本ベントス学会・自然環境保全委員会)による中国電力(株)への「上関原子力発電所建設工事の一時中断と生物多様性保全のための適正な調査を求める要望書」(http://ankei.jp/yuji/?n=870)の提出と、中国電力と学会側の意見交換が行われましたので、その記録を掲載しておきます。録音記録から安渓遊地が文字化して、小見出しをつけました。中国電力側と学会側で見解がことなるものは、小見出しを「◎中国電力の見解 VS 学会の見解」のようにつけてみました。
申し入れ、2010年2月15日。 ウェブ掲載2010年4月11日
参加者
中国電力 桜井正治氏(広報・環境部門(環境・エネルギー広報担当)マネージャ
ー)
森田正則氏(広報・環境部門(環境調査担当)・電源事業本部上関原
子力立地プロジェクト(環境担当)・電源事業本部(環境担当)マネージャー)
渡辺哲司氏(コンプライアンス推進部門(総務担当)専任課長)
ほか1名(書記)←お願い、中電側の発言で充分ききとれていないと
ころがあったら、メールでお教え下さい。すぐ訂正します。こちらは仕事の合間に録
音から起こしていますので、時間がかかってしまうのですが、今後は、そちらの議事
録と共有しませんか?
3学会 金井塚 務(広島フィールド博物館、日本生態学会上関要望書アフターケ
ア委員)
佐藤 正典(鹿児島大学、日本ベントス学会 日本生態学会上関要望書ア
フターケア委員)
安渓 遊地(山口県立大学、日本生態学会自然保護専門委員・上関要望書
アフターケア委員長)
マスコミ 数社
◎要望書の趣旨は中国電力に生物学の情報を誠意をもって提供すること
佐藤:原子力発電所の埋め立てに着工する前に、慎重が上にも慎重にやっていただ
きたい。いったん壊してしまえば取り戻すことはたいへんですから、一旦工事を中断
して、その生物多様性について調べていただきたい、そういう趣旨で要望をしていま
す。
シンポジウムのあと、中国電力の社長さんが、マスコミに対して「研究者は客観的
でない。信用できない。」ということを言われたという新聞報道をみました
(http://ankei.jp/yuji/?n=852など)。
それには非常に驚きました。中国電力さんの中には生物の専門家がおられるわけでは
ないので、私たちも情報の提供という側面があるわけです。そこはぜひ、誠
意を持ってお伝えしたい。過去の歴史にぜひ学んでいただいて、着工する前にきちん
とした調査をやっていただきたい。
生物多様性基本法に書いてあるとおり、いろんな生き物がいることによって、人間
の生存が保証される。生物多様性こそは人間の生存基盤である。そのことは、日本も
批准している国際法にうたわれていることです。中国電力の環境影響評価の不備につ
いては、私たちこれまでたくさん具体的な指摘をしていますが、このシンポジウムで
はひとつだけ具体的にとりあげています。
それは温排水に伴ってプランクトンが殺される話です。祝島の漁業者が強い反対を
されていますけれど、漁業者は魚が捕れなくなれば生活がなりたたない。その魚の生
活を成り立たせている生態系の中で、一番弱い部分は、水の中にいるプランクトンと
か魚の卵・稚魚です。これらを含んだ海水が毎秒190トン取り込まれ、放出される。
日本の他の原子力発電所は外洋に面しているのに、上関は内湾にあります。内湾は、
日本の海域の中でもっとも生物生産性の高いところ、プランクトンや稚魚が一番多い
ところです。たとえ事故が無くてもそれがどういう影響を与えるのか、ということは
非常に慎重に評価しなければなりません。普通の埋め立てとは違うんだ、と
いうことをくりかえしこれまでの学会の要望書でも指摘しているところです。
中国電力による環境影響評価書 第9 - 1表(8)には、
「調査、予測及び評価の結果の概要」のところで「3. 卵・稚仔及び動・植物プラン
クトン」の項目として
「卵・稚仔及び動・植物プランクトンは冷却水の復水器通過により多少の影響を受
けると考えられるが、調査海域に広く分布していることから、調査海域全体としてみ
れば卵・稚仔及び動・植物プランクトンへの影響は少ないものと考えられ、
……」と書いていますね。全部推測なんです。
法律に守られた瀬戸内海特別保全区において、このような環境アセスメントがとう
てい許されるものではないことを繰り返し私たちが指摘しています。
どうして、これほどの当然の主張が日本を代表する一流企業である電力会社に受け
入れらないのか、信じられない思いです。
学会には原子力発電を推進する立場の方もおられます。そういう方も、この点につ
いては合意されたことをなぜ中国電力は受け入れられないのか。
要望書には、「上関周辺だけでなく広島湾のカキ養殖等にも影響が及ぶような漁業
