講演)7/22民族自然誌研究会(京都)での西表島の話
2006/07/04
民族自然誌研究会 第44回 例会直前にレジュメをかいてみました。
テーマ【西表島の自然利用の歴史
――亜熱帯島嶼としての特徴を考える】
「猟場の変遷からみる西表島のイノシシ猟の歴史」
蛯原一平(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科)
「西表島西部の行事食とその変遷
――女のはたらきを中心に」
安渓貴子(山口大学)
「神は細部にやどりたもう
――西表島の地名伝承と禁忌の世界」
安渓遊地(山口県立大学国際文化学部)
日 時:7月22日(土)午後1時~5時
会 場:京大会館 京都市左京区吉田河原町 電話075-751-8311
参加費:会員300円 一般500円
連絡先:〒606-8224
京都市左京区北白川京大農学部前 (株)昭和堂 気付
民族自然誌研究会 事務局(担当:松井)
電話075-706-8818
以下は、当日会場で配る予定のプリントです。
西表島西部の行事食とその変遷――女のはたらきを中心に
安渓貴子(山口大学非常勤講師)
西表島西部でのフィールワーク開始から30年。行事の裏方を手伝い、記録を提供
してきた。シチ祭が国指定の無形文化財となった時には、竹富町の依頼で記録づくり
に取り組み、夫とともに「干立村の下男下女のアンケイさんです」と紹介されたこと
もある。
いまは廃村となった村(網取・崎山)の住民からの聞き取りと、現在もある村(祖
納・干立)の生活の参与観察と聞き取りを主な方法として研究してきた。その中から
食生活、とくに行事食を中心にその概要と最近の変化について報告する。
以下の3つの結論を踏まえて、島の暮らしの今後を展望したい。
1 復帰前の網取はほぼ自給的な食生活だった。
2 復帰後の祖納・干立では食料自給の多くが崩れた。
3 伝統的・自給的な食が例外的に祭(行事)に残っている。
引用文献
・安渓貴子・安渓遊地、2004「島を守って半世紀――西表島の神司・田盛雪さんの
お話」『季刊・生命の島』68: 53-62、屋久島産業文化研究所
・川平永美述、安渓遊地・貴子編、1990『崎山節のふるさと――西表島の歌と昔語』
ひるぎ社、那覇
・山田武男著、安渓遊地・貴子編、1986『わが故郷アントゥリ――西表島網取村の
民俗と古謡』ひるぎ社
・山田雪子述、安渓貴子・遊地編、1992『西表島に生きる――おばあちゃんの自然
生活誌』ひるぎ社
図1 西表島西部の生活空間の民俗分類とそこで入手されてきた食材など
神は細部にやどりたもう――西表島の地名伝承と禁忌の世界
安渓遊地(山口県立大学国際文化学部)
1.地名には島びとの経験した歴史がきざまれている。
津波の伝承、海賊船の来襲、ワニとの遭遇(安渓遊地、2004)
2.地名には島びとが伝えたい不思議とむすびついている。
時により立ち入りや殺生を禁ずる「神高い」ところ(安渓遊地、2005)
3.地域研究の手法をめぐって――話せること話せないこと
なにも怖くなかったあのころ(安渓遊地、2006)
引用文献
・安渓遊地、2004「南島の聖域・浦内川と西表島リゾート」『エコソフィア』13:8
2-89
・安渓遊地、2005「西表島仲良川の生活誌――流域の地名を手がかりに」『南島の
地名』第6集:67-83
・安渓遊地、2006「フィールドでの『濃いかかわり』とその落とし穴――西表島で
の経験から」『文化人類学』70(4):528-542
![pdf](/yuji/img/icon/pdf.gif)