上関)鎌仲監督が「ミツバチの羽音と地球の回転」の制作意図を語っています(毎日新聞・愛知版)
2010/06/02
毎日新聞・愛知版より引用します。
http://mainichi.jp/area/aichi/news/20100602ddlk23200172000c.html
映画:原発テーマ「ミツバチの羽音と地球の回転」5日上映--鎌仲監督に聞く /
愛知
鎌仲ひとみ監督 原子力発電や核をテーマにしたドキュメンタリー映画を撮り続けて
いる鎌仲ひとみ監督(51)の新作映画「ミツバチの羽音と地球の回転」が5日、名
古屋市中区の市女性会館で上映される。中国電力の原子力発電所建設計画に揺れる山
口県上関町の祝島と、国民投票で脱原発を決め、脱石油も目指すスウェーデンの取り
組みを描いている。【聞き手・稲垣衆史】
◇違う選択肢、ビジョン示す--3部作完結編
--前2作の放射能汚染を描いた「ヒバクシャ」、核燃料再処理工場の周辺で暮ら
す人々を見つめた「六カ所村ラプソディー」との関係は。
3部作の完結編で、原発推進から再生可能エネルギーへの「エネルギーシフトは可
能か」がテーマです。
--日本のエネルギー政策について。
政権は変わったが、原子力推進は変わらない。日本の原発密度は世界最高。今後も
11基作る予定があります。一方で、石油も毎年25兆円分を海外から買っている。
それらを風力などの自然界の再生可能エネルギーに転換し、地元の資本で発電所を造
れば、地方のまちおこしにつながる。世界的には再生可能エネルギーへの取り組みが
進んでおり、この映画で取り上げたスウェーデンは最先端を行っている。日本より資
源が少なく、二十数年前は日本と同じ路線だったが、いまは違う道を進んでいる。
--祝島の状況は。
海を埋め立て、新規に原発2基を造る計画が28年前から続いている。島民は漁業
権を中国電力に売らず、反対してきた。だが県は埋め立て許可を出し、昨年9月には
島民らが反対行動を起こした。
--日本のエネルギー転換は可能ですか。
原発を推進する電力会社しか電力を買えない独占体制になっていて、新エネルギー
を参入させず、市場が自由化していないことが問題。市場がなければ、そのための技
術も進まない。「原発反対」ではなく「エネルギー市場の開放を」という発想の転換
でこの映画を作りました。
--映画を通じて伝えたいことは。
「推進・反対」と言い合う二項対立は思考停止と同じ。先に進めない。「原発でし
か日本の大量電力消費はまかなえない」という考えが日本人に染み込んでいる現状で
は、「祝島は、島民が素晴らしく、自然も豊か」という視点だけでは原発を食い止め
る説得力はない。映画の中では、違う選択肢、ビジョンを示した。
◇ ◇
上映は5日午前10時半▽午後1時▽3時半▽6時--の計4回。前売り券一般1
000円(当日券1200円)、高大生700円(900円)、中学生以下無料。問
い合わせは上映実行委員会の西英子さん(052・808・3241)。