被害が発生する恐れがある。」と指摘していますが、ひとたび被害を引き起こし
たら、一企業が補償できるものではありません。これは水俣病の例をみてもわか
ることですが、だから、だから慎重にやっていただきたい、ということなんです。そ
ういうことを誠意をもって伝えたい、ということで今日はやってまいりました。他に
も重要な点はありますが、とりあえず、要望書のエッセンスをご説明いたしました。
◎温排水の与える影響は少ないでしょう VS 調べてみなければ断言できるは
ずがない
桜井:温排水は、柳井火力発電所などからも出していて、より広島に近いところに
岩国発電所があります。原子力発電所の温排水とまったく同じです。
佐藤:まったく同じということはありません。熱効率も違います。
桜井:規模も違いますが、基本的には同じという理解をしています。そこでプラン
クトンへの影響から(上関原発からの温排水が)広島の牡蠣にも影響するかも知れな
いとおっしゃっていますが、そうであればとっくに何らかの影響は出ているかも知れ
ないんですが、そういったことは一切社会的現象としては起こっていないわけです。
佐藤:影響は徐々にきている。いまある温排水にプラスするってわけですから。
金井塚:調査しないとそれは分からないことです。結果として出てこないんですよ。
桜井:ただ、自然界のことですから、たぶん、いろんな形での変動はありますよね。
金井塚:原因が複合要因だから、この原因がダイレクトには効いていないからいい
んだ、という話にはならないんですよ。
佐藤:桜井さんにお聞きしたいのは、どうやったら証明できるんですか。これがあっ
て、あれがあって、とどんどん累積している問題なんですよ。
桜井:我々は原子力発電所を建設し、運営し、全国では54基の原子力発電所が運
転しているわけです。それらの実績、経験というものをもとに……
佐藤:瀬戸内海だから慎重にやってください、と言っているんです。
桜井:瀬戸内海でいえば、すでに対岸30キロのところに、伊方原子力発電所
があります。
佐藤:すでに作っちゃっているわけです。そこで、(プランクトン、魚の幼生など
が)かなり殺されていますよ、本当に。その立証責任は。
森田:その検証はみなさんでおやりくださいよ。
佐藤:どうしてですか。(中国電力は上関の)アセスメントに書いているんですよ。
「プランクトンへの影響はすくないものと考えられます」と。
森田:それで判断しているわけですから。
金井塚:判断の根拠がないじゃないですか。
佐藤:調査もしないでどうして言えるんですか。環境アセス法違反じゃないですか。
森田;それは、それで許可を得ているわけですから。そこで先生方よくおっ
しゃるんですけれども、先生方の研究はそうかもしれませんが……。
佐藤:言いたいのは、環境アセス法の趣旨です。自然環境を大事にして子孫にうけ
つがなければならいからやるんだ、ということです。その理念に従うならば、そして
この文章を書くなら、(温排水の影響でプランクトンが)どのくらい死ぬかを調査す
るのは、当然中国電力の責任じゃないですか。
森田:相対的に、定性的に、たぶん周辺にもおるでしょう。
佐藤:その意味がわからないんです。「周辺にいるでしょう」というのは想像です
よね。
森田:じゃあ、いないんですか。いる、と我々は感じているわけですから。
佐藤:いると良いでしょう。で、いるから?
森田:周辺にいるだろうから、温排水で取り込んだとしても影響は小さいであろう、
と。というのは、過去の発電所の例ですとか……
佐藤:過去の例。もしそれができるんでしたら、過去に3つか4つ、電力会社の発
電所が出来るまでのプランクトンの密度と、できたあとの密度を比較したようなそう
いう報告がありますか。
森田:そういうことじゃなくて、
佐藤:そうじゃなかったら、ないとどうして言えるんですか。
森田:ない、じゃなくて、小さいでしょと言っているんです。
佐藤:どうして「小さい」と言えるんですか。
森田:基本的に過去の発電所設置の経験からして少ないでしょ、と言っているんで
す。
金井塚:いやいやそれは言えないですよ。
佐藤:そんな面倒くさいことをどうして言うんですか。どうして調査をしない
んですか。ほかのことはいっぱい調べておられるのに。取水口と放水口の(比較
調査)、どうしてそれをしないんですか。
金井塚:影響が小さいんです、と言うんであれば、(調べた結果を)このように小
さいです、と言えばいいだけでしょ。それをやらない、っていうのはどういうことな
んですか。
佐藤:たぶん、壊滅的な被害。たぶん全部死んでるからだと思うんです。
(毎秒)190トン分の温排水の中のプランクトンが。
森田:じゃあ、いま当社の発電所の沖合ではプランクトンが全部死んでいると?
