映画『祝の島』を見て10)上関原発建設地域やその周辺に生息する生物のみなさまへ
2010/08/14
これは、「自然の権利訴訟」http://ankei.jp/yuji/?n=1002 を思い起こさせる内容の手紙ですね。先にご紹介した 映画『祝の島』を見て2)祝の島の母なる海への手紙 http://ankei.jp/yuji/?n=1083 の続編でもりあります。
◎原発建設地域やその周辺に生息する生物のみなさまへ
拝啓
上関原発ができる場所やその周辺に住んでいる(生息している)動植物(生物)は
この問題をどうとらえているのでしょうか?
環境問題の授業の中で上関原発を廻るいろいろな話を、祝島の人々や自然保護団体
の人たちの視点などから聞くことができました。それらの話の中で少しだけですが、
原発建設を決めた国や山口県の話、中国電力の人たちの話を聞くこともできました。
でも肝心のそこに住む動植物の思いよくわからないので、返事がもらえることはない
と分かっていますが、今回はそこに生息する動植物に宛てて手紙を書きました。
これまでの長い時間、地球の環境変化とともにあなた方の生息環境も変化してきた
ことと思います。しかしこの五〇~一〇〇年の変化には、かなり驚かされているので
はないのでしょうか?しかし、実はそれはあなた方だけではないのですよ。変化を作
り出している人間たちも、驚いているのですよ。そういいながらも「環境を壊そうと
しているのは間違いなく人間だ」とみなさんは声を大にして言いたいでしょう。でも
人間たちも生きていくために、みんなが幸せに暮らしていくために(主に人間たちが
…)、いろいろなものを犠牲にしながらこれでも最良の方法を考えていっているので
すよ。ただ、彼らはあなた方より最初に決めたことを修正することが苦手なため負の
連鎖が起こってしまうことがあるだけなのです。でも、無理強いをする強さもないの
です。
いろいろと言い訳がましい事を書いてきましたが、私はこの手紙を通してこの地域
に生息する動植物に私たち人間のことを知ってもらいたいと思いました。そして人間
たちにも、もっともっと自然のことを知ってもらいたいと思いました。すべてのこと
が知ることだけで解決するとは思っていません。しかしお互いを知らなければ何も始
まらないと思っています。宇宙の神秘が与えてくれた地球という環境に住むすべての
生物が、お互いを知ることで、相手を大切に思って初めて、共生共存していける環境
づくりができると思っています。この手紙が、その気持ちを思い出すきっかけになれ
ばよいと思っています。
敬具
平成二十二年七月四日
◎ 祝島の海へ
今日、あなたとともに生活する人たちの映画を見ました。
そこに流れている時間は、とても緩やかで見ていて心地よいものでした。
島民の人たちを見ていると、「わたしの生活の中に海がある」というよりも、
「海があるから、わたしの生活がある」と日々感じながら
生きているように思いました。
それほどあなたの存在は、祝い島の人たちにとって大きなものなのでしょう。
今、島の人たちは、あなたを守るために戦っています。
あなたのもとに、原子力発電所を建設する案が上がったからです。
傍から見れば、自分の生活を守るためのように映るかもしれません。
だけど、島の人たちは、あなたを守るために戦っているのです。
あなたにとっては、全部人間がやり始めたこと。
ずっと昔、人間が生まれる前から地球に存在しているあなたにとって、
人間なんて、本当に小さい存在のはずなのに、
見ていて何をしているのだろうと不思議に思っているかもしれません。
しかし、普段あんなににこやかに生活している島の人たちが
声を荒げて原子力発電所建設に反対しているのです。
祝いの島に残る自然を、海を、
そしてそれとともに生きる自分たちの生活を守るためにです。
きっと、島の人たちの戦いは続きます。
これまでの人間の姿を見て、あなたはあきれているかもしれない。
でも、そこで見ていて下さい。
あなたを守ろうと必死に戦う人たちの姿を。
そして感じてほしいです。
島の人たちが、あなたをどれだけ大切な存在だと思っているかを。
◎祝の島へ
こんにちは、祝の島。
君は私には想像もつかないような昔から
豊かな自然と恵みを湛えて、人々と一緒に生きてきたんだろう。
その君の自然が今、私たち人間の手で奪われようとしていることが、
私には悲しいし、腹立たしい。どうすればいいんだろう。
君のことをよく知る島の人々は、君を守るために必死に戦っている。
君のことをよく知らない人が、君を壊そうとしている。
まるでこれでは暴力だ。
君の豊かな自然を失うことは、
たくさんの生き物の命の育みを失ってしまうということだ。
たくさんの命が、君と生きているし、君に生かされている。
君の命も、誰の命も、何の命も、何億のお金にだって換えることはできない。
お婆さんが、家族や友人の墓に手を合わせていた。
君は、島で生きる人々にとって、愛しい家族や友人の眠る場所なのだ。
幼いきょうだいが、3人で仲良く小学校へ通っていた。
彼らが大人になった時、君は果たして今の君でいれるだろうか。
島で生きる人は誰だって、君を失いたくないはずだ。
君は今のこの状況をどう思っているんだろう。
怒っているのか、泣いているのか、もしかしたら呆れているかもしれない。
私は講義を受けるまで君については一切知らなかった。
私は知った今、何が自分にできるのか判らないけれど、
私も島に生きる人々と同じように、君を失いたくないと感じている。
まったく何も知らない私と、君を失いたくないと思えた私では、
世界を見つめる目が変わるはずだし、変えようと思う。
君がずっとこれからも、島の人々と、
豊かに生きていくために、私に何ができるのか考えてみる。
いつかは、君に会いに行きたい。
君の美しい自然と、広大な海を、何も失われない状態で見てみたい。
◎祝島の海へ
タコや魚など、たくさんの恵みを島の人に与えていますね。島のおじいちゃん・お
ばあちゃんが生まれたときよりももっと昔から島の人たちを支えてきたんですね。
原子力発電所の建設計画が持ち上がった時、海はどう思った?難しいことは詳しく
分からないけど、やっぱり今までとは変わってしまいますよね。
島の人達は毎日毎日デモや抗議運動をしてくれていますよ。お金で解決しようとし
て、高いお金をつまれても、島や海を守ることに必死で、目もくれないです。でも、
やっぱり島に住んでない人たちは、漁で生計を立ててないから、直接関係がないと思っ
て、みんな賛成してお金を受け取っています。島に住んでなくても、環境に悪い影響
があるから、自分たちの子孫の事を考えたら絶対反対するべきだと私は思います。もっ
と違う発電の仕方があるはずです。大学に講義に来られた反対派の人も、違う発電方
法にしたら良いって、言ってました。
とにかく、みんなそれぞれの思いを胸に命がけで守っています。たくさんの恵みで
島の人を支えてきた分の恩返しだと思います。それにも関わらず、中国電力の人達は
工事を始めてしまい、少しずつ悪い影響もあるかもしれないけど、これからもずっと
変わらない海を願っています。