おもしろい大学)地域と良い関係をつくる沖縄大学(にしゃんた先生のレポート)
2004/05/18
国際文化学部の にしゃんた先生といっしょに、沖縄に行った時に、
「地域に学ぶ」大学の先進事例として、私立沖縄大学へ行っていただきました。
沖縄大学は、最近ずいぶん注目されるようになっていると思います。
以下、にしゃんた先生によるレポートです。
地域と大学の良い関係をつくる
―先駆的な事例としての沖縄大学地域研究所を訪れてー
沖縄大学の「地域研究所」は、大学創立30周年を迎えた1988年に始められ、「地域に根
ざし、地域に学び、地域と共に歩む」という大学の精神に基づいた組織である。大学の一
角に設置する地域研究所の運営組織は、専任(フルタイム)職員は専門所員1名と事務員1
名で、所長を含む52名の所員が大学の教員であり兼任している。学外研究員をも「特別研
究員」として活用しており、あわせて100余名となる。内部の研究員の統括および学外と
のつなぎ役としての地域研究所におけるセンターの専任職員の全体に渡る高いコーディネ
ート力が目立つ。
地域研究所が行っている研究活動は主として「琉球および近隣アジア諸地域の総合的研
究」がある。内容的に大きく8つの部門に分かれ(内訳は、平和部門・環境部門・経済部
門・法制度部門・教育部門・社会・福祉・言語部門・言語・メディア・コミュニケーショ
ン部門・緑の地球防衛基金)、それぞれさらに班として細分化される(2003年現在15班)。
2003年の8月の時点において、4つの研究班が活動を行っており、科学研究費やトヨタ財
団を含む助成金を活用している。
シンポジウムの定例的な開催が地域研究所のもっとも代表的な主催事業であり、海外を
含む外部からの適切且、著明な人物が招き開催させる。ほか、市民にも開かれた主に研究
班による発表会がある。催し物の開催場所については、大学立地の那覇を離れ、過疎化傾
向にある離島などを含む広範な地域にまたがっており、リレー形式を導入している。地域
研究所として、研究班主催の催し物の完全なバックアップはもちろん、地域の他の団体主
催事業に共催としての関わり方および、地域研究所主催の催し物に関連団体を共催として
呼びかけたパートナーシップ的な形態も特徴として見てとれる。シンポジウムや研究会の
開催と連携して、『沖縄大学地域研究所年報』、『沖縄大学地域研究所報』の研究紀要を
発行して地域に還元している。同じ研究成果等を、より広く地域還元させるため、新聞社
とのパートナーシップにおいて研究発表者などによる新聞記事として掲載している。
地域との関係をより深めるため、地域の小学校、中学校、高校や大学の学生提案の研究活
動を対象に『ジュニア研究支援』を行っており、ことに地域密着型の研究を支援している。
沖縄大学の環境マネジメントシステムは2002年5月に 国際規格ISO14001に適合している
ことが認められ、県内初の教育機関として審査登録した。このような規格を地域のより多
くの組織において取得を促すために自らが模範を担っている点が大学としての先駆的な試
みとであるといえよう。
「学術センターとして大学」の最大の使命である研究・教育・地域貢献を行う上の中核
としての地域研究所が位置付けられており、沖縄大学が、山口県立大学と大学の規模や、
地方自治体との立地的に距離(近い)など、両校がおかれている環境に類似している点が
多く、成功例として沖縄大学から学び、比較的簡単に導入できる事柄が多くあると考える。
したがって、山口県立大学の地域共同研究センターとして沖縄大学との積極的な情報交換
などにより学ぶ姿勢がより良いセンターへと導かせてくれるであろう。
※上記報告は、2003年8月18日に沖縄大学の地域研究所にて、専任職員:家中茂氏(報告
者の学友でもある)にお話を伺い、学内の案内をしていただいたうえで書かれたものであ
る。
報告・文責 J.A.T.D.にしゃんた(2004年5月15日)