日本生態学会)3/8自然保護専門委員会での細見谷アフターケア委員長報告 @tiniasobu #hosomidani #esj #ecology #conservation
2011/03/08
これは、細見谷要望書アフターケア委員でもある安渓遊地が、中国四国地区選出の自
然保護専門委員として、委員長代理で説明するものです。
2010年度 日本生態学会細見谷要望書アフターケア委員会活動報告書
2011年2月25日
細見谷アフターケア委員会
委員長 金井塚 務
<全体状況>
2008年3月31日をもって、(独)緑資源機構が廃止され、緑資源幹線林道整備事業
は、大規模林業圏に位置する道県を事業主体とした、「山のみち地域づくり交付金事
業」へと転換された。すでに事業が終了している岡山、山形と中止を決定した北海道
を除く、自治体は、計画を変更、縮小するなどして事業を継続している。
西中国山地国定公園内の細見谷渓畔林を縦貫する、大朝・鹿野線、戸河内吉和区間
二軒小屋・吉和西工事区間について、広島県は2009年度から事業継続の予算を計上し
ていない。今後の取り扱いついては、現在進行している他路線の事業完了までに、事
業継続の可否を決定するとしているだけで、中止とも継続とも判断をしていない。こ
のため、事業そのものは事実上、凍結状態にある。
仮に広島県が今後、事業継続を決定した場合、2006年8月31日の林野庁が表明した以
下の決定により、事業再開には高いハードルがあることも事実である。
<林野庁の見解>
細見谷渓畔林を含む計画区間は 林野庁による平成18年度(2006年)緑資源幹線林
道事業期中評価委員会において、「(前略)地元の要請も強い一方で、特に渓畔林部
分及び新設部分については、自然環境の保全の観点から、さらに慎重な対応が求めら
れる。このため、(中略)渓畔林部分及び新設部分については、地元の学識経験者等
の意見を聴取しつつ引き続き環境調査等を実施して環境保全対策を検討した後、改め
て当該部分の取扱を緑資源幹線林道事業期中評価委員会において審議し、決定する。
この決定は、現在でも有効であることは、2010年に行った林野庁との交渉(CONFE-
Japanとの協議)において確認してている。
すなわち、
「広島県が事業継続の申請をすれば、そのときには環境保全調査の追加と保全措置に
関して、さらなる協議、検討が必要である。」
関連した動き
<細見谷住民訴訟>
2009年2月、廿日市市在住の市民が、細見谷大規模林道(緑資源観戦林道)受益者賦
課金を廿日市市が助成しているのは違法として、訴えた裁判 (原告代表 金井塚務・
細見谷アフターケア委員会委員長)が今日も継続している。これは、大規模林道の建
設の是非を直接問う、いわゆる差し止め訴訟ではないが、多くの公共事業が、受益者
が負担すべき付加金を行政が肩代わりすることで、反対運動が起きにくい構造となっ
ている。自然破壊の元凶となる無駄な公共工事をとめる一つの運動方法でもある。
差し止め訴訟ではないとはいえ、賦課金を助成するためには、それを裏付けるだけ
の公益性がなければならず、その公益性を巡って、生物多様性の保全等が当然、問わ
れることにもなることから、注目すべき裁判である。
<ツキノワグマに関する生態調査>
渓畔林を中心とした細見谷川流域はツキノワグマの西中国山地孤立個体群の中核的
生息地である。同個体群は、絶滅の恐れのある個体群として環境省のRDBに記載さ
れている。 環境NGOの広島フィールドミュージアム(代表 金井塚務)は、2002
年から継続して細見谷川流域のツキノワグマの食性調査を続けている。その結果、細
見谷流域のツキノワグマにとって、繁殖に大きな影響を与える秋の堅果類や液果類に
もまして、サケ科魚類が重要な食物資源となっている可能性があることが明らかにな
りつつある(2007年9月~2009年8月まではプロナトゥラファンドの助成をうけた)。
この調査は、事業再開の可否を判断する際(前記林野庁決定参照)に、要望書に沿っ
た決定を引き出すための基礎的調査として現在も継続中である。