環境問題授業・2006年度)面白かったレポート紹介
2007/02/21
ご本人の承諾を得て、無記名でご紹介します。成績とは必ずしも無関係ですが、第
9条がおもしろかったので。
1.通販生活の商品憲法について
『戦争をしなくてすむ世界をつくる30の方法』という本を読んでいた時に、カタロ
グハウス社の「通販生活」について、「環境面での負担を少なくするために、商品選
択の基本となる『商品憲法』を定めています」(平和をつくる17人、2003)という記
述があった。私自身は「通販生活」で物を買ったことはないが、名前だけは聞いたこ
とがあった。通販という身近なもので、なおかつ商品憲法という名前が気になり、調
べることにした。下が、カタログハウス社のウェブページから引用した商品憲法の内
容である。
カタログハウスの商品憲法(06年度版)
第1条 できるだけ、「地球と生物に迷惑かけない商品」を販売していく。
第2条 できるだけ、「永持ちする商品」「いつでも修理できる商品」を販売して
いく。
第3条 できるだけ、商品を永く使用してもらうために、「使用しなくなった商品」
は第二次所有者にバトンタッチしていただく。
第4条 できるだけ、「寿命がつきた商品」は回収して再資源化していく。
第5条 できるだけ、「ゴミとCO2を出さない会社」にしていく。
第6条 できるだけ、地産地消、自給自足。「メイド・イン・ジャパン品」の販売
を
増やしていく。
第9条 できるだけ、核ミサイル、原子力潜水艦、戦闘機、戦車、大砲、銃器のた
ぐいは販売しない。
上記の商品憲法を定めていて、更にきちんと報告も行っている。2004年10月1日か
ら2005年9月30日の間が2005年度の報告としてまとめられている。たとえば第1条の
報告で、食品に関わるものがあった。以下はカタログハウス社のウェブページの報告
を要約したものである。第1条では、安全性に疑問を残す食品は売らないとして、残
留農薬、残留重金属試験で基準値を超えた農産物、および、それらを主要原材料とす
る加工食品などを禁止していた。この2005年度に、とあるおいしい坦々麺を販売しよ
うとしたが、すべての原材料の安全性を確認してみたところ、使用しているゴマが、
中国の様々な地方で栽培されたものを混ぜて輸出されたものを使っているので、産地
が特定できなかった。これは商品憲法に引っかかるため、販売を断念したという話が
あった。このように、商品憲法を違憲するものは売らないという徹底した行動をとっ
ている。
しかし、同じ第1条の報告の中で気になるものがあった。これも以下、カタログハ
ウス社ウェブページの内容を要約した。ダイオキシンを発生しやすい商品は売らない
としている項目だ。ただし、その商品の本体(主要部分)が塩化ビニルでつくられて
いる商品は売らないとしており、一部での使用は認めている。スチームアイロンの一
部、電源コードを塩化ビニルからポリエチレンゴムに代替した経緯が説明してあった。
何台売れるか分からない商品にわざわざお金をかけることは出来ないというメーカー
側の理由で、初めは塩化ビニルで販売した。しかし、多くの人が買ったおかげで、ポ
リエチレンゴムに代替することができた。このような部分使用も認めてはいけないと
いう人もいるが、一部の塩化ビニルでもだめだと完全否定してしまったら、メーカー
は「通販生活」以外で塩化ビニルのまま販売するだろうと続けていた。
私はこれに疑問をもった。坦々麺も、この「通販生活」が、取り扱わなければ、他
会社が産地不明のゴマのまま販売を始めるのではないか。たしかに、ゴマの原産地を
見つけ出すことは、難題であり、他の日本産等を使えば、コストが高くなってしまう
のも分かってはいるが、そこには少し矛盾がある気がした。人間に直接入る食品はき
ちんと禁止し、食品でないものには妥協をしている気がして、少し首を傾げたくなっ
てしまった。とは言え、この商品憲法をできるかぎり守ろうとしているハウスカタロ
グ社の姿勢がよく分かった。通販というと、あの厚い冊子を思い出し、紙がもったい
ないと思ってしまう。それだけで、地球環境を破壊している。しかし、実際商品を多
くの店の店頭に並べるには、配送のためのエネルギーがかかるし、通販であれば、注
文したお客にのみ届ければよい話である。まさに、良いところも悪いところもある。
それでも、同じ商品を買うという行為をするならば、この環境のためを思った商品に
手を伸ばすことも悪くない。この商品憲法は、私が、品物を買うことについて考えさ
せられるきっかけのひとつとなった。
引用文献
平和をつくる17人 2003『戦争をしなくてすむ世界をつくる30の方法』合同出版(
頁75)
引用ウェブページ
カタログハウス社のウェブページ(2007年1月22日参照)
http://www.cataloghouse.co.jp/index.html