佐藤:相当死んでると思います。
森田:それで生態系に著しい影響を与えていると、佐藤先生はおっしゃるんですか。
佐藤:その可能性が大きいと思います。
森田:それじゃ我々とは見解が違います。思いが違います。
佐藤:そういう危険性があるから、未然に防ぐことが何よりも大事。だから、調査
をやりましょう。私も一緒に協力します。
安渓:中国電力の管轄でいえば、島根原子力発電所とかの取水口と放水口のプラン
クトンの比較調査、これに研究者としてただで協力しますから、と申しあげているん
です。
◎アセスの再実施はしない VS 協同調査の提案
森田:終わったことを何で私たちがやらなきゃいけないんですか。
佐藤:終わったこと?
森田:すでにアセスは終わってるものですから。
金井塚:内容がずさんだったら、やりなおすのは当たり前の話でしょ。
森田:ずさんだった、とおっしゃるのは皆さん方学会の方のとらえ方。それは意見
として拝聴しますけど、だからと言ってアセスの再実施はいたしません、ということ
はかねがね言っていることです。
佐藤:森田さん自身がそういう状況になったとき、会社にとってどっちがいいのか、
と考えていただきたいんです。だから、今立ち止まってやった方が、あとでたいへん
な被害がでたときに……。これは水俣病の勉強をぜひしていただきたい。一
度そういうことを起こしてしまったら、企業では弁済できないくらいひどい被害が起
こる恐れがある。
森田:あれは有機水銀という特殊なものがありましたらかね。
安渓:アセスメント学会でも大変問題になっていますのは、たとえば火力ができ、
そこに原子力ができ、別の火力もでき、という時、それぞれ個別にアセスメントをやっ
ていて、温排水をそれぞれが出して、みんなで暖めて、瀬戸内海の水が入れ替わるの
に1年以上かかっているわけです。それが、「うちの部分については影響はこのぐら
いです」というようなことで、アセスは通りますとやってきたことに対して、本当に
それで大丈夫かい?という反省が必要なんです。ただ温度の上昇だけとってもですよ。
そういう意味で、この要望書には「アセスのやりなおし」とは書いてないん
ですよ。「アセスのやりなおし」は日本生態学会の主張ですけれど、ほかの学会はそ
こまでは踏み込まないというので、「しかし、調査はしなさいね、いっしょにやりま
せんか、協力しますよ」という内容なんですが、それに対して「いや、そんなことは
やりませんよ」みたいなおっしゃり方だった。
森田:それに関して、アセスメントの再実施はしません。現在埋め立て工事に着手
していますけれど、ああいう状況でなかなか具体的に進まないということはあります
けれど、そういう状況で、(工事を)いったん中断して調査をするということは、私
どもとしては考えていないということを申し上げているんです。
佐藤:それをぜひ検討してもらいたいんですよ。
森田:ご意見としてはきちんと社長の方に伝えますけれど、私としては、その
ような調査をするつもりはない、ということを申し上げます。
佐藤:森田さん、僕らの話を聞いて個人的には少しもっともだと思うことはないで
すか。
森田:研究としてはおもしろいでしょうね。取水口の海水をとって、どの
程度調査されるおつもりですか。毎日ですか。
佐藤:いや、1回でいいですよ。それは。四季とかいろいろありますけれど。
森田:そこなんですよ。調査としてどこまでやれば精度があがるかどうか、という
ことなんです。
佐藤:もちろん、そうです。1回といったのは、それなりの日数をかけて、夏と冬
にということですよ。そういう例は海外には研究報告があるわけですから。それに準
じてやればいいわけです。伊方があるわけですから、その環境への影響を調べてそれ
にプラスして(上関から)どういう環境への影響があるかを調べる。環境に悪いって
のはわかりますよね。
森田:環境への負荷を与えていないということはけして言えません。
佐藤:言い方がわるかった。それじゃ負荷を与えているということはご了解いただ
けますか。
森田:そりゃ、人間が生きている以上、当然あることです。
桜井:瀬戸内海全域といった広い視野で、温排水の影響はどうか、というような調
査をするというのは、私どもの役割ではない。この要望書は環境省にも提出されたと
いうことを安渓先生が書いておられますので、おそらく、それは国レベルで考慮すべ
き問題ではないか、と私は思いますけれど。私どもが、学術的に精緻に物事を探求し
ていく、そういう立場にはない、ということです。それはもう事業者の範疇を超えて
いる。私どもは、あくまで社会的に決められたルールに則ってやるべきことをやって
いるんです。
安渓:国としての非常に重要な場所、国際条約的にも非常に重要な場所でありうる
ということで、生態学会の議論では、アセスのやり直しといっても、役所もなかなか
うんと言わないし、事業者もうんとおっしゃらないでしょうから、学会に属する研究
者が主体となって、国も力を貸し、事業者もNGOも協力していただきながら、協同
でしらべてみませんかということを、とくに国には持ちかけてみたいね、という話に
なっています。その時に、「立ち入り禁止ですよ」というように強く言われるような
