文化人類学)看護・心理向け 4回目 あらゆるものに命がやどるアニミズムの世界 RT_@tiniasobu
2022/10/27
写真は、自然を神として、生き物を先生として暮らしている女性(N子さん)の祈りの言葉です。
鳥にならえ
魚にならえ
こおろぎにならえ
雀に、米粒に、お茶葉に
かたわらの猫に 床を行く
ありんこに、なめくじに
この世は先生だらけ
きょうも うたい いのり 喜ぶ
◎前回の補足
復習として動画をみてください、https://www.youtube.com/watch?v=Dt0JI97dKG0 11分
空襲にあって資料をすべて失っても、野菜の配給のために超人的な働きをしながら、しかも古本屋をたずねて蔵書の復興をめざしていた(宮本常一チャンネル動画のリンクをつけておきます)宮本常一先生は、しかし、私たちとかけはなれた人だったのではありません。
彼の自伝的著作『民俗学の旅』には次のような一節があります。
「日本の古い支配者の中には『自分だけは別だ』という意識が強かった。今もその意識は強い。その中からほんとうの連帯感は容易に生まれるものではない。しかも、その連帯感は、人間はみんな平等なのだ。生きるということ、生きなければならないということ。生きのびなければならないという共通の意識の上に立っていることによって生れる」
一部の人々だけが、豊かで幸せであるという世の中の仕組みはお断りして、どんなに違う境遇の人とも、人間としての共感をもって対等につきあえること。文化人類学は、そのようなグローバル時代に必要とされる基本的な姿勢を教えてくれます。
今回は、連帯感は、人間にだけとどまるものでなく、すべての生きとし生けるもの、地球生命圏の大家族まで広がるという生き方について考えてみましょう。
◎実践アニミズム入門 という私の講義を聞いて、課題にこたえてください。
https://youtu.be/-5quVHTmGWw 25分
課題1 生き物と話す人に会ったことはありますか?
虫や魚や花や木に心はあるでしょうか? あなたの身近に、人間以外の生き物や目に見えない存在に語りかけるということを、当たり前のように実践をしている人がいたら、その人のことを書いてください。誰もいらっしゃらなければ、自分で生きものに語りかけてみるということに挑戦して、その経験をを書いてください。100字以上
課題2 自然神に祈る人が患者さんだったら?
私と妻は、屋久島のおばあちゃんに、畑仕事をする時のお祈りの仕方をならって、うちの農園に農業実習に来る学生らとも共有しています。そのおばあちゃんのお祈りの中に「診療所の祈り」というのがあります(参考文献2)。おばあちゃんが、母親から教えられたこととして、「病気した時でも、医者ばかりにかからずに、神仏と医者と両方から攻めなさいよ、と母に言われました」と語られています。こういう考え方について、ケアの専門家をめざすあなたはどう考えますか?(正解はありません)100字以上
課題3 外国から来ている同僚について(その2)
前回は、イスラームのお祈りのできる部屋と時間の確保という課題に、好意的に答えた方が多かったようです。洗面台があれば、足を洗うのはポリバケツがあれば足りるかもしれません。それでは今回も、近未来のあなたの職場でのことを考えてください。
あなたの職場の同僚に、外国からの看護師や介護福祉士が、難関の日本の国家資格を取得して働いています。ところが、施設の利用者のお一人がこんな不満をもって、あなたに交代してほしいと言い出しました。「はあ、フィリピンから来たAさん、あんとは、わしのいうそがいっそつうじんそじゃから、やれんにーね。」つまり、方言で言っても通じないし、インドネシアからきたBさんのように、イスラムやら一夫多妻やら、日本人から見たらわけのわからん暮らしをしている国から来たような人に見てもらうのは絶対いやだ、というのです。
この利用者さんに、あなたはなんと言って説得しますか?
(「正解」はありませんが、参考文献4が参考になると思います。利用するときは、文献の引用法に注意してください)字数制限なし
参考文献
1 安渓遊地「生き物に語りかけてみる――実践アニミズム入門」http://ankei.jp/yuji/?n=6 に添付のpdf
2 欲ではありますが----屋久島の祈り http://ankei.jp/yuji/?n=2619
3 人間だけが救われるのでない「万物の神様」を信じるという屋久島の方の言葉は 以下にあります。 http://ankei.jp/yuji/?n=2456
4 フィリピンとインドネシアからの看護師・介護士の受け入れとその問題点 https://www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/data/pdf/19176305.pdf
文献を利用してレポートを書く場合の注意点
人の文章を黙ってコピーしてレポートを書くと、盗作になります。
人の文章をそのまま、または自分なりにまとめて使うことを「引用」といいます。
引用には「引用の作法」があり、大学ではそれをきちんと身につけることを目指します。「レポートの書き方」で検索すれば、ネットにも載っていますが、とりあえずは、以下のサイトのレポートでの本文中での文献の示し方と末尾の文献リストの書き方を参考にしてみてください。http://ankei.jp/yuji/?n=1798
生物文化多様性研究所 安渓遊地