細見谷)緑資源幹線林道に反対した組合長が突然辞任
2005/05/28
広島・森と水と土を守る会の原戸会長から次のようなメールが届きました。この事実
を多
くの人に知って頂きたいとのことで、私のホームページでも公開します。
皆様
広島の原戸 です。
広島で大規模林道(緑資源幹線林道)反対運動に取り組んでいます。大きな問題が持
ち上
がりました。林道に反対表明した西山林業組合長の村上さんに広島県と地元廿日市市
から
圧力がかり、表明三日後の昨日、広島県に謝りに行き、組合長も辞任するそうです。
そん
な実態をお知らせします。
緑資源幹線林道は全国的に計画され建設が進んでいますが、当地を説明しましょう。
西中国山地国定公園の中です。島根県境にある、広島県最高峰 恐羅漢山と十方山
の間
にある深いV字型の谷底それが私たちが問題にしている細見谷です。
一帯は人も近寄りがたいほどのブナを中心とした広葉樹林でしたが、昭和40年代の
拡大
造林により植林され、両側の斜面はトラの斑状に広葉樹が残るのみです
しかし谷底の細見谷川に沿って、ブナ、サワグルミ、トチノキ、ミズナラなどの見
事な
樹林が、幅200~300m長さ十数キロにわたって残っています。
研究者と一緒に生態調査を進めていますが、生態系がしっかり守られてきていたよ
う
で、新種、広島県初確認種、南西限の種、固定種など続々と見つかりました。
川筋はなだらかな広い、氾濫原となっており、このような林を渓畔林と呼ぶようで
す。
国際自然保護連合(IUCN)生態系管理委員会副委員長(北東アジア担当)
河野昭一先生も渓畔林としては西日本一、もっとも保護されるべきユニークな地域。
との
折り紙つきです。
日本生態学会も舗装工事の中止を求める決議をしました。
現在、砂利道の十方山林道が川に沿って走っています。この十方山林道を拡幅,一
部新
設、拡幅せず舗装などの工事を行う計画です。しかし補修を行えば現在の道で林道に
は十
分です。沿線の八割ほどを占める国有林は,景観林に指定され、木材生産林ではあり
ませ
ん。林道利用状況は、森林管理署が三日に一度の割合で一台の車がパトロールするく
らい
で、大きな森林施行計画もありません。民家は無く、入り口近くにある民家はタマの
休み
に戻ってくる位で、林道は要らないといっています。小さなワサビ田が二つあり、山
葵の
振興を常に持ち出しますが、三年前に何故か突然はじめたところです。積雪の多い場
所で
冬季は閉鎖します、スキー客のアクセスには用を足しません。
全く不用な道路だと私たちは主張しています。
工事主体の緑資源機構や、林野庁は工事理由を地元からの要請と常に言います。
やっと本題に入ります。
この十方山林道の西の端から国有林までの3Km程を西山林業組合が所有しています。
この
組合長の村上弘さんが大規模林道は要らない、土地を売る判は押さないと環・太田川
とい
うミニコミ誌に発表しました22日の事です。するとどこで知ったのか、県から地元廿
日市
市に連絡が行き、廿日市市から圧力が掛かり、昨日(26日) 組合長さんは県に謝りに行
き、組合長も辞任する事になりました。
この15年の間、今までも地元で反対の声をあげた人はことごとく潰されてきました。
そ
れを言えばどこでもそうです。しかしこれは県の事業ではありません。緑資源機構が
事業
主体です。県も市も、地元住民の要請という事をしきりに言っていながら、この行動
で
す。
全く誰も必要としない道と、皆が分かっていながら、計画は進んでゆきます。
これが平気でまかり通るのです。補助金という、葵の印籠をちらつかせれば、林業
関係
者はひとたまりもありません。
このようなことを許していいのでしょうか。
「環・太田川 NO.49 MAY5より抜粋」
P8 『村上さんにそもそも十方山林道の計画をどう考えておられるか聞いた。村上さ
んは
「そもそも、私もここで林業の仕事をやって30年になるが、細見谷にはこれまで2~3
回く
らいしか足を入れたことはない。あの周辺は国有林がほとんどだし、地元の林業にとっ
て
は必要のない計画だと思う」と語る。しかし、西山林業組合の組合員の中には林道計
画推
進の意見もあるから村上さんはこれまで、発言を控えてきた。「行政からは補助金も
いた
だいているということもあるし、行政のやる事に批判はしないほうがいいと思ってき
たが
・・」。もし廿日市市から用地売却の話が来た場合、西山林業組合は全面積が個人の
「持
分所有」の形になっているから、誰かが所有者の代理人として、印鑑を押さなければ
なら
ない。当然組合長がその立場にあるわけだが、村上さんは「そうなっても自分は印を
押さ
ない」と言われた。』