上関)埋め立て中断を求める日本ベントス学会の緊急声明
2009/10/06
http://blogs.yahoo.co.jp/henmiy21/58569430.html
からの引用です。
2009年10月1日
山口県知事 二井 関成 殿
日本ベントス学会 自然環境保全委員会
委員長 逸見 泰久(熊本大学・教授)
上関原子力発電所建設工事の中断を求める緊急声明
ベントス(底生生物)の研究者で組織している日本ベントス学会は、瀬戸内海周防
灘(山口県上関町長島)において計画されている原子力発電所建設計画に対し、これ
まで2度にわたり(2000年12月と2005年11月)、当該事業者(中国電力)と監督行政
(山口県、通商産業省)の責任者に対して、適正な環境影響評価を求める要望書を提
出した。同様の趣旨の要望書は、日本生態学会からも提出されている(2001年3月)。
これは、当該海域が、瀬戸内海本来の自然環境と生物相を今日までよく保存している
まれな場所であるにもかかわらず、原子力発電所建設計画に関して十分に適正な環境
影響評価が行なわれていなかったためである。
しかし、これらの要望書は、当該事業者からも監督行政からも、全く無視されてい
る。未だに原子力発電所の建設は正式に認可されていない段階にも関わらず、事業者
は、建設予定地で森林伐採などの陸域での工事を進めており、山口県知事は、海域の
埋め立てを許可した。
このように複数の学会からの再三の要望を無視し、不十分な環境影響評価のままで
性急に工事が進むことはきわめて異例なことであり、前近代的な「暴挙」である。こ
のままでは、周防灘に残されてきた豊かな生物相とそれに支えられた沿岸漁業が壊滅
的な打撃を受けるのは必至である。環境保全に慎重さを欠いた開発が、後日にとりか
えしのつかない被害をもたらした歴史を、もはや近代社会はくり返すべきではない。
しかも、生物多様性保全は、国際的に合意された今日の重要課題である。日本は、20
10年に開催される第10回生物多様性条約締約国会議(COP10)のホスト国として恥ず
かしくない姿勢を示すべきである。
以上のことから、上関原子力発電所建設計画にかかわる一切の工事を中断し、最近
の科学的知見をふまえた適正な環境影響評価を改めて実施することを求める。
問い合わせ先:
〒606-8502 京都市左京区北白川追分町北白川試験地内
京都大学フィールド科学教育研究センター 海域陸域統合管理学研究部門
教授 向井 宏
TEL: 075-753-6425 / FAX: 075-753-2263 / E-MAIL: mukaih◎kais.kyoto-u.ac.jpg
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