これまでの立場を少し変えて、「ああ一緒に調べましょう」と言ってくださらなくて
も、せめて妨害はなさらないでください、というお願いがあるんですよ。
◎アセス法を守っていれば問題ない VS 時代に即応しないアセス法の限界を
超える方法
佐藤:調査の主体はどこでもいいんです。これまで不幸なことは、中国電力さんで
調査をやられて、こちらでも調査をして、事業者側の調査とそれ以外の研究者の
調査結果がくいちがって平行線になっているところがありますよね。カンムリウ
ミスズメの場合もそうですが。だから、そういう意味で、もちろん工事はいったんちょ
っと止めていただいて、環境省が主導してくれるかどうかわかりませんが、見解の違
う立場のものが一緒に調査するということでかまわないんです。
金井塚:これだけ異議が出ている調査について、中電が直接やらないのであれば、
客観的な評価を得るために、わたしたちも工事をいったん中断しますから、国も協力
していただけないか、という要請はできるんじゃないですか、中電として。
桜井;私どもはあくまで従来のアセスメントのルールの中でやるべきことはきちっと
やっていると思っています。そうではなくて、ひろい瀬戸内海の生態系にとって
の影響を調べるということは、我々のやることではない。
金井塚:今、我々と議論がずれてるのは、中電は従来のアセス法の枠内できちっと
やってるんだ。という、それは認めますよ。しかしながら、アセスの不備という
のは実際あって、もう時代に即応してないっていう事実があって。その後いろい
ろ調べてみると、非常に問題の多い箇所でもあるし、問題が出てきてる。だから、ア
セス法に則った中ではやり直しはできないにしても、これだけ問題が出てきてるんだ
から、それを尊重して一旦止めて、全員が納得できる、参加者が合意できるような、
調査をしましょう。国も協力する、県も協力する、科学者も協力する。という形でやっ
て、評価委員会を作って結論を得るというのが一番、公正だろうと思うんですけどね。
そういう意志が、中電にあるかないかということなんです。
桜井:それは事業者に求めるのは基本的にどうも違うんではないかなと思います。
私どもは、作りたいから申請をし、いろんな許可を取り付けるという手続きを経て今
ここまで来てる訳で、自らそれを立ち止まってどうこうしろというのは、非常に
難しい。
佐藤:それが(企業のもつべき)見識だと思うんですよ。
桜井:もうひとつ、言えばアセスメントが終わってはいますけども、カンムリウミ
スズメだとかカラスバトだとか、新種の生物が発見されたという事に関しては、
非常にこれまで真摯に取り組んできたものですし。継続調査を今後もやっていく
つもりですんで。それも不十分だという風におっしゃるのかどうか、分かりませんけ
ども。
佐藤:充分不充分というか、「法律に則れば全部良い」という考えは、やっぱりよ
くないと思うんですよ。見識の問題だと思うんですよ。例えば、諫早湾の干拓事
業ですね。あれも全部手続きに則って閉め切られたんです。それで一昨年、裁判
所から、調査をするために「元に戻しなさい」という判決が出てる訳ですけれども。
だから、きちんとやらないと後になって――先程から何度も繰り返してますけれど―
―そういう恐れがすごく考えられるときは、もう手続きが済んでいるからといって「
私たちは造りたいから造るんだ」と造った時に、中国電力にとっても大変な損失
になるんじゃないか。ということを申し上げます。もちろん中国電力だけじゃな
くて、漁業者ももちろん最も大きな被害を受けますけども。そういう社会の大き
な損失がある程度予想できる場合は、立ち止まる必要があるのでは。
金井塚:電力ってね。私企業であっても、パブリックなものであり、基本的なもの
でしょう? であれば、漁業者にしても生活者にしても不安に感じている……あの原
発をあそこに造ることによって、例えば一次生産・一次産業が立ち行かなくなるんじゃ
ないかと、心配している人もいる訳でしょう? 生活者の中でも、いろんな不安を抱
えている。それらを払拭する義務というのは、当然、法令を超えて出てきてるはずな
んですよ。だから、そういう側面をもちろん勘案して、これだけ3学会が専門的立場
から、「ちょっと問題があります」という指摘をしていれば、それに真摯に答えるの
が、企業としての在り方だと思いますよ。
桜井:私どもも、決して独善で突っ走ってるというつもりもなくて、環境保全に関
しては環境監視委員会も設置しておりますし……。
◎ 一流企業の見識 VS 研究者・学会の役割
佐藤:だから、決して私たちも敵対するつもりじゃなくて、情報を提供するつ
もりなんです。原発の温排水が平均的に含んでいる塩素分は水道水程度だという
んですが、ちょっとぐらい水道水(程度の塩素を含む水)を入れたぐらいでは、「そ
んな大したことないだろう」というのが、普通の、一般の考えだと思うんですよ。と
ころが生物学者は、(わずかの環境変化で生物が大きな被害を被る)そういうことを
見てきている訳です。塩素じゃなくてもいいです。温度が7度急激に変化しただけで
も、弱るような生き物は、いっぱいいるんですよ。だから、そういうものをもう少し
