書評)奄美のblogで紹介されました『調査されるという迷惑』
2009/09/10
http://kaihu.blog.ocn.ne.jp/amami/2009/09/index.html
です。いつもお世話になっている、山口県立大学のLANよりまだ速いLANがついている、九州電力向かいの、素泊まり民宿「海風荘」(1泊3000円ぽっきり。朝は、歩いて2分のジョイフルで食べられて、自炊も可能です。)
のご主人が、差し上げたその日のうちにさっそく書いてくださいました。
ありげてさまありょーた。
『調査されるという迷惑』フィールドに出る前に読んでおく本 (単行本) 宮本 常一 (著), 安渓 遊地 (著)
この本をいただいた時読んでいた小説を
早めに読み上げて、さっそく読んでみた。
*『調査されるという迷惑――フィールドに出る前に読んでおく本』*
タイトル通りの本なのだが、
しかし、この小冊子が小説のようにおもしろいのはナゼか。
いや、この本の事実は小説よりもおもしろかった。
大学の先生のゼミに参加しているような本なのだが、
しかし、そこで上質の映画を見ているように
引き込まれてしまうのはナゼか。
映画のタイトルは、たとえば「フィールド」とか Field でもよい。
「調査というものは地元のためにはならないで、かえって中央の力を少しずつ強めていく作用をしている場合が多く、しかも地元民の人のよさを利用して略奪するものが意外なほど多い」
という、第一章 調査地被害――される側のさまざまな迷惑(*宮本常一*)の最後の文章、
第二章 される側の声――聞き書き・調査地被害(*安渓遊地*)
につづいて
第三章 「バカセなら毎年何十人もくるぞ」(安渓)
大学を出たばかりの著者(安渓)に浴びせかけられた調査地の人たちの言葉の数々が
おもわず、息をのむほど生々しく、するどい。
どこかに、おかしみも感じられるが。
調査被害にあった人たちの言葉をありのままに紹介するのは著者自身への自戒が込められている。
その自戒は現在進行形だ。想像をこえた世界だった。
そこに著者の研究に対する真摯で厳しい態度をみた。
第四章 フィールドでの「濃いかかわり」とその落とし穴(安渓)
著者(安渓)の体当たりの半生をかいま見る思い。
学者の概念を超え、フィールドは世界にまたがる。
じっさい、もう一つの小説か映画になりそうなテーマも含まれているのではないか。
調べるとは? コミュニケーションとはなにか?
社会とはなにか
学問とはなにか
人生とはなにか
さらには
人間とは何か
ということを考えさせられる内容だ。
この小冊子が、これほどのことを考えさせてくれるのはナゼなのか。
読めばわかるさ。
ブログもTVも、調べて発表する、ということと無縁ではない。
学生でないあなたの日常生活のフィールドでも。
文化人類学の一番の基本*「みんなちがってみんな変」*P67
中国の革命家孫文の *「知るは難く、行うは易し」*
体が動かないのは頭でしかわかっていないからだ。こころから納得すれば自然に行動にあらわれる。P84
ほか、珠玉の言葉が、さりげなくちりばめられている。