浜岡原発)差し止め裁判で原告敗訴とした2007年の判決文を読む #hamaoka #genpatsu #saiban RT @tiniasobu
2011/04/16
石橋克彦・神戸大学名誉教授 「原発震災──破滅を避けるために」 (科学1997年10
月号)の一節
「原発にとって大地震が恐ろしいのは、強烈な地震動により個別的な損傷もさる
ことながら、平常時の事故と違って、無数の故障の可能性のいくつもが同時多発する
ことだろう。特に、ある事故とそのバックアップ機能の事故の同時発生、たとえば外
部電源が止まり、ディーゼル発電機が動かず、バッテリーも機能しないというような
事態がおこりかねない。」
「(核暴走を)そこは切り抜けても、冷却水が失われる多くの可能性があり(事故
の実績は多い)炉心溶融が生ずる恐れは強い。そうなると、さらに水蒸気爆発や水素
爆発がおこって格納容器や原子炉建屋が破壊される」
石橋教授のこの指摘を受けて、中部電力の浜岡原発運転差し止め訴訟がおこされ
た(2002年)。石橋教授は、裁判での原告側証人となった。
2007年10月、静岡地裁判決(担当裁判官は、宮岡章、男澤聡子、戸室壮太郎の各
氏)は、以下のように述べて、原告側敗訴の判決をした。
「(地震について)確かに、我々が知り得る歴史上の事象は限られており、安
政東海地震又は宝永東海地震の歴史上の南海トラフ沿いのプレート境界型地震の中で
最大の地震でない可能性を全く否定することまではできない」 「しかし、このよう
な抽象的な可能性の域を出ない巨大地震を国の施策上むやみに考慮することは避けな
ければならない」 (判決114頁)
「(地震時には安全システムも同時に故障するという原告の主張について)しか
しながら、全体として本件原子炉施設の安全性が確保されるのであれば、安全評価審
査指針が定めるように、安全設計審査指針に基づいて別途設計上の考慮がされること
を前提に、内部事象としての異常事態について単一故障の仮定による安全評価をする
という方法をとることも、それ自体として不合理ではない。そして、原子炉施設にお
いては、安全評価審査指針に基づく安全評価とは別に耐震設計審査指針等の基準を満
たすことが要請され、 その基準を満たしていれば安全上重要な施設が同時に複数故
障するということはおよそ考えられないのであるから、安全評価の過程においてまで
地震発生を共通原因とした故障の仮定をする必要は認められず、内部事象としての異
常事態について単一故障の仮定をすれば十分であると認められる。したがって、原告
らが主張するようなシュラウドの分離、複数の再循環配管破断の同時発生、複数の主
蒸気管の同時破断、 停電時非常用ディーゼル発電機の2 台同時起動失敗等の複数同
時故障を想定する必要はない。」 (原判決106頁)
判決文の全文を掲載したサイトがすぐに見つからなかったので、
浜岡原発運転差止裁判弁護団の弁護士 只野靖さんの怒りのメッセージ(2011.4.7)
から引用させていただきました(「バカめ」 が2回出てきます)。
http://www.asyura2.com/11/genpatu8/msg/770.html
只野弁護士は、以下のように指摘しています。
石橋教授が指摘していたことは、残念ながら、福島原発において、現実のものと
なってしまったが、地震国日本では安全な場所はない。何時どこの原発でも、福島原
発と同じ事故を起こす可能性がある。
とりわけ、浜岡原発は、想定東海地震の震源断層の直上に位置しており、震源深
さは約15キロと非常に浅く、世界一危険な原発である。また、その構造も、福島原
発と同じで、福島原発の事故を踏まえた対策は、未だ取られていない。
石橋先生の論文は、以下にあります。(http://ankei.jp/yuji/?n=1340にも)
「原発震災──破滅を避けるために」 (科学1997年10月号)
http://www.iwanami.co.jp/kagaku/K_Ishibashi_Kagaku199710.pdf