謙虚にみていただきたい。「生物学者は客観的じゃない。色眼鏡で見てるんじゃない
か」という風に、最初からそういう風に見ないで下さい。僕たちは決して敵対する訳
じゃなくて、僕たちはあの自然を、とにかく大事だと思ってる。それだから、
僕たちは(国民の血税で運営されている)国立大学でそういうことを、研究させて頂
いている。その情報を、皆さんにお伝えしてるわけです。「頼まれてもいないア
セスメントをボランティアでやってる」と、言っても良いかもしれない。それは
お互い共通の利害、この瀬戸内海を壊してしまっては、元も子もない。それ
は、中国電力の側にとっても研究者にとっても、国民の財産を守る。これを壊してし
まっては企業は成り立たないと思うんです。そこまで下がっていただいて今一度、慎
重にやっていただきたい。それぐらいこれは、重大なことなんですよ。だから、3つ
の学会が、これだけのことをやっているのだから、そんなに軽く考えてほしくないん
です。相当な重みがあると思うんです。
安渓:鳥の学会と海の底を調べている学会で、共通の会員ってほとんどまず居ませ
ん。そういう人たちが、まず言葉を整理しながら、一緒に(要望書を)出せるように
やって来て、特に鳥の学会は大変でした。どう大変かというと、その学会のメンバー
があなた方が頼まれたメンバーであり、それが環境省の答弁の中に鳥学会として「こ
の調査結果を認めている」という発表があり、鳥学会の中では「そんなことを認めた
覚えはない。たまたま会員である者を、事業者が間違って伝えたか何かで、そういう
風になってしまったから、その答弁をやり直せ」ということになって。もう学会の中
はぐちゃぐちゃですよね。そういう中で、しかし学会としては、特に自然保護委員会
としては、「こうだよ」という風に打ち出してきていますので。そこを宣伝の上に「
学会もお墨付きを与えている」みたいな言い方を、以前されたことが、もしあったと
したら。そうではないんだということ。学会としては「困ったもんだ」と。「困った
会員も居るな」という扱いになったりしている。その結果がこうなんだということで
すよね。そういう時に「(中国電力として依頼している)専門家がおられますから」
というだけではなくて、すべて公開して頂きたい。どういう専門家に頼んでいるのか。
その方がどういう立場なのか。この間のシンポジウムでも江崎次夫(愛媛大学農学部)
教授という名前がでました。これは、上関の共有地が里山として利用されてきたかど
うかの裁判の時に、アセスの書類にも「二次植生」と書いてある林を、人手が入った
ことはない、すなわち原始林であるかのような、「生態学の常識からすると有り得な
い主張」をされた方です。この方は、中国電力の環境監視委員会にもはいっておられ
るようですが
(http://www.energia.co.jp/atom/kami_eco2_4.html)、
専門家の選定もきちんとやってもらいたいところです。
桜井:おっしゃっていることは、学会とは認識が少し違うのだなと思いますが、一
点、鳥学会の件について申し上げますと、先生のおっしゃった通り、昨年の4月です
かね環境省の政務官が「鳥学会の指導を得て調査している」というような答弁をした
のですが、それは鳥学会としては「違う」ということで、「鳥学会の会員が協力した」
ということ。我々もそういう風に報告いたしてますので、それで答弁してもらえば良
かったんですけど、はしょって答弁された。それは11月の環境委員会で修正答弁され
ています。なおかつ、鳥学会の保護委員会の方とも時たま意見交換しますけれど、そ
れを踏まえて当社の方としても修正答弁をお願いすることにいたしました。それとも
う一件、江崎教授の件ですけれど。まあ、これは裁判にともなう準備書面で表明され
た見解ですので、それはそれとして、見解は見解として、人の間違いを指摘すること
は差し控えていただいたらと思います。また、これを裁判の証拠として採用するかは
裁判官の見解がどうなるかということにかかっています。
安渓:公開された物に対して、批判・批評、学術的な論評を加えるということは、
学会では――学問の世界では――当たり前のことです。
桜井:それは公の場でされるべきであって、今日の冊子の中に仮にあったとすれば、
それはいかがなものか。
◎「工事をいったん止めて」は受け入れられない VS 工事をいったん止めて
ごいっしょに勉強しませんか
安渓:冊子の中には入っていません。この間、中電の社長はマスコミに対して「(
1月10日の3学会シンポ)の議事録を見れば」とおっしゃった。その中には、口頭でだ
け言われたことへの批判も入っていました。ということは、どなたかが録音をとりそ
れをテープ起こしして、社長に届けた。と私は理解しています。その「議事録」の中
には、裁判中の江崎教授の主張についての、非常に厳しい指摘も入っておりますので、
それをよく確認していただくと良いです。そして、3月14日の東京でのシンポジウム
には、中国電力さんの席を設けておきますから、どうぞ。どうどうと来ていただいた
ら、と思います。
佐藤:ぜひおいで下さい!
