自然保護)日本の天然林を救う全国連絡会議発足
2006/12/07
友人の金井塚務さんのブログから紹介します。
http://hosomidani.no-blog.jp/ です。
今、日本の山野で何が起こっているのだろうか。大手のマスメディアが知らぬ顔の
半兵衛を決め込む中、林野庁は貴重な原生林の破壊を続けている。その実態は、河野
昭一京都大学名誉教授の意見書に詳しい。とはいえこの報告書が一般の人々の目に触
れる機会は残念ながらまずないであろう。しかしながら何とかしなければ、日本の貴
重な天然林は日々破壊されつづけ、近い将来壊滅的状況となることははっきりしてい
る。と、思案しているこの時期に、雑誌「週間金曜日 No633 12/1号」に、惨状を伝
える記事が掲載された。木曽ヒノキの伐り売りを意見書で止めよう-天然林伐採の反
省が見られない中部森林管理局の5ヵ年計画案と題された、岡村健氏のレポートがそ
れである。
問題は全国各地で生じているのだが、具体的にどんなことがおきているかはこの記
事を読めばわかる。 1ページの短い記事ではあるが、内容は至って深刻である。原生
的な森林をろくろく調査もしないで群状択伐と呼ばれる方法で原生林に穴を空け、サ
サ対策と称して大量の除草剤(フレノック)を散布し、地域生物群集に大きなダメージ
を与えている。生物多様性条約違反であることはもちろん、自ら制定した「公益的機
能の維持増進を旨とする」はずの国有林野管理経営方針(特別措置法5条)にも違反し
ている。この記事には書かれていないが、その理由がなんと、国有林野の借入金の利
払いに当てられるというのだから開いた口がふさがらない。
この無謀な計画を阻止するために、「木曽谷森林計画」と書いて、13日までに、fr
eai@rinya.maff.go.jp に意見書を送付してください。郵送先は、380-8575 長野
市大字栗田715-5 中部森林管理局 FAX 026-236-2657です。
さて、こうした状況を憂える学者や保護活動実践者たちが声を上げました。「日本
の天然林を救う全国連絡会議」がそれです。12月5日、農林水産省で記者会見した内
容と会議のメンバー表を添付します。
農林水産省記者クラブ会見資料
1)「日本の天然林を救う全国連絡会議」設立の目的は、国民の共有財産である日
本の
天然林を救うことにある。日本の原生的天然林は、その大半が国有林に帰属する。林
野
庁は、天然林の大規模伐採を過去50数年以上にわたり続けてきたため、今や潰滅状
態
に陥っており、同時に天然林に共生する貴重な日本固有な動植物相は絶滅の危機に瀕
し
ている。
2)林野行政にかかわる機構再編は急務である。われわれは、今直ちに国有林内の
総て
の原生的天然林を「環境省」移管し、一切の天然林伐採を中止すると共に、そこに生
息
するすべての野生動植物相の保護・保全体制を早急に確立をすることを日本政府に対
し
求める。適切なる「生物多様性」の保護・管理体制の確立は、今正に急務である。
環境省に“天然林”の移管を求める理由:
<その1:自ら改正した法律の無視>
国有林野事業は、1998年に「抜本的改革」を行った筈である。「国有林野事業
の改
革のための特別措置法」第5条に明記されているように、それまでの「木材生産重視」
から、自然環境保全を中心とする「公益的機能重視」へと大転換をすると宣言した。
しかし、現在に到るもなお天然林の大規模伐採を継続しつづけ、日本に固有な野生動
植
物相の生息環境を著しく破壊し、国が締結し、その保護・保全の遵守を国際的にも約
束
している「国際生物多様性条約」違反である。
<その2:国民への背信行為>
抜本的改革では、3兆8千億円の累積赤字のうち2兆8千億円を一般会計などで補
填し
た。その上で、林野庁は「始まります!“国有林の新世紀”と大々的に広報し、公益
的
機能の維持に邁進することを宣言している。しかし、公益的機能と生物多様性を破壊
す
る大規模伐採を継続しているのは、これまで多大な負担を強いてきた国民に対する更
な
る背信行為に他ならない。
行動計画:
われわれは国有林内の天然林を、すべて環境省へ移管して保護・保全することを求め
る。
渡部康人
「日本の天然林を救う全国連絡会議」世話人代表河野昭一
国際自然保護連合生態系管理委員会・北東アジア担当副委員長、大規模林道全国ネッ
トワーク代
表、京都大学名誉教授
問い合わせ先:福島県会津群南会津田島字後原甲3432
「日本の天然林を救う全国連絡会議」事務局
長沼勲0241-62-2674 Fax 0241-62-2688
「日本の天然林を救う全国連絡会議」メンバー(平成18 年12 月5 日現在)
梅原猛
吉良竜夫
吉川宗男
加藤幸子
池澤夏樹
C.W.ニコル
野田知佑
佐高信
根深誠
青木淳一
五十嵐敬喜
石弘之
加藤真
安渓遊地
安渓貴子
清野聡子
岡村健
石川徹也
金井塚務
杉島洋
原戸祥次郎
市川利美
松田まゆみ
市川守弘
井口博
瀬畑雄三
諸橋潔
奥原充幸
梶谷敏夫
田村義彦
寺島一男
望月達也
星一彰
東瀬紘一
高橋淳一
加藤彰紀
代表世話人
河野昭一
メンバーの肩書きなどは、添付の図をごらん下さい。