学会の責任)日本原子力学会が東電と政府の情報開示が遅く不十分と指摘 #gensiryoku #genpatsu #gakkai RT @tiniasobu
2011/07/05
一般社団法人・日本原子力学会のプレスリリースからの引用です。
http://www.aesj.or.jp/info/pressrelease/pr20110704.pdf
2011年3月11日に発生した東日本大震災において、多くの方々が犠牲となられ、また
被災 されましたことについて心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
日本原子力学会は、社会的関心の高い科学技術である原子力の広範囲にわたる学術・
技術専門家 集団として社会への情報提供を行うため、本会の主要な活動等について、
随時プレスリリースを行 っています。
今回は、福島第一原子力発電所事故に関する政府および東京電力の情報の開示が十分
でなかった ことに対する日本原子力学会からの声明です。
情報開示姿勢の改善要請に関する声明
日本原子力学会は、政府、関係諸機関及び東京電力株式会社が、福島第一原子力発電
所事 故に関する国民への情報開示が遅れ、かつ不十分であったことに対し、強く遺
憾の意を表明 し、早急な改善を求めるものである。
今回の原発事故においては、情報開示プロセスが不透明でありかつ情報が錯綜し、そ
のこ とが国民の抱いている不安に拍車をかけた。事故の状況や、放射性物質による
環境汚染の状 況について、開示するべき情報を保持していたにも関わらず適切に開
示してこなかった結果、 一般住民の被ばく被害の拡大を招いた可能性があるという
ことは、情報に対する信頼性を揺 るがす大きな問題である。また、原子炉の状況や、
サイト内外の放射線強度について、海外 での報告を受けて、国内に発表される場面
もあり、情報開示プロセスに問題があると言わざ るを得ない。このような状況下に
おいて、専門家による事故の解明や収束に向けた提言作業 に支障を生じさせた責任
は重い。
事故から 3 カ月以上が経過し、事故収束、環境修復に向けた作業が加速されなけれ
ばなら ない状況において、情報開示プロセスの改善及び迅速性、正確性の向上を要
請するものであ る。
なお、これまで情報開示において問題があったと考える例のいくつかについては、日
本原 子力学会ホームページに記載している。
http://www.aesj.or.jp/information/fnpp201103/chousacom/inaeg20110704.pdf
本件に関する取材等お問合せ先
日本原子力学会事務局 03-3508-1261(都筑)
上記のpdfにアクセスすると以下のような情報があります。
6 月 7 日に公表された「原子力安全に関する IAEA 閣僚会議に対する日本国政 府の
報告書-東京電力福島原子力発電所の事故について-」(以下、「対 IAEA 報 告書」と
呼ぶ)についてである。事故直後に炉心の燃料が溶融し、圧力容器下部 に落下してい
た可能性があるとの評価結果は 6 月 6 日に公表されていたが、対 IAEA 報告書では、
さらに燃料は格納容器にまで漏えいしている可能性があると いう評価結果が初めて
明らかにされた。
このような重大な評価結果が、事故後 3 ヵ月も経ってから、しかも海外向けの 会議
資料を通じてしか国民に開示されなかったことは大変遺憾である。
また、炉心溶融の状態についての解析結果は開示されたものの、原子炉圧力容 器下
部の冷却水の量や温度、溶融落下した燃料の温度、さらには実際のプラント での測
定値と唯一比較できる原子炉圧力容器下部の温度など、燃料が格納容器に まで漏え
いしたか否かを判断する参考となる過渡変化の解析結果も未だに開示 されていない。
原子力安全に関する IAEA 閣僚会議に対する日本国政府の報告書
http://www.kantei.go.jp/jp/topics/2011/iaea_houkokusho.html
事故初期の緊急時モニタリング結果等の未公表データが 5 月下旬以降に関係 機関か
ら相次いで公表されたことについてである。その公開経緯(公開遅延理由) と対 IAEA
報告書の内容の一部とに齟齬があることは、それらデータに基づいて 行われるべき
国及び関係機関の緊急時対応の妥当性と関係機関の情報公開の姿 勢について、専門
家のみならず国民に疑念を抱かせるものである。
事故初期には原子力防災センター(OFC)からの退避等の相当の混乱があっ たものとは
思われるが、データの重要性を考慮すると、公表の遅延は著しく、当 学会「原子力
安全」調査専門委員会放射線影響分科会が 5 月 20 日に公表した提 言の第 6 項「
全日本で取り組む体制を整えるべき」の趣旨にも反するものである ことは大変遺憾
である。今後、専門家の知見を十分活用するためにも、情報の公 開については上述
した提言の趣旨に則り行われることを求める。
当該提言の URL:
http://www.aesj.or.jp/information/fnpp201103/chousacom/he/hecom_teigen
20110520.pdf
特に、現地対策本部及び福島県が OFC に残置したとするデータの中には、3 月 12
日の時点で福島第一原子力発電所の炉心が損傷し、かつ原子炉の閉じ込め 機能が完
全でないという重大な事実を疑わせる、大気ダスト中の Te-132,Y-91 等 の測定値、
また、3 月 15 日の時点で北西方向での沈着による高い汚染を示す雑 草中の I-131,
Cs-137 濃度等が含まれている。さらに、対 IAEA 報告書では、官 邸緊急参集チーム
は 3 月 15 日採取表土及び雑草の高濃度放射性ヨウ素及びセシ ウムを把握した旨の
記述があるが、データを OFC に残置したとする説明と矛盾 し、15 日採取表土デー
タは公表されていない。
福島第一原子力発電所 4 号機の使用済燃料貯蔵プールの燃料配置についてで ある。
米国エネルギー省の 5 月 26 日付の公開資料には国内で公開されていない 福島第一
原子力発電所 4 号機の使用済燃料貯蔵プールの詳細な燃料配置図が掲 載され、米国
エネルギー省の解析結果が示されており、東京電力から提供された データに基づい
ての解析であることが明記されている。4 号機の使用済燃料貯蔵 プールの詳細な燃
料配置情報は国内ではこれまで開示されてこなかったもので あり、4 号機の建屋損
壊の原因推定に役立つデータである。学術的ニーズがある 場合には、国内からの情
報提供要求に対しても的確に対応するよう要請する。
米国エネルギー省の公開文書の URL(当該箇所は p188、東電提供デ ータであ
ることは議事録に記
載)
http://pbadupws.nrc.gov/docs/ML1114/ML11147A075.pdf
日本原子力学会への取材等お問合せ
担当:広報情報委員会 電話 03-5707-0104(2297), 090-4379-5652(小川順子:東京都市
大学)