森田:糾弾されるような席につくのはちょっと……。
佐藤:いえいえ、さっき言ったように、決して(電力会社と)敵対する立場ではな
いので。
安渓:いろんな立場がおありでしょうけど。みんなで一緒に勉強しましょう、とい
う主旨の集まりですから。そして、今度、魚の学会が後援に入ってくれました。例え
ばミミズハゼなんて珍しい魚類が7種類も出るところは、ほかの魚もすごいに違いな
い。ということで、コメントをしていただけるようです。それから、できるだけたく
さんの学会とも、仲良くしながら、企業として発展していって下さったら、良い
のでは。
森田:企業としても、その我々の思いをお客様にお伝えするこを重視しています。
しかし、先般のあののシンポジウムの模様を、出た者から聞きますと、当社の発
電所への批判めいた決起集会に近かったようなきらいもあるかなと言っておりま
した。同様の内容であればこれは我が社として、正式に3月14日のシンポジウムへの
ご招待を受けるべきかどうかは躊躇せざるを得ないところです。
佐藤:いや、だから、環境アセスメントの問題点について批判をしてる訳ですよ。
森田:発電所の計画について「一歩立ち止まって」という事になってくると、「発
電所の建設について」ということそのものにも掛かって来る訳ですよ。
佐藤:ええ。もちろんそうですよ。
森田:そうでしょ?
佐藤:まず止めて……ということでないと。
森田:そりゃ、受け入れられないですよ。
佐藤:そこが一番重要なところなんです。
森田:でしょうね。
佐藤:今、大事なのは。まだ始まる前だから。いったんやっちゃうと、これまで何
度も繰り返して言った様に「取り返しがつかない」。
森田:そういう話はもうやめましょう。同じことの繰り返しだから。
◎学者が注目するからホットスポットになった? VS 上関は日本のトキが最
後に残った佐渡島のようなところ
佐藤:でも、もう1つだけ言わせて下さい。僕は、さっき「ここは特別な場所」、
(資料の)いの一番に書いてあるところです。もう一度言わせて下さい。さっき「ト
キ」の事を引き合いに出したんですけど。元々、トキっていうのは広く分布していて、
どんどん追い詰められて、佐渡島で最後の1羽が絶滅したんですよ。瀬戸内海の生物
というのは、周防灘・上関周辺海域というのは、多くの生き物にとって、トキに
とっての佐渡島みたいなところなんです。いろんな生き物が、別に打ち合わせた
訳ではなくてスナメリクジラも子育てしているし、いろんな研究者が独自に「ここに
は、こんなのが生き残ってる!」という。僕たちはそれで驚いている訳です。僕は専
門としては「ゴカイ」という生き物しか知りませんけど、鳥の研究者もそうなんだ、
と。そういう瀬戸内海の本来の自然、3学会のシンポ資料の中でも何度も繰り返して
いることですが、瀬戸内海で最後の場所、トキにとっての佐渡島のようなね。そこの
大事さを、本社が広島にある中国電力さんにどれだけ分かっていただけるか、ぜひ分
かっていただきたいというのが、僕の心からの願いです。そこには今まで通り「だか
ら、何も齟齬が無いじゃないか」というのじゃなくて、やはり広島の皆さん、広島の
海を愛しておられる訳でしょ。ただ愛情だけじゃなくて、これは日本にとっての国益
ですよ。これが、他のところが復活していく、例えば神戸とかそういうところでもど
んどん、これからの世代は自然の復元の時ですよ。ここで絶滅してしまったらもう取
り返しがつかない。そこに生き残ってれば、だんだんだんだん元に戻る。そういうた
めにも、大事さ、他のとこと違うんだ。他のところは今日は時間がなくてあまり、言
えなかったですけれど、そこが一番に書いてあることですけど。是非そこを分かって
ください。
森田:私の個人的に、学者先生方におうかがいしたいと以前から思っていたんです
が、「長島の自然を守る会」という環境保護団体があって。で「あそこはホットスポッ
トです」とおっしゃるんですが、私なんかは、たまたま原子力発電所計画が浮上
して、そこから初めて注目されて、そういう意味でのホットスポットになってしまっ
たんじゃないかな、と。で、注目を集める様になって。偶々いろんなデータが集
まるようになって、ひょっとしたらそれ以前からもあったものが、人間の目に晒され
るようになったんではないかな、という風に思っていたんですが。それはやっぱり、
学者として学術的にまさにそうなんですか?
