地域共生演習)運営についての沖縄大学からの質問と答え
2008/04/27
安渓遊地が一時教員をしていたことがある、私立・沖縄大学から山口県立大学に視察団がこられることになりました。沖縄大学の「いきものや」ゲッチョせんせーこと、盛口満さんの推薦であろうと思います。
沖縄大学は、教員50人ほどのところにGPが4つ当たった大学。我が校は、教員130人弱のところへ5つあたったという、高密度大学の交流というところでしょうか。
4人の教職員がこられるにあたって、みなさん知りたいと言われるのが、現代GP(地域の活性化・地元型)の目玉授業の「地域共生演習」についてだそうです。それについて、質問が届きました。
以下に、質問と答えを二つのレベルで書いておきます。実際においでになった場合には、ここにはかけない、第三のレベルまでお話ししたりするわけですが。
視察が増えて本業が圧迫されるほどになったら、松・竹・梅などの料金表を設定したいな、というのが、本音のところです。
答1は、大学としての公式のお答えはこのあたりになるだろう、というものです。
答2は、担当教職員の本音をふくめたもう少しつっこんだ、個別の事情を踏まえたものです。
・プログラムは誰が開発しているか
答1 法人化にともない、「地域貢献型大学」となることをきめたことを受けて、「地域共生演習」という講義をつくることになった。カリキュラム検討委員会が、担当予定教員に100字程度の授業概要を示して、それを250字程度にふくらませるように命じた。実施にあたっては、担当教員2名(正・副)にシラバスの作成が委ねられた。
答2 当初の大学からの指示には、クラスのサイズの指定がなかった。10人程度の少人数クラスで細々とやることもできたし、大きなクラスとしてスタートさせることも理論的には可能だと思われた。大学改革の目玉的な授業であると理解した担当教員は、地域のNGO等での理事等としての活動のネットワークを頼りに、学生の受け入れを依頼。自分の足りないところは、同様のネットワークをもつ教員を担当に加えることで、プログラムの開発(受け入れ先の確保)を計った。
・地域のニーズほりおこし、学生ニーズのほりおこしの方法
答1 教職員がすでに深い関わりをもっている地域の中から、学生の受け入れに積極的な団体に打診する。活動内容の策定は、ていねいに時間をかけて行なう。
答2 地域と学生のマッチングを、丸一日、廃校利用のサテライトキャンパスに出向いて行なう。機械的な割り振りを避け、ともに蕎麦打ちを体験したり、草刈りで環境整備したりする体験を含めて、50人あまりの学生に、先輩学生10数名、受け入れ団体の地域リーダー60名という、大きな「お見合い」を行なって、ていねいに受け入れ先を決定する。
・指導教員はそれぞれのプロジェクトについているのか
答1 基本的には、地域ごとに担当教員をきめている。
答2 特定の教員に多くのプロジェクトが集中するのも、創成期にはやむを得ない。2年目の本年からは、田舎とまちのそれぞれの受け入れ団体についてのコーディネーター教員を、非常勤として委嘱している。地域リーダーへの謝金などの事務は、GPを予算で卒業生を嘱託として雇って担当してもらっている。
・地域の人たちへ成果をどう還元しているか
答1 学生からのお礼状は必ず書かせている。ホームページへの掲載や、地域発のニュースレターなどへお掲載のための情報提供もできるだけおこなっている。
答2 学生が地域に来るようになることが、すでに大きな成果と捉えられていて、授業を越えて通ってくるようになれば、もやは還元する・される関係を越えた仲間としてのつき合いがはじまっているのである。
・インターンやボランティア体験を大学に持ち帰った後、どのように学生の成長につなげているか
答1 大学内の「ぷちぼら」などの継続的な活動への道が準備されている。
答2 地域共生演習については、まだ体系的な継続的なプログラムができているわけではないが、前年度の参加者によびかけて、先輩としての助言・指導を頼むと、積極的な協力をしてもらえるような行動力がそだってきている。
・成果を教員の研究へどうつなげているか
答1 山口という地域での活動から、あらたな地域研究・地域学などの芽を見つけることが期待される。
答2 実際は、教員にとっても、受け入れてくださる地域住民にとっても、たいへんに楽しくて、やりがいのある取り組みと意識されていて、「研究」などということを忘れている場合が多いが、そこで培われた人間的な信頼関係は、地域の資源の上に花開くべきあらゆる研究活動の根本となっていると考えられる。
・地域に対する窓口が複数あれば、それぞれの役割分担、横の連携はどのようになっているか
答1 個人的に対応するのではなく、できるだけ「報告・連絡・相談」を密にして、もっとも適切な窓口が対応するようにしている。
答2 地域の人がどこに声をかけても、きちんと大学の中枢まで届くような生きたチャンネルをつくりうるかどうかが分かれ目になるとおもわれます。
つけたり。「こんなことまで公表していいのですか?」と文部科学省のGPの関係で言われることがありますが、10年以上の取り組みがあって、はじめて実現が可能になっているものを中心に公表しているので、決心や思いつきでは真似ができないだろうと思っているものです。
ケストナーの言葉。「がけから飛び降りるのとちがって、お料理は決心だけではできません」(ふたりのロッテ より)