國分直一先生自伝)『遠い空』(海鳥社)の誤植の指摘を三田裕次さんからいただきました
2007/09/13
台湾史研究家の三田裕次さんが、國分直一先生の自伝『遠い空――國分直一・人と
学問』(海鳥社、2006年3月刊、安渓遊地・平川敬治編集)を台湾の呉三連台湾資料
基金図書館に納めてくださいました。その際、編集者が台湾事情についてほとんど知
識がないことからおきた多くの誤りや、調べきれなかった単語についての指摘と訂正
とをいただきました。
三田裕次さんに心から感謝もうしあげるとともに、2006年7月4日付けでご指摘をい
ただいていたにもかかわらず、ホームページへの公開などが遅れたことをお詫びいた
します。
なお、三田さんによると、呉三連台湾資料基金図書館に納める前に「超特急で記憶
に基づきチェックしたので、見落とし等もある」とのことです。今後とも、情報をお
よせいただければ幸いです。
(安渓遊地)
三田裕次さんのホームページ
http://home.sailormoon.com/ymita/bunko.html
呉三連台湾資料基金会のホームページ
http://www.twcenter.org.tw/
『遠い空――國分直一・人と学問』(海鳥社)の紹介
http://ankei.jp/yuji/?n=200(編者による出版予告)
http://ankei.jp/yuji/?n=257(三田裕次さんによる書評)
以下、三田裕次さんがお寄せ下さった訂正・補足と参考事項です。
p.は、『遠い空――國分直一・人と学問』(海鳥社)のページ数、
p.28 「ローマ」
→台湾語「ロオモア(鱸鰻)」無頼漢、ゴロツキの意
p.35 唯●【口偏に巴】呼
→●【口偏に焦】●【口偏に巴】●【口偏に年】(タバニイ)「蕃社名」近音
訳字。後に「玉井」に
p.37 「台」明慈悲国
→「大」
p.89 五「給」
→「級」では? 例:高等官五級
p.100 「在」島人職工
→「本」では?
p.103 木麻「王」
→「黄」では?
p.112 ●【女偏に査】某嫺
→通常は「査某●【女偏に間】」と表記
p.92 イカダカ「ズ」ラ
→「ヅ」
p.133 兵隊の多くは中学を出たばかりの……
参考:台湾では昭和20年3月末時点で中学3年生(満14歳)以上が「軍人(兵隊)」
になっている。法的概拠etc.概ね調査済
p.135、p.195 雷神部隊
参考:「雷神」は「兵団文字符」、独立混成第112旅団 旅団長青木政尚少将 司令
部所在地宜蘭。兵団文字符とは、漢字1~2文字+5桁文字=通称号
p.136 カンチュー
→台湾語「牽手(カンチウ)」配偶者、つれあいの意
p.137 ハンチー
→台湾語「蕃薯」
p.182 高砂族義勇隊
→高砂義勇隊
参考:歌詞は分かっているが曲譜未入
p.183 檳榔(びろう)
→(びんろう)
p.187 福「老」
→●【人偏に老】
p.188 公立学校→
「公学校」(台湾人用小学校)では?
p,190 連温「郷」
→卿
p.234 前「島」さん
→嶋
p.243 「視」学官→
司では?
p.246 「熟」蕃
→生
参考:熟蕃(番)は平埔族、生番(蕃)は高砂族
p.254 北「江」
→港では?
p.259 「軍」官服
→ 文
参考:台湾では教員にも制服有り
p.265 兵「用」地誌
→要
以上(引用終わり)
ホームページに掲載したことをお知らせしたところ、三田さんからさっそく以下の
ような追加のメールをいただきました。宋先生の文はまだ拝読しておりませんが、探
してみます。
(以下引用)
ご存知と思いますが、『台湾原住民研究(第11号)』に宋文薫先生の「正誤表」が出ています。http://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=31916459
248頁のP34「黄帝豆」は正しくは「皇帝豆」です。学名は「Phaseolus Iunatus,
Linn.」。
因みに「黄(文言音)」と「皇」は同じ音「ホン」、声調も同じなので間違われた
のでしょう。
(引用終わり)
安渓の蛇足。サツマイモのことを、導入の当時、八重山ではハンツイモといい、奄
美大島
の加計呂間島ではいまでもハヌスといっています。台湾語のハンチーとあきらかに同
根ですね。