上関)原発建設中止を求める医師たちの声
2010/11/06
ほだんれん こと 全国保険医団体連合会という集まりをご存じですか。
日本の医師・歯科医師の6割以上が加盟している、主として開業医たちの集まりで、
参加者は10万3000という団体です。
毎年、公害視察会というのを開催していて、1986年、チェルノブイリ事故の年から、
「各地の公害をなくし環境を守る運動の前進
に寄与するために」公害視察会というエクスカーションを実施しておられます。
今年は、25回目で中国電力上関原子力発電所建設予定地を視察、交流する予定
がたてられました。
「絶滅危惧種、生物多様性の宝庫と言われる場所に建設計画・工事が進行中の予定
地を視察、現状と問題点について学習し、上関原発の建設中止と原発政策の見直し
を求める契機としたい」という趣旨であるとのことです。
2010年11月6日(土)~7日(日)ということで講師の依頼がありましたので、
安渓遊地・安渓貴子の二人でひき受けました。
非常に意識の高いみなさんで感心しました。
講演会のあと、以下の声明が原案通り採択されましたので、引用しておきます。
pdfでも添付します。明日は一緒に祝島まで足をのばします。
上関原子力発電所の建設中止を求める
2010年11月6日
全国保険医団体連合会
公害視察会参加者一同
1982年に始まった、山口県熊毛郡上関町長島への原子力発電所の建設計画から28年、
中国電力は、建設予定地の埋め立て工事・作業に、住民の強い反対を押し切って着手
したことに抗議する。
上関町は、山口県の南東に位置し、自然海岸が2割しか残っていない瀬戸内にあっ
て7割もの手つかずの海岸を残し、特に、原発埋め立て予定地の田ノ浦は、他にはな
い独特の生態系を築き、数々の希少生物を育み、瀬戸内に最後に残された生物多様性
のホットスポットである。このような場所に原発を建設することについて、日本生態
学会をはじめ多くの学会、研究者が、周防灘の生物多様性と生態系が著しく損なわれ、
瀬戸内の自然の再生可能性を失うと指摘、埋め立て工事の中止と上関周辺海域を含む
瀬戸内海の総合的な学術調査の実施を求めているのは当然であり、私たちは固い支持
を表明する。
建設予定地は、「伊予灘および日向灘周辺地震特定観測地域」に入り、文科省が海
底活断層の最初の調査地として、予定地のすぐ西を走る岩国活断層を指定、警戒して
いる不安定な地盤であり、この面からも極めて危険性が高い。
しかも、建設予定地の真正面に位置する祝島の住民は、漁業補償金の受け取りを拒
否するなど、今も建設に反対の意思を表明しており、周辺住民の理解と合意は全く得
られていない。万が一事故が起こった場合でも避難経路の確保は困難で、祝島の住民
にとって、原発はいのちに直結する問題である。また、瀬戸内海の全領域に深刻な被
害を与えかねない点も重大である。
中国電力の島根原発1、2号機で大量の点検漏れが明らかになったように、原発の
ずさんな安全管理が後を絶たず、政府が地球温暖化対策の切り札として、核のゴミ処
理の目途もないまま原発を推進することは、まさに危険と隣り合わせである。
国民のいのちと健康を守る医師、歯科医師の団体である本会の公害視察会参加者一
同は、政府と中国電力に、上関原発の建設中止を強く求めるものである。
