学会の役割)3/18日本気象学会理事長から会員は勝手な予測をしないようにという指令が #gakkai #control #genpatsu RT @tiniasobu
2011/04/02
3月18日付けで出された問題の文書は
http://wwwsoc.nii.ac.jp/msj/others/News/message_110318.pdf です。
学会とは、学問の普及を通して、ひろく人類の福祉につながる知識を広めるために
存在すると思っていましたが、一元的に情報を管理するための機関としてして働くこ
とがあることを知りました。
政府とは独立に、学会としての見解をまとめて世界に知らせていくという役割を放
棄するものではないかとおもいます。
政府によって情報が隠蔽されている疑いが濃厚ななか、日本人はドイツやフランス
の拡散予測地図を見るしかないという状況にあるなかで、学会としての役割の放棄で
はないかとおもいます。自分が属している学会なら内部告発するところですが、ここ
では批判するのみにしておきます。
重層する環境ガバナンスが機能している時は、かなり賢明な判断ができるものです
が、それが一元化されるほど――例えば水俣で起こったような――悲劇的な環境破壊
や人権侵害が起こるという反省について、最近論文をかきました。抜粋します。
この水俣の教訓を、重層するガバナンス論から見直すと、「チッソ運命共同体意識」
と丸山が指摘する点がもっとも致命的だったのではないか、と思われる。それによっ
て、地元住民が分断された(Aレベル)だけでなく、水俣市政までの地域社会(B、
Cレベル)が、私企業の利益を最優先するガバナンスによって一元的に支配されて、
判断停止状態におかれたといえよう。「協治」どころか、それぞれのレベルではたさ
れるべき、ガバナンスの放棄が起こったのである。ガバナンスが機能しない現象は、
省庁間の対立(Eレベル)に典型的にみられ、これは、D(県)、E(国)レベルの
ガバナンスの対立ともなった。裁判所による和解勧告を受けて、チッソと熊本県が和
解受け入れを表明するなか、それを拒否する立場に立たされた環境庁の山内豊徳局長
が長官との水俣訪問の前夜に自殺に追い込まれる事件も起こった(是枝、一九九二)。
さらに、宇井純がするどく指摘するように、原因の究明を遅らせる結果につながっ
た一部の学者の責任はきわめて重大であった。宇井は、公害には起承転結の四段階が
あることに気付いた。すなわち、起、被害者が発生する。承、早い時期に真相に近い
原因が発見される。転、公害を出している側あるいは、第三者と称する学識経験者か
ら反論が出る。結、どれが正しいかさっぱりわからなくなる。その結果、被害者は救
済されず長期間放置され、差別にさらされることになる(宇井、一九八八、九八~九
九頁)。
試みに、インターネットで「学者の社会的責任」をキーワードに検索すると、原爆
の開発と使用を反映してか、日本物理学会では「物理学者の社会的責任」という連続
シンポジウムを毎年開催しているのが突出してみえる(川野他、二〇〇三、八三一頁)
。学会のシンポジウムで「哺乳類学者の責任とは、まず因果関係を科学的にきっちり
出すことである」ととりまとめられたのに対して、大きな違和感を覚えたという村上
興正さんは「それこそが公害のカモフラージュをした大義名分にほかならない」と警
鐘をならしている(村上、一九九八、一〇九頁)。このような研究者の社会的責任は、
理科系だけの課題ではなく、人間を研究対象とするすべて学問に関わるものが自らに
問わねばらないことである(宮本・安渓、二〇〇八)。
安渓 遊地、2011「足もとからの解決――失敗の歴史を環境ガバナンスで読み解く」
シリーズ『日本列島の3万5000年――第1巻 環境史とは何か』湯本貴和/編
松田裕之・矢原徹一/責任編集 文一総合出版 ISBN4-8299-1194-2
http://wwwsoc.nii.ac.jp/msj/others/News/message_110318.pdf
2011 年 3 月 18 日
日本気象学会会員各位
日本気象学会理事長
新野 宏
このたび発生した東北地方太平洋沖地震とこれに伴う津波では東北地方・関東地方に
未
曾有の被害が生じました。これらの地域にお住まいの皆様のご無事をお祈り申し上げ
ます
と共に、被害に遭われた皆様には心よりお見舞い申し上げます。また、困難な状況の
中、
救援・復旧に総力を注がれている皆様に深い敬意を表します。
今回の災害は、私達に2つの重大な教訓を与えたと思います。第一は、災害は想定
を越
えた激しい現象によって起きること、第二は日頃から十分な防災訓練や対策を行って
いて
も現実の現象の前では十分機能しないことがあることです。二度とこのような災害を
繰り
返さない防災体制や防災教育をいかに構築していくかは、当学会が関わる多様な気象
災害
においても共通の課題であり、私達は今一層真剣に取り組んでいく必要があると思い
ます。
今回の地震災害の影響は、今後も長く継続していきます。避難所に避難されている方々
への支援、被災地の復興の支援には、すべての国民と共に力を尽くしていく必要があ
りま
す。
一方、この地震に伴い福島第一原子力発電所の事故が発生し、放射性物質の拡散が
懸念
されています。大気拡散は、気象学・大気科学の1つの重要な研究課題であり、当学
会に
もこの課題に関する業務や研究をされている会員が多数所属されています。しかしな
がら、
放射性物質の拡散は、防災対策と密接に関わる問題であり、適切な気象観測・予測デー
タ
の使用はもとより、放射性物質特有の複雑な物理・化学過程、とりわけ拡散源の正確
な情
報を考慮しなければ信頼できる予測は容易ではありません。今回の未曾有の原子力災
害に
関しては、政府の災害対策本部の指揮・命令のもと、国を挙げてその対策に当たって
いる
ところであり、当学会の気象学・大気科学の関係者が不確実性を伴う情報を提供、あ
るい
は不用意に一般に伝わりかねない手段で交換することは、徒に国の防災対策に関する
情報
等を混乱させることになりかねません。
放射線の影響予測については、国の原子力防災対
策の中で、文部科学省等が信頼できる予測システムを整備しており、その予測に基づ
いて
適切な防災情報が提供されることになっています。防災対策の基本は、信頼できる単
一の
情報を提供し、その情報に基づいて行動することです。会員の皆様はこの点を念頭に
おい
て適切に対応されるようにお願いしたいと思います。
引用終わり
引用者 安渓遊地