映画『祝の島』を見て2)祝の島の母なる海への手紙
2010/07/16
山口県立大学の学生からの手紙です。
祝の島の母なる海へ
いま、あなたは幸せですか?
人々の生活を支え続けてきたあなた。
美しい自然を守り続けてきたあなた。
様々な生物を見つめ続けてきたあなた。
私たちをやさしく見守り続けてきた母なるあなた。
そんなあなたが存在していなかったら、きっと何もかもが変化していたことでしょ
う。
私たちにとって必要不可欠な存在です。
いま、あなたには何が見えているのでしょうか?
いま、あなたは何を見つめているのでしょうか?
それは、希望ですか?
それとも、絶望でしょうか?
いま、あなたが見えているものは絶望でしょう。
そして、あなたが抱えているものは失望なのかもしれませんね。
私たち人間に対しての失望・・・
あなたはこれまで私たちを裏切ったことは一度もありません。
常に「やさしさ」という眼差しを向け続けてくれました。
そんな「やさしさ」に安心、幸せを感じてきた私たち。
でも、いま、あなたが守り続けてきたものがあなたを傷つけている。
憤りというよりも、落胆したのではないでしょうか?
もはや、こんな私たちに少しの期待もしていないのではないでしょうか?
あなたは私たち人間によって、汚染されてきている。
私たちによって、あなたが守り続けてきた生物や自然が死へと歩んでいる。
多くの魚は浜に揚げられ、貝は滅び、
ウミガメなどの産卵場所まで奪っている。
木々や草花も枯れ果て、茶色の地面が際立っている。
もうすでに原発を進める船があなたの中を闊歩しているということはご存じでしょ
う。
あなたの中に、異質なものが入り込み、右往左往している。
そんな異質なものに対し、怯えているはずです。
「さらに、私を裏切るのか」
「まだ私を傷つけ、蝕ませるのか」
あなたは私たち人間に対して疑問を抱き、
怒りや恐怖、不安を感じているはずです。
あなたが見つめる未来はどんな未来でしょうか?
明るい未来、暗い未来・・・
もしかすると、あなたにはそれ以前に、
「未来」自体が見えていないかもしれませんね。
しかし、決して忘れないで下さい。
あなたの味方が少なからず、存在しているのだということを。
あなたを守ろうとしているものがいるのだということを。
あなたが支え、守り続けてきたものが、
今度は全力を尽くして、
自分の人生を懸けて、
あなたを守ろうとしているのだということを。
あなたを守ろうと声を挙げ、
泣き、叫び、
訴えているものが少なからずいます。
だから、あなたはいつも笑っていて下さい。
そして、見守り続けて下さい。
あなたが笑ってくれると、私たちは安心します。
あたたかくなります。
あなたがやさしい眼差しを向けてくれると
やさしい気持ちになります。
頑張ろうと思えます。
私たちの糧になります。
私たちにとって大きな力となります。
何物にも代えられない支えとなります。
私たちに希望を与えて下さい。
あなたが笑えば、私たちも笑顔になれます。
あなたのために闘う元気が湧いてきます。
元気が勇気へと変わります。
どうか、お願いです。
私たちに笑顔を、眼差しを向け続けて下さい。
「希望を持って下さい」なんて、
そんなこと私は軽々しく言えません。
でも、決してあきらめないでください。
決して忘れないで下さい。
あなたを守ろうとしているものがいることを。
いま、あきらめてしまえば、あなたを守ろうとしているものは
どんな気持ちになるでしょうか?
命を懸けて、あなたを守ろうとしています。
彼らのためにも、あきらめないでください。
あなたやあなたが守ってきたもの全てが輝きを取り戻すよう、
心から願うとともに、
私も自分ができることを見つけ、
最善を尽くそうと思います。
いつか、あなたと遠い未来でお会いしたいです。
希望や輝きにあふれた明るい未来で。
愛を込めて
感謝の気持を込めて