ゼミ生からの報告)ソウルの食肉市場のマジャンオールスターズとの再会 #seoul #korea #yamaguchi #chingu RT @tiniasobu
2012/09/21
ゼミ生の李由紀さんが、半年ぶりにたずねたソウルから便りをくれました。庶民の
間にはなんのわだかまりもなく、ただ再会の喜びがすなおにつたわってきます。2回
にわけておくられてきました。以下は、引用です。
安渓先生、アンニョンハセヨ。
先日のソウル訪問をご報告いたします。
まずは私の卒業論文の主人公である職人たちに再会するためマジャン食肉市場へ行っ
てきました。
市場の入口へ到着すると、懐かしいにおいが漂ってきました。生肉や動物の血や職
人たちすべてのにおいが混ざった独特の(好き嫌いはあると思いますが…)私の留学中
の記憶を一気に思い起こさせてくれるものです。
一回目の訪問は昼過ぎでしたので、忙しそうに市場内を行ったり来たりしているオー
トバイやトラック、そこで働く人々を避けながら見ることから始めました。
三月に最後に訪れたときと変わっていた点は、大企業資本の大型スーパーの参入に市
場全体が反対するという看板をあちこちで見かけたことです。
しばらく歩き回ってから、職人たちへ会いに行きました。再訪問に至るまでたった
五ヶ月ですが、それでも少々緊張しました。職人たちも若くはないですし、ハルモニ
に関しては80歳を超えているのでいつまでも元気で店頭に立つということは難しいと
思います。
そろそろと近づいて行くと、私だとわかった皆さんが「アガシ~ワンネ~(お嬢ちゃ
ん来たんだね~)」と声をかけて下さいました。その瞬間、良かった~!と安心しまし
た。
すぐに「こっちに来て座りなさい」「コーヒー飲むだろう?」「前に渡してくれた手
紙をうちの息子にも見せてさ、メールのアドレスが書いてあるんだけどワシには機械
が難しくて~」「いつまで滞在するんだ?」「あれ以降、ここがテレビの取材を受けた
んだよ。それからは色んな人がやってくるようになった。」「そうそう、このおっちゃ
んがインタビューされてね~!ワハハ」と話にも花が咲きました。
職人たちは髪も短く日焼けしており、立ち込める熱気やにおいや汗と調和して夏場
の市場といった雰囲気でした(というとおかしいでしょうか?)。半袖になると鍛え上
げられた筋肉が見えるので、まだまだ現役なんだと実感します。
職人たちの話にもあったように、私が訪れる少し前に全国版のテレビ番組にここマ
ジャン食肉市場が取材を受けたそうです。
韓国では牛や豚を捌いたあとに捨てるものはほとんどありません。部位別に様々な
料理に活用され、美味しく消費されていきます。食堂のアジュンマ(おばちゃん)*
が毎日店先にある大鍋というか大釜でグツグツと大きな肉たちを煮込んでいるのを見
かけます。この煮込まれたものがテジクッパやピョヘジャングッになります。
マジャン食肉市場はユッケや国産の牛肉が他よりも安価でとても美味しくいただける
ことで再び注目をあびたようです。
*ちなみに親しくなると「イモ~」もしくは「イモニム~」と呼びます。イモとは母
方の姉妹のことを指すのですが、母親のように学生や一人暮らしの会社員たちのお腹
を満たすごはんをつくってくれるのが由来ではないかと思います。私にも、韓国にイ
モニムが何人もいます。よくサービスしてくれたり、美味しい食べ方を教えてもらい
ました。
テレビに写って以降は、それまでは見かけない新しい層のお客さんが直接市場にく
るようになったそうです。このことについて職人たちは肯定的な見方をしていました。
確かに私が訪問しているときも家族連れや若い女性を見かけました。いままでは怖い、
とか業者でもないのにわざわざ行く場所ではないと思われていたこの市場が、私のよ
うに気軽に職人たちに会いに行ったり、加工している現場を見ることで食肉に対する
イメージが明るいものへ変われば嬉しいです。
そして私にいろいろな話をしてくれた、勝手にマジャンオールスターズと呼ばせて
もらいますが、他の職人たちも相変わらず元気で仕事中でした。
真冬は寒さしのぎ兼秘密基地となっていたベンチ付きの小さな小屋は、ビニールのカー
テンが取られて開放されていました。夏の間は内緒話もできないようでしたが、つか
の間の休憩時間には楽しそうにお話中でした。
私が滞在中にスンデ(以前ご紹介しました、腸詰めです)が食べたいという話をして
いると、アジョッシが「マジャンで一番美味しいスンデ食うか?」と作業を中断して
買ってきてくださいました。「せっかくきてくれたのにこれくらいしかしてやれんか
ら」と。
ハルモニは「頭の肉を包んで日本に持って帰るか?
アガシの家族に食べさせてやりなさい。」そうすると他の職人たちから「検査で引っ
掛かるに決まってるよ~!」「そうか?タッパーなら大丈夫じゃないの?」「いやいや、
衛生上だめだろう。最近は狂牛病とかもあるから…」「ふうん…」といろいろと気を
つかってもらいました。
あれもこれも欲しいものは全部持たせてやりたい、という気持ちを私に抱いてくれ
ることだけでも本当に幸せです。
この日は夕方前にソウル大学校のJ先生との約束があったのでまた週末に来ると約
束して経ちました。
二回目のレポートはまた送ります。
安渓遊地の註
スンデ については、http://ankei.jp/yuji/?n=1108 など、すでに3回登場しています。相当気に入った食べ物のようです。