佐藤:まさにそう(=ホットスポット)ですね。例えばスナメリクジラなんかは、
比較がありますから。他の海域と線状に比較して、「あ。ここだけは減ってない」と
いう、これは本当に客観的なデータがある訳です。
◎中国電力が原発予定地として時間をかけて守ってきた場所=長島・田ノ浦とい
う共通認識
安渓:あそこは中国電力さんが、30年近くかけて守ってこられた場所なん
ですよね。30年前には、あんな場所は瀬戸内海のあちこちにあったはずですが、いま
は他になくなってしまった、と学者たちはいっているんです。
佐藤:そうです、そうです。
安渓:でも。例えば「田んぼを作ってない」。だから、農薬や除草剤が流れ込んで
いない。あそこでの農業は70年代にやめてますから。そして、怪しい人が何か取りに
行こうかなとか思っても「どなた様ですか」と、ちゃんとガードマンがエスコートし
ながら守っているんですね。あの「手厚い保護」のおかげであれだけのすばらしい場
所が残ったんじゃないですか。
新聞記者たち:(笑い声を上げるのをこらえている)
安渓:ここはコンクリートにしようか、と言っても、「必要ないです。ここは違う
予定になっています」と言うことで守ってこられた。結果的に時代の最先端の保全を
なしとげられたことを僕はすごいと思うんですよ。
佐藤:カクメイ科の貝については、(中国電力の取り組みが)きっかけになった部
分もあると思うんですね。
桜井:私が思うに、今、安渓先生がまさにおっしゃられたところは否定できないと、
思うんですね。そういう意味では「自然界にいっさい手を掛けない」と、まぁ発電所
を建設しないのが、一番良いのでしょうけれど……。
金井塚:某テレビ局がやっている番組を中国電力がスポンサーとなって、ハチの干
潟はとりあげられているんですけれど、上関はとりあげていません。不思議ですね。
瀬戸内海の希少種とか生物多様性という観点から見れば、あそこは真っ先にとりあげ
られるべき海域なんですね。この上関の自然についても取り上げて、「この自然
を残すより、原発を造ったら遙かに皆さんのためになるんです」って、どうどう
と宣伝したら良いじゃないですか。
桜井:いやあ、したいと思います。
金井塚:本当にそうなんだけど。
◎発電所をつくっても50年、60年あの自然を守っていきたい VS 「建設中止」
を要望しているわけではない
桜井:先ほども言いましたけど、発電所の方は一部造らせて頂きますけども、それ
以外のところはできるだけあそこを守って、我々は50年60年しっかりあそこでやっ
ていきたいと思います。是非、そういう工法もしたいと思うんです。あと、1つ
すみません、自然界に対しては、何も手を加えないのが一番良いのは分かってるんで
すけど、まあそれは、やむを得ないと。なかで先ほど、温排水のお話にもありました
けど、魚類への影響。それが基本的には祝島の皆様の、1次産業の漁業等への影響と
いうことが、いけないんだというお話なんでしょうか。
佐藤:それはいろんな側面があります。
金井塚:一義的にはね。その問題はもちろん大きいですよ。大きいですけども、何
回も繰り返しますけども、あそこの海域というのは、手をつけてはいけない、最後の
多様性を保全している場所なんだ。という……それなんですよ。それ以外にはない。
それによって祝島の漁業が成り立っているんです。ようするに生態系の持続可能性が
なければ、経済の持続可能性なんて保証できない訳ですよ。
桜井:生態系は、私どもの発電所計画がなくても、ひょっとしたいろいろな影響で、
変わってくる。多分、日々変わってくるんだろうと思うんですけど。もちろんどれだ
けの時間的スパンで変わってくるかということはありますけれど……
金井塚:だからと言って、あそこの計画が許されるわけではない。そういう事です
ね。
桜井:ええ。もちろん。私が言いたいのは、自然環境がそういうものであって、そ
の中でどこまで許容できるのかできないのか。社会的な要請の中でどうかという
そのバランスが一番大事。
佐藤:だから僕たちも、少なくともこの要望書に関しては、すぐこれを中止しろと
か言っている訳じゃないです。
桜井:立ち止まって……
金井塚:立ち止まってね……徹底的に情報公開して、公正な立場で判断して……「
これは計画通りGOサインなんだ」「そうじゃないんだ」という判断をする場をまず、
設けたらどうかということを、提案してる。
佐藤:そうです。それに尽きるんです。そこは耳を傾けていただかないと。
金井塚:ただ、「やりません」というのは……
安渓:そこに説得力がないから、今(工事がストップして)困っておられるんじゃ
ないんですか?
桜井:そこは、違う次元の話だと思います。
安渓:そうですか。
桜井:ただ、瀬戸内海の視点でということを、我々に求められるのは酷な
事だと……
佐藤:それは、そういうところに計画されてるんだから、仕方がないじゃ
ないですか。もう、そんな大事なところに計画されたんだから、それはもう引き受け
ざるを得ないじゃないですか。
金井塚:だからねぇ。「よりによって」という言葉がありますけど、よりによっ
て、何故、上関なんだ、と。我々からしても思います。
◎アセスが終わったいまごろ言われても困る VS アセス中から言っている
桜井:ただ、これがアセスメントをあそこでやっている最中に、学会の皆様からご
指摘があれば、非常に我々もやりやすかったんだと思うんですけど、そこから何年も
経って言われても……
安渓:アセスメントの審査の中で、県の委員たちが調べていく内に、いろいろ貝の
専門家たちを呼び、調べていく内に……如何に、このアセスメントが島根原発のアセ
スのコピーに過ぎないか、ということ、また、その現場のそれぞれのところに合った
方法書を作って、それで調べていきなさいという新しいアセス法の精神にも則ってな
いか、ということなどが分かった結果、大変恥ずかしいことでしたが。やりなおしを
命じられることになった訳じゃないですか。ですからやっぱり、アセスメントの時か
らやってる訳です。
金井塚:そうですよ。
佐藤:アセスメントの最終的な報告が出る前から僕たちは、このアセスは問題だと
いう指摘はしてますから、今のご発言は事実誤認です。
森田:だから、それは、そういうときは当社は主管庁である通産省(現在の経済産
業省)にもお出しになったものなんですけど。そういうこと踏まえて、われわれとし
ては必要な指導をいただき追加調査もした訳ですけども。そして、平成13年7月に環
境影響評価書を出して了解いただいたわけです。
佐藤:手続きはそうでしょうけど、学会からのさまざまな要望書は一切無視されて
います。
森田:そしてそれは、我々としては手続き上は建設して良いと判断した訳ですから
……
金井塚:だからそこが問題だってさっきから言っているですよ。そこを聞く耳持た
ないというのであれば、我々のこの申し入れは全く意味をなさないんですよ。だから、
さっき言ったように、情報をすべて公開して議論して、本当にこれは建設はGOなの
か、そうじゃないのかを判断する場所を設けましょうという提案をしてるんだから。
◎建設することにしたから立ち止まれない VS フライングは許されない
森田:いったん立ち止まってとかなると受け入れられません。
金井塚:なんで駄目なんですか。
森田:現在、我々としては、「建設をする」と言うことで足を一歩前に進めてるん
ですから。
金井塚:だから、それを「止める」という……
森田:それは「できません」というんです。
佐藤:水俣もそれで失敗したわけですよ。
森田:それは、先生、有機水銀といっしょにしてはこまりますよ。
佐藤:中身はなんでもいいんですよ。もう進んでるから止められないじゃいけない、
諫早もそうですよと申し上げているんです。
森田:我が社としては、既にきちんとやっているし、今、主管省の方の認可をいた
だく手続きを進めているわけです。
金井塚:でも、こういう理屈が分かられる方は、きっとおられると思うんですよ。
僕たちの言っていることは「道理」ですよ。
森田:生物としての視点から見て、カンムリウミスズメはそうかもしれませんけれ
ど。
佐藤:生物をほろぼすことは人間の生存基盤をなくすことです。
金井塚:やると決めたからやるんだ。というのがいけないです。
佐藤:社長さんでもない方が、(そういう調査は)「やりません」という発言は問
題じゃない? それはちゃんと伝えてくれないと。
森田:それは伝えますけども。私としてはここで「やります」とは、言えません。
これは私の立場として申し上げます。
安渓:詳細調査の頃からずっとずっと、あなたがたのやっていることは、全部、
フライングですよ。 設置許可が下りてないのに埋め立てちゃう。そして、下り
ないかも知れないんですよね? 「下りるだろう」と思っておられるでしょうけど。
その時に、「あ。ごめん。埋めちゃった。後、なんしようか? 」ということになる
んですよ。詳細調査の時も、中間報告でOKになった時も――もちろん、雇った人を
どう動かすかがあるから、遊ばすわけにも行かないという事情はあるんでしょうけど
――オリンピックなら全部アウトですよ。まだ許可が降りてないのに次のこ
とどんどんやっていくという事によって、生物多様性はものすごい悪影響を既に受け
ています。詳細調査という中で壊してきたし、今度は原子炉設置許可申請出しながら、
とりあえず埋め立てをする、という風になってる、これが、電力業界の普通のやり方
だとすれば、中国電力からその悪習を改めて行っていただきたい、と思います。
森田:原子力発電所を出来るだけ早く開発していかないといけないという、要請も
あるという――これは今日の議論とは違うと思うんですけれど――そういう中で我々
にできることを最大限努力していくという、その点を一応、ご理解頂けたらなと思い
ます。
安渓:どうも、ありがとうございました。
佐藤:ありがとうございました。しっかり社長さんに伝えてください。
(
意見交換終わり)